航空無線通信士の試験対策:法規その21 航空機局の通信連絡その2

パイロットへの道のり

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非常用周波数の使用制限

航空機が遭難してしまった場合に救難信号を発信する周波数として国際的に規定されているのが“121.5MHz”の航空用非常周波数で、この周波数は原則的には救難信号以外には使えないことになっています。

無線局運用規則 第153条(121.5MHz等の電波の使用制限)

121.5MHzの電波の使用は、次に掲げる場合に限る

(1)急迫の危険状態にある航空機の航空機局と航空局との間に通信を行う場合で、通常使用する電波が不明であるとき又は他の航空機局のために使用されているとき

(2)捜索救難に従事する航空機の航空機局と遭難している船舶の船舶局との間に通信を行う時。

(3)航空機局相互間又はこれらの無線局と航空局若しくは船舶局との間に共同の捜索救難のための呼出し、応答又は準備信号の送信を行うとき

(4)121.5MHz以外の周波数の電波を使用することができない航空機局と航空局との間に通信を行うとき

(5)無線機器の試験又は調整を行う場合で、総務大臣が別に告示する方法により試験信号の送信を行うとき。

(6)前各号に掲げる場合を除くほか、急を要する通信を行うとき。

ただし、遭難信号を送る場合以外にも

  • 急迫の危険状態(緊急事態)にある航空機の航空機局と航空局との間に通信を行う場合で、使用する電波が不明であるとき
  • 121.5MHzの電波がすでに他の通信に使用されているとき
  • 航空機局同士、又は航空機局と航空局や船舶局が共同で捜索救難の呼出、応答又は準備信号の送信を行うとき
  • 121.5MHz以外の周波数の電波を使用することが出来ない場合

には非常周波数を使用することができるとされています。

使用電波の指示

航行中の航空機の航空機局は、責任航空局によって指示された周波数の電波を使用して通信を行います。

また、責任航空局は自局と通信する航空機局に対して無線局運用規則で規定されている範囲内で通信に使用する電波を指示しなければいけません。

無線局運用規則 第154条(使用電波の指示)

責任航空局は、自局と通信する航空機局に対し、第152条(周波数の使用区別)の使用区別の範囲内において、当該通信に使用する電波の指示をしなければならない。ただし、同条の使用区別により、当該航空機局の使用する電波が特定している場合は、この限りでは無い。

2.交通情報航空局は、自局と通信する航空法第96条の2(航空交通情報入手のための連絡)第2項の規定の適用を受ける航空機の航空機局に対し、第152条の使用区別の範囲内において、当該通信に使用する電波の指示をしなければならない。ただし、同条の使用区別により当該航空機局の使用する電波が特定している場合は、この限りではない。

3.航空機局は、第1項又は第2項の規定により指示された電波によることを不適当と認める時は、その指示をした責任航空局又は交通情報航空局に対し、その指示の変更を求めることができる。

4.航空無線電話通信網に属する責任航空局は、第1項の規定による電波の指示に当たっては、第1周波数(当該航空無線電話通信網内の通信において一次的に使用する電波の周波数をいう。)及び第2周波数(当該航空無線電話通信網内の通信において二次的に使用する電波の周波数をいう。)それぞれ区別して指示しなければならない

5.前項の責任航空局は、第1項及び前項の規定により電波の指示をしたときは、所属の航空無線電話通信網内の他の航空局に対し、その旨及び指示した電波の周波数を通知しなければならない。使用電波の指示を変更した場合も同様とする。

条文冒頭に出てくる“無線局運用規則 第152条”では航空移動業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別を規定するものですが、具体的な電波の型式と周波数は総務省令で別に告示されています。

また、“航空法第96条の2”とは『航空交通情報を入手するための連絡』について規定しています。

航空法第96条の2

航空機は、航空交通情報圏又は民間訓練試験空域において航行を行う場合は、当該空域における他の航空機の航行に関する情報を入手するため、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に連絡した上、航行を行わなければならない。ただし、前条第一項の規定による指示に従っている場合又は連絡することが困難な場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。

2.航空機は、次に掲げる航行を行っている間は、前項の規定による情報を聴取しなければならない。ただし、前条第一項の規定による指示に従つている場合又は聴取することが困難な場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。

(1)航空交通情報圏における計器飛行方式による航行

(2)民間訓練試験空域における第九十五条の三の国土交通省令で定める飛行

3.国土交通大臣は、航空交通情報圏又は民間訓練試験空域ごとに、前2項の規定による規制が適用される時間を告示で指定することができる。

とあります。

これらの引用された法律を踏まえて2つの航空局の違いをまとめると

  • 責任航空局
    自局と通信するすべての航空機局に対して、当該通信に使用する電波の指示を行う。
  • 交通情報航空局
    航空交通情報圏又は民間訓練空域を飛行する航空機に対して使用する電波の指示を行う。

となりますね。

その次に出てくる“航空無線電話通信網”というのは、『一定の区域において、航空機局及び2以上の航空局が、共通の周波数により運用され、一体となって形成する無線電話通信の系統』のことで、これに属する責任航空局が使用する電波を指示する場合、第1周波数と第2周波数をそれぞれ区別して指示しなければならず、周波数を指示又は変更したことを同じ航空無線電話通信網に属している航空機局に通知しなければいけません。

一方送信

航空機に搭載される航空機局、特に義務航空機局にあっては、飛行前に点検して完全に使用できる状態にあるか確認しなければならないとされています。

無線局運用規則 第9条の2(義務航空機局の無線設備の機能試験)

義務航空機局においては、その航空機の飛行前にその無線設備が完全に動作できる状態にあるのかどうかを確かめなければならない。

とはいえ無線機も人が作ったものなので、常に完璧に作動するとも限らない…。

万が一受信装置が故障した場合を想定しているのが“一方送信”に関する規定です。

無線局運用規則 第162条(一方送信)

航空機局は、その受信設備の故障により責任航空局と連絡設定ができない場合で一定の時刻又は場所における報告事項の通報があるときは、当該責任航空局から指示されている電波を使用して一方送信により当該通報を送信しなければならない。

2.無線電話により前項の規定による一方送信を行うときは、「受信設備の故障による一方送信」の略語又はこれに相当する他の略語を前置し、当該通報を反復して送信しなければならない。この場合においては、当該送信に引き続き、次の通報の送信予定時刻を通知するものとする。

飛行中に受信設備の故障してしまい、責任航空局との連絡ができない場合で定時通報や位置通報を行う必要がある場合、事前に責任航空局から指示されている電波を使用して、一方送信によってこれらの通報を行わなければいけません。

この際、定時通報や位置通報の前に「受信設備の故障による一方送信」を意味する略語を送信することとされています。

一方送信の略語は“TRANSMITTING BLIND”や“TRANSMITTING BLIND DEW TO RECEIVER FAILURE”です。

もはや略語になっていないような気もしますね…。

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