航空無線通信士の試験対策:法規その24 遭難通信を受信した場合の措置

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遭難通信を受信した航空局等の取るべき措置

遭難通信を受信した無線局は遭難している無線局に対して速やかに応答してしかるべき措置をとらなければいけません。

無線局運用規則では、航空局、航空地球局、航空機局が遭難通信を受信した場合の措置について次のように規定しています。

航空局が遭難通信を受信した場合

無線局運用規則 第171条の3(遭難通信等を受信した航空局のとるべき措置)

航空局は、自局を宛先として送信された遭難通信を受信した時は、直ちにこれに応答しなければならない。

2.航空局は、自局以外の無線局(海上移動業務の無線局を除く。)を宛先として送信された遭難通報を受信した場合において、これに対する当該無線局の応答が認められないときは、遅滞なく、当該遭難通報に応答しなければならない。ただし、他の無線局が既に応答した場合にあっては、この限りではない。

3.航空局は、宛先を特定しない遭難通信を受信した時は、遅滞なく、これに応答しなければならない。ただし、ほかの無線局が既に応答した場合にあっては、この限りではない。

4.航空局は、前3項の規定により遭難通報に応答した時は、直ちに当該遭難通報を航空交通管制の機関に通報しなければならない。

5.航空局は、携帯用位置指示無線標識の通報、衛星非常用位置指示無線標識の通報又は航空機用救命無線機等の通報を受信した時は、直ちにこれを航空交通管制の機関に通報しなければならない。

航空局が遭難通信を受信した場合の措置は

  • 自局に宛てた遭難通信の場合 → 直ちに応答
  • 他局に宛てた遭難通信で呼び出されている航空局が応答していない場合 → 遅滞なく遭難通報に応答
  • 宛先を特定しない遭難通信を受信した場合 → 遅滞なく遭難通報に応答

遭難通報に応答したら直ちにその通報を航空交通管制機関に通報しなければいけません。

ここで“直ちに”、“速やかに”といった即応性を表現するための言葉が出てきましたが、これらの言葉の優先順位を付けると

直ちに速やかに遅滞なく

となります。

とはいえ、その言葉であってもすぐに遭難通信に応答しなければいけませんので、実質的には違いはないような気がしますが…。

航空地球局が遭難通信を受信した場合

無線局運用規則 第171条の4(遭難通信等を受信した航空地球局のとるべき措置)

航空地球局は、遭難通報を受信したときは、遅滞なく、これに応答し、かつ、当該遭難通報を航空交通管制の機関に通報しなければならない。

“航空地球局”は、「陸上に開設する無線局であって、人工衛星局の中継により航空機地球局と無線通信を行う(電波法第70条の3第2項)」無線局のことです。

インマルサットなどを使って遭難通信を行う場合を想定した規定ですね。

一般的な電話と同じように、通信相手をあらかじめ指定して直接通話できるので、上の“航空局が遭難通信を受信した場合”の規定のように、「宛先を特定しない遭難通信を受信する」といったことは起こりません。

航空地球局が遭難通信を受信した場合も、遅滞なくその遭難通報を航空管制機関に通報しなければならないと定められています。

航空機局が遭難通信を受信した場合

航空機局が遭難通信を受信した場合の措置ですが、無線局運用規則を見ると↓

無線局運用規則 第171条の5(遭難通信等を受信した航空機局のとるべき措置)

第171条の3第2項から第5項までの規定は、航空機局に準用する。この場合において、同条第4項中「前3項」とあるのは、「第171条の5において準用する前2項」と読み替えるものとする。

となっているため、航空局が遭難通信を受信した場合の規定を準用するように規定されています。

航空機局の規定の一部準用や読み替えがあるのでややこしいですが、“第171条の3”を航空機局向けにするなら…

航空局は、自局以外の無線局(海上移動業務の無線局を除く。)を宛先として送信された遭難通報を受信した場合において、これに対する当該無線局の応答が認められないときは、遅滞なく、当該遭難通報に応答しなければならない。ただし、他の無線局が既に応答した場合にあっては、この限りではない。

2.航空局は、宛先を特定しない遭難通信を受信した時は、遅滞なく、これに応答しなければならない。ただし、ほかの無線局が既に応答した場合にあっては、この限りではない。

3.航空局は、前2項の規定により遭難通報に応答した時は、直ちに当該遭難通報を航空交通管制の機関に通報しなければならない。

4.航空局は、携帯用位置指示無線標識の通報、衛星非常用位置指示無線標識の通報又は航空機用救命無線機等の通報を受信した時は、直ちにこれを航空交通管制の機関に通報しなければならない。

といった感じですかね?

