航空無線通信士の試験対策:法規その20 航空機局の通信連絡その1

パイロットへの道のり

前回は航空機局の運用することのできる条件や、運用することが義務付けられて時間(運用義務時間)、運用中に常に聞いておかないといけない周波数などについて解説していきました↓

今回は航空機局に定められている連絡通信の相手方と、準用して適用される規則について解説していきます。

航空機局の通信相手

航空機局は原則的に航行中と、その航行の準備中に限って運用することが認められていますが、同時に航行中は常時運用することが定められています。

航行中の連絡通信の相手方も定められ、電波法では次のように規定されています。

電波法 第70条の5(航空機局の通信連絡)

航空機局は、その航空機の航行中は、総務省令(無線局運用規則第152条から第167条)で定める方法により、総務省令(無線局運用規則第149条)で定める航空局と連絡しなければならない。

無線局運用規則 第149条(航空機局の通信連絡)

電波法第70条の5の規定により、航空機局が連絡しなければならない航空機局は、責任航空局又は交通情報航空局とする。ただし、航空交通管制に関する通信を取り扱う航空局で、他に適当な物があるときは、その航空局とする。

2.責任航空局に対する連絡は、やむを得ない事情があるときは、他の航空機局を経由して行うことができる

3.航空情報航空局に対する連絡は、やむを得ない事情があるときは、これを要しない。

航空機局の航行中の通信連絡の相手方として定められているのは“責任航空局”と“交通情報航空局”です。

  • 責任航空局とは?
    該当する航空機の管制についての責任を有する航空局のこと
  • 航空情報航空局とは?
    航空法施行規則第202条の4に規定される航空交通情報に関する情報を提供する航空局で、交通量の少ない空域を航行する航空機局に対して航空交通情報を与える。

これらの航空局に加え、航空交通管制に関する通信を行う適切な航空局があれば、そちらと連絡しなければいけません。

また、電波伝搬の関係でこれらの航空局と直接連絡することが出来ない場合、他の航空機局に中継を依頼することも出来ます。

他の無線局の運用規定の準用

航空機局と航空機局の運用に関する規則の一部は、船舶局の運用に関する規則が準用されます。

電波法 第70条の6(準用)

電波法第69条(船舶局の機器の調整のための通信)の規定は、航空機局及び航空局の運用について準用する。

2.電波法第66条(遭難通信)及び、第67条(緊急通信)の規定は、航空局等の運用について準用する。

航空無線通信士の試験にはあまり絡んできませんが、電波法70条に記載されている条文をピックアップしてみました↓

  • 電波法第69条
    海岸局又は船舶局は、他の船舶局から無線設備の機器の調整のための通信を求められたときは、支障のない限り、これに応じなければならない。

  • 電波法第66条
    海岸局、海岸地球局、船舶局及び船舶地球局は、遭難通信を受信したときは、他の一切の無線通信に優先して、直ちにこれに応答し、かつ、遭難している船舶又は航空機を救助するため最も便宜な位置にある無線局に対して通報する等総務省令で定めるところにより救助の通信に関し最善の措置をとらなければならない。
    2.無線局は、遭難信号又は第52条第1号の総務省令で定める方法により行われる無線通信を受信したときは、遭難通信を妨害するおそれのある電波の発射を直ちに中止しなければならない。航空法施行規則第202条の4に規定される航空交通情報に関する情報を提供する航空局で、交通量の少ない空域を航行する航空機局に対して航空交通情報を与える。

  • 電波法第67条
    海岸局等は、遭難通信に次ぐ優先順位をもつて、緊急通信を取り扱わなければならない。
    2.海岸局等は、緊急信号又は第52条第2号の総務省令で定める方法により行われる無線通信を受信したときは、遭難通信を行う場合を除き、その通信が自局に関係のないことを確認するまでの間(総務省令で定める場合には、少なくとも三分間)継続してその緊急通信を受信しなければならない。

「なぜ船舶局向けの条文が準用されるのか?」という疑問がありますが、航空機の運用や運航の規則は船舶のものをベースとして発展してきたことや、航空機も船舶と同じく、国を跨いで運行することが多いため国際的な規則が制定されていることが理由となっているなんてことを聞いたことがありますね。

通信の優先順位

複数の無線局が同一の周波数で電波を発射した場合、混信が起こってしまい正常な通信を行うことができなくなってしまいます。

これを防ぐために各種の法令や規則が制定され、無線局の目的別に使用周波数帯が分別され、通話方法についてもある程度の規則が定められています。

以前解説した通話方法に関する規則もその一つですが↓

これとは別に通信の優先順位というものが次のように定められています↓

無線局運用規則 第150条(通信の優先順位)

航空移動業務及び航空移動衛星業務における通信の優先順位は、次の(1)から(7)の順番によるものとする。

(1)遭難通信
(2)緊急通信
(3)無線方向探知に関する通信
(4)航空機の安全運航に関する通信
(5)気象通報に関する通信
(6)航空機の正常運航に関する通信
(7)前各号に掲げる通信以外の通信

2.ノータム(航空施設、航空業務、航空方式又は航空機の航行上の障害に関する事項で、航空機の運航関係者に迅速に通知すべきものを内容とする通報をいう。)に関する通信は、緊急の度に応じ、緊急通信に次いでその順位を適時選ぶことができる

この条文に出てくる“安全運航に関する通信”と“正常運航に関する通信”についてですが、この2つの通信には

  • 航空機の安全運航に関する通信:航空交通管制機関との通信(航空管制通信)
  • 航空機の正常運航に関する通信:航空機と運航会社との間の通信(運行管理通信、航空業務通信)

という違いがあります。

当たり前ですが、遭難通信や緊急通信といった、人命に直結する通信は優先順位が最も高く、運行会社の社内連絡は優先順位が低いです。

また、ノータム(NOTAM:NOtice To AirMan)の情報は、その緊急度や航行上の危険性の度合いに応じて通信の優先順位が変わるとされています。

航空機局の運用中にある周波数で航空局と通信しようとした場合、通信内容が遭難通信や緊急通信であれば何のためらいもなく相手局を呼び出すことが出来ますが、通常の航空管制通信(例えば空港周辺の空域への進入や着陸許可)の場合は、呼出前にその周波数が空いていることを確認しなければいけないということになります。

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