航空無線通信士の試験対策:法規その30 一般的監督(無線局の検査)

パイロットへの道のり

電波行政を主管する総務省は『電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進するという電波法の目的を達成するため、無線局の監督を行っています。

監督には

  • 公益上必要な監督
  • 不適法運用等の監督
  • 一般的な監督

の3種類があるわけですが、ここでいう監督とは、『国が電波法令に掲載されている事項を達成するために、電波の規整、検査や点検、違法行為の予防、摘発、排除及び制裁などの権限』を指し、免許人や無線従事者は総務省の監督に従わなければなりません。

選任された主任無線従事者の業務の一つにある『無線設備の操作監督』とは異なるものであることに注意しましょう。

今回は、3つの監督のうちの一つ、『一般的な監督』について解説していきます。

Table of Contents

一般的な監督とは?

一般的な監督というと何とも漠然として何をしているのかイメージしずらいですが、実際にやっていることは無線局の検査です。

今回は検査や点検といった用語が出てきてややこしくなるので、まずはこれらの用語の定義について↓

用語

定義

点検

測定器を利用して無線局の電気的特性などの確認を行うこと

判定

点検の結果が法令の規定に適合しているか確認を行うこと

検査

無線局の点検と判定を含めた者

登録検査事業者

登録検査等事業者のうち、点検の事業のみを行う事業者を除いた事業者

登録点検事業者

登録検査等事業者のうち、点検の事業のみを行う事業者

“点検”というのは、電気的、技術的に無線局の性能を確認すること。

その点検の結果が、電波法令に適合しているかどうかを確認するのが“判定”。

点検と判定を行うのが“検査”となります。

登録“検査”事業者は、無線局の点検と判定を総合して行うことが認められている事業者。

登録“点検”事業者は、無線局の点検のみを行うことが認められている事業者です。

無線局の検査には

  • 新設検査
  • 変更検査
  • 定期検査
  • 臨時検査
  • 免許を要しない無線局の検査

5種類がありますが、これらの検査のうち新設検査についてはこちらで↓

変更検査についてはこちらで↓

それぞれ解説していますので、今回は“定期検査”と“臨時検査”について解説していきます。

※“免許を要しない無線局の検査”は航空無線通信士の試験に関係しませんのでここでは触れません。

定期検査

定期検査は『無線局が免許を受けた時に検査された条件が、その後も維持されているか?』を確認するため、無線設備の種類ごとに法令で定められた期間ごとに行われる検査です。

クルマでいう車検のような物ですが、無線設備の場合は、クルマの車検証に当たる無線局免許状の有効期間と定期検査の間隔がリンクしていないので気を付けましょう!

電波法 第73条(検査)

総務大臣は、総務省令で定める時期ごとに、あらかじめ通知する期日に、その職員を無線局(総務省令で定めるものを除く。)に派遣し、その無線設備を検査させる。ただし、当該無線局の発射する電波の質又は空中線電力に係る無線設備の事項以外の検査を行う必要がないと認める無線局については、その無線局に電波の発射を命じて、その発射する電波の質又は空中線電力の検査を行う。

総務省令で定める時期、つまり定期検査の実施時期は電波法施行規則の別表第5号に規定されています。

航空無線通信士に関連するところを抜粋すると↓

  • 航空局

(1)航空交通管制に関する通信を取り扱い、又は電気通信業務等を行うことを目的として開設するもの:1年
(2)航空法の一部を改正する法律(平成11年法律第72号)の規定による改正前の航空法第2条第17項の定期航空運送事業を遂行することを目的として開設するもの:2年
(3)(1)及び(2)に該当しないもの:5年

  • 航空機局:1年
  • 航空地球局

(1)航空機の安全運航又は正常運航に関する通信を行うもの:1年
(2)(1)に該当しないもの:5年

  • 航空機地球局:2年

また、航空法第60条によって搭載が義務付けられている“義務航空機局”についてはこの規定とは別に、1,000時間使用するたびに一回の試験が義務付けられています↓

電波法 第73条(検査)

2.前項の検査は、当該無線局についてその検査を同項の総務省令で定める時期に行う必要が無いと認める場合及び当該無線局のある船舶又は航空機が当該時期に外国地を航行中の場合においては、同項の規定にかかわらず、その時期を延期し、又は省略することができる。