前回の記事で遭難通信の宛先について触れていますが↓

遭難通信というのは原則的に

  • 直前まで通信していた航空局
  • 責任航空局
  • 交通情報航空局
  • その他適当と認める航空局

のいずれを宛先とするように規定されています。

このため、航空機局を宛先として、つまり航空機局を呼出す遭難通信というのが無いため、航空機局が遭難通信に応答することはまずありえない訳ですが、呼び出されている局が応答しない場合や、宛先を特定しない遭難通信を受信する場合もありますからね。

そういった場合の措置としてこの規定があるわけです。

遭難通報を受信した場合は、直ちにその遭難通報を航空交通管制機関に通報しなければいけません。

遭難通信に対する応答

他のあらゆる通信と同じように、遭難通信に対する応答要領も法令によって規定されています。

無線局運用規則 第172条(遭難通信に対する応答)

航空局又は航空機局は、遭難通報を受信した場合において、無線電話によりこれに応答するときは、次に掲げる事項(遭難航空機と現に通信を行っている場合は、第3号及び第4号に掲げる事項)を順次送信して応答しなければならない。

(1)遭難通報を送信した航空機局の呼出符号又は呼出名称:1回
(2)自局の呼出符号又は呼出名称:1回
(3)「了解」又はこれに相当する他の略語:1回
(4)「遭難」又はこれに相当する他の略語:1回

この条文に出てくる「了解」に相当する略語は“WILCO(ウィルコ)”、「遭難」に相当する略語は“distress(ディストレス)”になるようです。

無線局運用規則 第172条の2(遭難通信の宰領)

前条の規定により応答した航空局又は航空機局は、当該遭難通信の宰領を行い、又は適当と認められる他の航空局に当該遭難通信の宰領を依頼しなければならない。

2.前項の規定により遭難通信の宰領を依頼した航空局又は航空機局は、遭難航空機局に対し、その旨を通知しなければならない。

遭難通信の宰領というのは“遭難通信に係る無線局に指示し、取りまとめを行う”こと。

原則的には遭難通信を一番初めに受信して応答した局が遭難通信を宰領する無線局(宰領局)となるわけですが、自局が遭難通信を宰領することが適当ではない場合は他の”航空局”に宰領を依頼しなければなりません。

そして、遭難通信の宰領を他の航空局に依頼した場合は、それを遭難している航空機局に通知しなければならないと定められています。

遭難通報に応答した航空局の取るべき措置

無線局運用規則 第172条の3(遭難通報等に応答した航空局の取るべき措置)

航空機の遭難に係る遭難通報に対し応答した航空局は、次の(1)、(2)に掲げる措置をとらなければならない。

(1)遭難した航空機が海上にある場合には、直ちにもっとも迅速な方法により、救助上適当と認められる海岸局に対し、当該遭難通報の送信を要求すること。
(2)当該遭難に係る航空機を運航する者に遭難の状況を通知すること

条文に出てくる“海岸局”とは「船舶局と通信を行うため陸上に開設する無線局(電波法第62条第2項)」又は「船舶局又は遭難自動通報局と通信を行うために陸上に開設する移動しない無線局(電波法施行規則第4条第1項第4号)」のことを言います。

洋上を飛行中の航空機からの遭難通信に応答した場合は、救助上適当と認められる海岸局、つまり遭難海域の最寄りの海岸局に対して遭難通報の送信を要求しなければなりません。

同時に、遭難通信を送信している航空機を運航している航空会社などに遭難の状況を通知しなければならないとされています。

遭難通信の終了

無線局運用規則 第173条(遭難通信の終了)

遭難航空機局(遭難通信を宰領したものを除く。)は、その航空機について救助の必要がなくなった時は、遭難通信を宰領した無線局にその旨を通知しなければならない。

無線局運用規則 第174条(遭難通信の終了)

遭難通信を宰領した航空局又は航空機局は、遭難通信が終了した時は、直ちに航空交通管制の機関及び遭難に係る航空機を運航する者その旨を通知しなければならない

遭難の事態が解消し、救助の必要がなくなった場合は、遭難通信の宰領局に対して遭難通信の終了を通知しなければなりません。

遭難通信の終了を通知された宰領局は、直ちに

  • 航空交通管制機関
  • 遭難状態にあった航空機の運航会社等

に、遭難通信が終了した(遭難の事態が解消した)ことを通知しなければいけません。

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