航空無線通信士の試験対策:法規その31 一般的な監督(報告・罰則)

パイロットへの道のり

電波行政を主管する総務省は『電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進するという電波法の目的を達成するため、無線局の監督を行っています。

監督には

  • 公益上必要な監督
  • 不適法運用等の監督
  • 一般的な監督

の3種類があるわけですが、ここでいう監督とは、『国が電波法令に掲載されている事項を達成するために、電波の規整、検査や点検、違法行為の予防、摘発、排除及び制裁などの権限』を指し、免許人や無線従事者は総務省の監督に従わなければなりません。

選任された主任無線従事者の業務の一つにある『無線設備の操作監督』とは異なるものであることに注意しましょう。

総務省の行う3つの監督の一つである『一般的な監督』について以前解説しましたが↓

一般的な監督には

  • 無線局の検査
  • 無線局の運用についての報告
  • 電波法令の違反行為への処罰

の3つがあります。

今回は一般的な監督のうち、残りの『報告』と『処罰』について解説していきます。

Table of Contents

報告

無線従事者は

遭難通信、緊急通信、安全通信又は非常通信を行った場合や、電波法に違反して運用している無線局を認めた場合など、できる限り速やかに文書で総務大臣に報告しなければならないとされています。

電波法 第80条(報告等)

無線局の免許人は、次に掲げる場合は、総務省令で定める手続きにより、総務大臣に報告しなければならない。

(1)遭難通信、緊急通信、安全通信又は非常通信を行ったとき。

(2)電波法又は電波法に基づく命令の規定に違反して運用した無線局を認めたとき。

(3)無線局が外国において、あらかじめ総務大臣が告示した以外の運用の制限をされたとき。

この3つのケース、どこかで見覚えがあるかと思いますが、いずれも無線業務日誌に記載を義務付けられているものです↓

これらの報告は、無線局を運用する免許人や無線従事者の自発的な物によるほか、無線通信の秩序の維持や無線局の適正な運用を確保することを目的として、総務大臣から免許人に対して報告を要求することも出来るとされています。

電波法 第81条(報告等)

総務大臣は、無線通信の秩序の維持その他無線局の適正な運用を確保するために必要があると認めるときは、免許人等に対し、無線局に関し報告を求めることができる

報告要領は電波法施行規則に定められた様式で文書によって行うものとされていますが↓

電波法施行規則 第42条の4(報告)

免許人等は、電波法第80条各号の場合は、できる限り速やかに、文章によって、総務大臣又は総合通信局長に報告しなければならない。この場合において、遭難通信及び緊急通信にあっては、当該通報を発信したとき又は遭難通信を宰領したときに限り、安全通信にあっては総務大臣が別に告示する簡易な手続きにより、当該通報の発射に関し、通報するものとする。

  • 遭難通信及び緊急通信を発信した場合
  • 遭難通信を宰領した場合
  • 安全通信を行った場合

については、総務大臣が別に告示する方法で報告するとされています。

では実際の報告要領はというと…。

報告書の書式

まず報告書の書式についてですが、総務省として用意しているのは『電波法第80条の報告』というもので、これは電波法第80条の(2)にある“電波法又は電波法に基づく命令の規定に違反して運用した無線局を認めたとき”を対象にした報告様式だけのようです。

上の画像は東海総合通信局のHPにある『ダウンロード集』から引用したものですが、同じようなページが各地方の総合通信局のHPに用意されているので、もし違法運用局を発見した場合は、お住まいの地域の総合通信局のHPから報告書をダウンロードしてください。

遭難通信、緊急通信、安全通信についてはネットで検索しても報告書のひな形が見つからないのですが、恐らくこれらの通信を行った場合に無線業務日誌に記載することを義務付けられている

    1. 通信の開始及び終了の時刻
    2. 相手局の識別信号
      (国籍、無線局の名称又は機器の設置場所を併せて記載することができる。)
    3. 自局及び相手局の使用電波の型式及び周波数
    4. 使用した空中線電力
      (正確な電力の測定が困難な時は、推定の電力を記載すること。)
    5. 通信事項の区別及び通信事項別通信時間
      (通数のあるものについては、その通数を併せて記載すること。)
    6. 相手局から通知を受けた事項の概要
    7. 遭難通信、緊急通信、安全通信及び電波法第74条第1項に規定する通信の概要(遭難通信についてはその全文)並びに、これに対応する措置の内容
    8. 空電、混信、受信感度の減退等の通信状態

をそのまま報告書に転記することになるのではないかと思われます。

報告書の送付

作成した報告書は郵送、FAX、メールなどで総務省又は地方総合通信局に送付することになっているようです。

ちなみに一部の総合通信局では、報告書の書式に限定せず、メール本文に必要事項を入力して報告書とすることができるようですので、送付前に確認することをお勧めします!

罰則

電波法令に違反する行為を行った場合や、総務大臣からの命令に従わなかった場合、無線局の免許状や無線従事者免許証の一時的な効力の停止や、取消といった処分があることは以前にも解説していますが↓

悪質な違反行為があった場合には懲役、禁固、罰金といった罰則が適用されます。

特に重大な違反行為としては以下のものがあり、厳しい処分が与えられます。

  • 電波法105条

無線通信の業務に従事する者が、遭難通信の取り扱いをしなかったとき、又はこれを遅延させたとき
1年以上の有期懲役

  • 電波法106条

自己若しくは他人に利益を与え、又は他人に損害を加える目的で、無線設備又は高周波利用設備の通信設備によって虚偽の通信を発した者
3年以下の懲役または150万円以下の罰金

遭難の事実がないのに無線設備によって遭難通信を発した者
3月以上10年以下の懲役

『たかが電波法くらい』と侮ることなかれ!

上の2つはいずれも人命にかかわり、無線通信の信頼性を損ねる重大な違反行為です。

この他にも無線通信の秩序を犯した者に対しては

  • 電波法107条

日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する通信を発した者
※5年以下の懲役又は禁錮刑

  • 電波法108条の2

電気通信業務又は放送の業務の用に供する無線局の無線設備又は人命若しくは財産の保護、治安の維持、気象業務、電気事業に係る電気の供給の業務若しくは鉄道事業に係る列車の運行の業務の用に供する無線設備を損壊し、又はこれに物品を接触し、その他その無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者
※5年以下の懲役又は250万円以下の罰金

通信の秘密を侵害した者対しては

  • 電波法109条
無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者
※1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
2 無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したとき
※2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 電波法109条の3
電波法第47条の3第1項の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らした者
※1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 
といった罰則が規定されています。

コメント

  1. メガネ より:

    勉強になります。

タイトルとURLをコピーしました