自衛隊で免許が取得できるってホントなの?

免許

自衛隊に入隊する動機はいろいろあるかと思いますが、割とよく聞くのが『タダで色々免許をとれると聞いたから』という理由。

実際、自衛隊員の勧誘を行っている地方協力本部(“地本”なんて言ったりしますね)のオジサン、お姉さん方が勧誘するときの殺し文句が「自衛隊に入れば給料もらいながらタダで色々な免許が取れるよ!」だったりするんですが、果たしてこれは本当のことなのか?

あんまり実情をつまびらかにしてしまうと関係各所から怒られそうな気がしますが、自衛隊に20年勤務して何一つ免許を取ることができなかった私が、実際のところを解説していきたいと思います。

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自衛隊で取得することのできる免許や資格

結論から言うと『自衛隊に入るとタダで色々な免許や資格が取れる!』というのは半分は本当で半分はウソ…。

自衛隊で取得することができる免許・資格はおおまかに

  • 公的な免許・資格
  • 部内免許・資格

に分けることができます。

これに加えて

  • 職種別の特技

というのも、広い意味では資格と捉えることができるかもしれませんね。

いずれも自衛隊内の訓練施設で教育・訓練を受けることができ、国家試験が必要な場合は試験費用も自衛隊側が負担してくれるのでタダで取得することができます。

自衛隊に入ればだれもが必ず何らかの免許か資格を取得することができるので、この点では『タダで免許や資格が取れる!』というのは本当。

ただし、希望すればどんな資格でも取得できるわけではなく、“所属している部隊のニーズ”と”本人の適正”が合致していなければ、いくら希望しても取得はできません。

その点では『色々な免許や資格が取れる!』というのはウソということになります。

所属している部隊のニーズ

“所属している部隊のニーズ”といわれてもピンとこないかもしれませんが…。

例えば『船に乗りたい!』という希望を持っている人がいたとしましょう。

自衛隊で船というと、海上自衛隊の護衛艦↓

Wikipediaより引用

陸上自衛隊の浮橋やゴムボートも広い意味では船ですが↓

Wikipediaより引用

船に乗りたいのであれば普通は陸上自衛隊ではなく、海上自衛隊に入隊するかと思います。

まさか航空自衛隊に入って『私は船乗りになりたいんです!』なんて言う人はいないかと思いますが、航空自衛隊側だってそんなこと言われても船は持ってないので、『そんなに船に乗りたいのがいるのなら航空自衛隊にも船舶部隊を作ろう!』なんてことには絶対になりません!

同じような感じで、配属先にありもしない機材の操作資格や免許なんてものは希望しても取得することはできないわけです。

逆に、部隊で扱う機材を操作するために必要な免許や資格は、本人の希望に関係なく取得しなければいけません。

『免許を取るために自衛隊に入る』なんて人は、自衛隊の中での仕事についてよくリサーチして、慎重に職種を選びましょう!

もちろん自腹を切ればどんな免許や資格でも取得はできますが、どうせなら自衛隊におんぶにだっこでタダで免許取りたいですからね!

本人の適正

部隊側にニーズのある免許や資格、あるいは部隊の業務を遂行するために免許や資格であれば簡単に取得することができますが、本人の適正が無ければいくら希望しても免許や資格を取得できないなんてこともあります。

免許を取るのに適性が必要というと、パイロットの訓練をイメージするかと思いますが、車の操縦にも適正検査があり、これに合格しないことには希望しても免許どころか教習所に通うこともできない…。

ちなみに自衛隊で行う車両操縦の適正検査というのは、一般的な自動車学校で行われているものとそれほど変わりません。

自動車学校であれば適性検査の結果がどうであれ、お金さえ払えばだいたいの人が入校できますが、自衛隊の教習所の場合はそういうわけにもいかないんです。

自衛隊の教習所なら訓練費用は無料になりますが、税金で運営されているので、教習期間を可能な限り短くしなければいけません。

そのため、適性検査で教習の開始前に隊員の向き不向きを見極めて、免許取得までに時間がかかりそうな隊員を排除する必要があるわけです。

ここでは車の免許で例えましたが、他の免許や資格でも程度の差はあれ似たような作業適性の判断が行われ、最短期間で確実に免許取得が難しいと判断されると、いくら本人が希望しても官費での免許や資格の取得は難しくなります。

ちなみに、作業適性は免許や資格だけでなく、職種を選択するときの判断基準にもなっています。

本人がいくら『〇〇の仕事がしたい』と熱意をもっていても、適性が無ければ希望する職種に就くことは難しいかもしれません。

使える資格と使えない資格

適性検査に合格し、晴れて希望する職種に就くことができても、そこで取得することのできる資格は必ずしも使えるものであるとは限りません。

民間でも通用する国家資格であれば問題はないんですが、自衛隊でしか通用しない資格なんてものもあります。

有名なところだと大型自動車の免許ですね。

自衛隊の中の教習所で大型自動車の免許を取得すると、免許証の限定事項に『大型自動車は自衛隊車両に限る』なんて書かれてたりします。

自衛隊の車両を運転するうえではこの免許でも問題ありませんが、自衛隊を退職した後でトラック運転手にでもなろうというのであれば、この限定事項は非常にまずい!

限定解除自体はそれほど難しくはなく、試験場で飛び込み審査を受けるか、一般の教習所で6時間の技能講習を受て技能検定に合格し、合格証を免許センターか最寄りの警察署に持って行けば免許の書き換えができますが、自衛隊限定の大型免許の講習をやっている教習所が極端に少ないので、どの教習所でも講習を受けることができるわけではありません…。

費用も意外と高くて10万円前後。

もちろん、普通に大型免許を取るのに比べれば圧倒的に安いですが、めんどくささを考えると…。

もうひとつ有名なのが戦車乗りの大型特殊自動車カタピラ限定免許。

大型特殊免許というと、建設工事に使う重機を運転するの必要な免許になるんですが、キャタピラを履いた重機しか運転できないとなると、建設会社でもなかなか採用してもらえません。

こちらも大型自動車自衛隊車両限定免許と同じように限定解除の技能検定があるようですが、教習時間と費用は新規で大型自動車を取得するのと変わらないようですね…。

これじゃあせっかく自衛隊でタダで免許取っても意味がありません!

乗り物系の免許はだいたい似たような感じのようで、せっかく自衛隊で免許を取ってもそのまま民間で通用するわけではないようです…。

これ以外の資格については割と民間でもそのまま通用するようですが、設備管理系の資格は微妙なところ。

保有資格を生かして転職したのはいいものの、自衛隊の設備が古すぎたため、転職先で今までの経験が一切生かせなかったなんて話を聞いたことがあります。

そう考えるといちばんつぶしが効きそうなのは医療系の資格になるんですが、医療系の資格の場合、取得後にある一定の期間自衛隊で勤務しなければ、学費を返還しないといけなくなりますので、そうなるとタダではなくなってしまいます。

まとめ

自衛隊に入ればタダで色々な資格を取ることができるなんて言われていますが…。

確かにいろいろな資格を取れるので半分は本当なんですが、部隊のニーズ本人の適正によっては、いくら希望しても資格を取れないなんてこともあるので半分はウソ!

さらに資格を取得してもいろいろな事情で自衛隊でしか使えない資格だったりすることもあるので、せっかくタダで取得出来てもあまりメリットが無かったりすることも…。

とはいえ、自衛隊内で資格を取るために得た知識は無駄にならないので、自衛隊を退職した後に資格を取り直すときはそれほど苦労せずに済みますからね。

そういった点では自衛隊での資格取得は無駄ではないと思います。

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