原則的に定期検査は法令に定められた時期に行われなければならない訳ですが、以下の場合は定期検査の時期を延期、又は省略することができるとされています。

  • 電波法施行規則の別表第5号に規定されている時期に定期検査を行う必要が無いと総務大臣が認めた場合。
  • 無線局を搭載した船舶又は航空機が国外を航行している場合。

電波法 第73条(検査)

3.第1項の検査は、当該無線局(人の生命又は身体の安全の確保のためその適正な運用の確保が必要な無線局として総務省令で定めるものを除く。)の免許人から第1項の規定により総務大臣が通知した期日の1月前までに、当該無線局の無線設備について登録検査等事業者(無線設備等の点検の事業のみ行うものを除く。)が、総務省令で定めるところにより、当該登録に係る検査を行い、当該無線設備がその工事設計に合致しており、かつ、その無線従事者の資格及び員数並びに時計及び業務書類が電波法第60条の規定にそれぞれ違反していない旨を記載した証明書(検査結果証明書)の提出があった時は、第1項の規定にかかわらず、省略することができる。

電波法第73条の第1項にある通り、無線局の検査は総務省の職員が行うものとされていますが、登録”検査”事業者の行う総務省令に基づいた検査を受け、電波法第60条の規定に違反していない旨を記載した検査結果証明書を定期検査の期日の1月前までに提出すれば、総務省の職員による検査を省略することができるとされています。

これは、『総務省の職員を派遣しての検査』を省略することができるというだけの話で、定期検査自体を省略できるわけでは無いということに注意しましょう!

電波法第60条と備え付け書類についてはこちらで解説しています↓

電波法 第73条(検査)

4.第1項の検査は、当該無線局の免許人から、同項の規定により総務大臣が通知した期日の1箇月前までに、当該無線局の無線設備等について登録検査等事業者又は登録外国点検事業者により総務省令で定めるところにより行った当該登録に係る点検の結果を記載した書類(点検結果通知書)の提出があった時は、第1項の規定にかかわらず、その一部を省略することができる。

定期検査を登録“点検”事業者に依頼することも出来、定期検査の期日の1月前までに点検結果を記載した”点検結果通知書”を提出することになっていますが、この場合は定期検査の一部を省略することができるとされています。

これは、登録“点検”事業者が行うのは点検のみで、その点検の結果の判定までは行えないからです。

臨時検査

臨時検査では、電波法の目的を達成するために、無線設備等のうち必要な範囲についてのみ検査が行われます。

電波法 第73条(検査)

5.総務大臣は、電波法第71条の5の無線設備の修理その他の必要な措置をとるべきことを命じたとき電波法第72条第1項の電波の発射の停止を命じたとき、同条第2項の申出があったとき、無線局のある船舶又は航空機が外国へ出国しようとするとき、その他この法律の施行を確保するために特に必要があるときは、その職員を無線局に派遣し、その無線設備を検査させることができる。

6.総務大臣は、無線局のある船舶又は航空機が外国へ出港しようとする場合その他この法律の施行を確保するために特に必要がある場合において、当該無線局の発射する電波の質又は空中線電力に係る無線設備の事項のみについて検査を行う必要があると認める時は、その無線局に電波の発射を命じて、その発射する電波の質又は空中線電力の検査を行うことができる。

臨時検査が行われるのは

  1. 技術基準適合命令により無線設備の修理などの措置を命じたとき
  2. 電波の発射停止を命じたとき
  3. 電波の発射の停止を命じた無線局が発射する電波の質が電波法第28条の総務省令で定めるものに適合するに至ったと申出があったとき
  4. 無線局のある船舶又は航空機が外国に向けて出港するとき
  5. その他特に必要があるとき

このうち、1~3に関しては、不適法運用等の監督において無線局の修理などの措置や、電波の発射の停止を命じた局に対し、正しく修理や調整が出来ているかどうかを確認するために行われるものです。

4については、外国に向けて運航するたびに必ず検査が行われるという訳では無く、何らかの重大な不具合が発生した場合にのみ、必要に応じて総務省の職員を派遣して検査が行われます。

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