国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)は
- あらゆる電気通信の改善と合理的利用のため、国際協力を維持増進すること
- 電気通信業務の効率化と可及的普及のため、技術の改良とベストな運用を促すこと
を目的として設立された国連の専門機関の一つで、国際電気通信連合憲章に基づき、無線通信と電気通信分野において各国間の標準化と規制を確立するために活動しています。
もちろん日本も国際電気通信連合に加盟していて、電波法規や通信する上での規則はITUの規定に準拠するように整備されています。
無線局運用規則で規定している欧文通話表なんかもそのうちの一つです↓
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国際電気通信連合の基本文書
『国際電気通信連合憲章』は、国際電気通信連合の基本文書のひとつで、それらの基本文書のうちの最上位文書とされているものです。
国際電気通信連合憲章は、『国際電気通信連合条約』によって補足され、さらに『国際電気通信規則』、『無線通信規則』によって補足されます。

国際電気通信連合憲章
国際電気通信連合憲章は
- 国際電気通信連合の目的
- 組織
- 構成国の権利義務
などを定めています。
航空無線通信士の試験は以下の条文から出題される傾向があるようです。
国際電気通信連合憲章 第37条(電気通信の秘密)
- 構成国は、国際通信の秘密を確保するため、使用されている電気通信のシステムに適合するすべての可能な措置をとることを約束する。
通信の秘密の保護は電波法第59条でも保証されているものですね。
以前の記事で解説していますので、興味のある方はこちらをご覧ください↓
同じ記事で混信の防止についても解説していますが、有害な混信を防ぐのも円滑な無線通信を行うためには重要です。
国際電気通信連合憲章 第45条(有害な混信)
- すべての局は、その目的のいかんを問わず、他の構成国、認められた事業体その他正当に許可を得て、かつ、無線通信規則に従って無線通信業務を行う事業体の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせないように設置し及び運用しなければならない。
- 各構成国は、認められた事業体その他正当に許可を得て無線通信業務を行う事業体に第1項の規定を遵守させることを約束する。
- 構成国は、また、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が、第1項の無線通信又は無線事業に有害な混信を生じさせることを防ぐために、実行可能な措置をとることの必要性を認める。
このため、国際電気通信連合憲章では、加盟国に属するあらゆる無線局に対し、有害な混信を起こさない運用をすることを求めています。
国際電気通信連合憲章 第46条(遭難の呼出し及び通報)
無線通信の局は、遭難の呼出し及び通報を、いずれから発せられたかを問わず、絶対的優先順位において受信し、同様にこの通報に応答し、及び直ちに必要な措置をとる義務を負う。
電波法では、無線通信で最も優先順位の高いものは遭難通信とされていますが↓
このルールは日本国内に限った話ではありません。
ITU構成国に属するすべての無線局は、遭難の呼出しや通報があった場合、どこの誰から発信されているかに関わらず、絶対的な優先順位で受信し、直ちに必要な措置をとらなければならないとされています。
国際電気通信連合憲章 第47条(虚偽の遭難信号、緊急信号、安全信号又は識別信号)
構成国は、虚偽の遭難信号、緊急信号、安全信号又は識別信号の伝送又は流布を防ぐために有用な措置をとること並びにこれらの信号を発射する自国の管轄の下にある局を探知し及び識別するために協力することを約束する。
遭難通信や緊急通信などの正当性を確保するために、ITU構成国は虚偽の通報が行われないように法整備をおこなうことや、自国の管轄の下にある無線局を探知して識別するために協力しなければいけません。
日本国内では、地方総合通信局の行う不法運用局の監視や、無線従事者による報告制度↓
により、虚偽の遭難通報を行った局の探知と識別を行っています。
国際電気通信連合憲章附属書
国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約、業務規則で使用される用語を定義しているのが付属書です。
航空無線通信士の試験に関係してくるのは『有害な混信』について。
付属書 第100条(有害な混信)
無線航行業務その他の安全業務の運用を妨害し、又は無線通信規則に従って行う無線業務の運用に重大な悪影響を与え、もしくはこれを反覆的に中断若しくは妨害する混信。
電波法や関連する総務省令にも『混信の防止に関係する規則』定められていますが、国際電気通信連合の各種規則でも同じように多くの規定が定められています。
この後解説する無線通信規則にも混信についての規定が出てくるので、有害な混信の定義をよく覚えておきましょう!
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