航空無線通信士の試験対策:法規その18 無線での通話方法

パイロットへの道のり

電波は空間を四方八方に拡散していくので、中止して使わないと混信や妨害を招いてしまします。

これを防ぐために無線機器の免許制度や認証制度、あるいは無線機器を取り扱う無線従事者の免許制ドアが整備されているわけですが、これ以外にも色々な法律や規則が整備され、意外な所では無線通信の通話方法というものも整備されていたりします。

今回は限られた電波資源を有効に活用するために整備された“法律的に正しい無線電話の通話要領”について解説していきます。

ちなみに今回解説する通話要領は航空無線通信に限定されたものでは無く、無線通信全般に適用される大原則のような物になります。

これからアマチュア無線を始めてみようなんて言う人の参考にもなるかもしれません。

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電波の発射前の措置

無線通信を行うために電波を発射するときは、送信機を作動させる前に他の通信に混信を与えない(すでにその周波数を使用している無線局が無い)ことを確認する必要があります。

無線局運用規則 第19条の2(発射前の措置)

無線局は、相手局を呼び出そうとするときは、電波を発射する前に、受信機を最良の感度に調整し、自局の発射しようとする電波の周波数その他必要と認める周波数によって聴取し、他の通信に混信を与えないことを確かめなければならない。

ただし、遭難通信、緊急通信、安全通信及び電波法第74条第1項(非常の場合の無線通信)に規定する通信を行う場合並びに海上移動業務以外の業務において他の通信に混信を与えないことが確実である電波により通信を行う場合は、この限りでは無い。

2.前項の場合において、他の通信に混信を与えるおそれがあるときは、その通信が終了した後でなければ呼出しをしてはならない。

​まずは受信機をこれから使う予定の周波数に合わせ、他の無線局が通信していないことを確認しましょう。

複数の受信装置がある場合は使用する予定のある他の周波数も同時に確認しておきます。

アマチュア無線の場合だと、他の無線局を呼出すための専用の周波数が設定されているため、送信前に呼出周波数と呼出後に相手と通話するための移動先の適当な周波数を確認したりなんてことをしますね。

原則的には送信前に周波数の空を確認することになていますが、遭難通信や緊急通信など、人命財産を保護するための通信や、非常の場合の無線通信などを行う場合は例外となるので、送信前の確認を省略することができます。

また、使用周波数があらかじめ法律によって規定されている場合や、無線通信の統制を行う機関から指示された周波数を使用する場合など、自局の発射した電波が他の通信に混信を与えないことが確実な場合も、送信前の確認を省略することができます。

これには業務用の簡易無線や、特定小電力無線機のように、あらかじめチャンネルが設定されていて周波数を変更することができない無線機が該当します。

相手局の呼出し​

使用する周波数が開いていることが確認出来たら、相手の無線局を呼出しますが、呼出し方法も法令で定められています。

無線局運用規則 第20条(呼出し)第1項

呼出しは、順次送信する次に掲げる事項(以下「呼出事項」という。)によって行うものとする。

(1)相手局の呼出符号3回以下(海上移動業務にあって2回以下)
(2)DE1
(3)自局の呼出符号:3回以下(海上移動業務にあては2回以下)

​2番の“DE”というのは無線電信(モールス通信)の無線略号で、「~より、~から」といった意味を持つ符号になります。

無線電話の場合は“DE”ではなく『こちらは』​と口頭で送信します。

一般的な無線通信の呼出し方法は上記の通りですが、航空移動業務などの場合は、無線局運用規則第154条の2の規定により

1.相手局の呼出符号(3回以下)

2.自局の呼出符号(3回以下)

で呼び出しを行うように規定されています。

呼出の反覆

相手局がこちらの呼出しに応答しない場合は、呼出を繰り返します。

無線局運用規則 第154条の3(呼出の反復)

無線電話通信においては、航空機局は航空局に対する呼出しを行っても応答がない時は、少なくとも10秒間の間を置かなければ、呼出しを反復してはならない。

ただし、飛行機に搭載されている航空機局から、航空管制を行う航空局を呼出して応答がない場合、周波数の占有を避けるために最低でも10秒間の間隔をあけて呼出を繰り返すように規定されています。

呼出しの中止​

相手局を呼び出すための通信が他の無線局の通信を妨害してしまった場合、速やかに呼出しを中止しなければいけません。

無線局運用規則 第22条(呼出しの中止)

無線局は、自局の呼出しが他の既に行われている通信に混信を与える旨の通知を受けた時は、直ちにその呼出しを中止しなければならない。無線設備の機器の試験又は調整のための電波の発射についても同様とする。

2.前項の通知をする無線局は、その通知をするに際し、分で表す概略の待つべき時間を示すものとする。

妨害を受けた側の無線局は、混信を与えていることを通知すると同時に、分単位でのおおよその待ち時間を通知します。

​この規定は呼出しだけではなく、無線機器の試験や調整のための試験電波の発射を行う場合にも適用されます。

無線局運用規則 第39条(試験電波の発射)※一部改変

無線局は、無線機器の試験又は調整のために電波の発射を必要とするときは、発射する前に自局の発射しようとする電波の周波数及びその他必要と認める周波数によって聴守し、他の無線局の通信に混信を与えないことを確かめた後、次の符号を順次送信し、更に1分間聴守を行い、他の無線局から停止の請求が無い場合に限り「本日は晴天なり」の連続および自局の呼出符号1回を送信しなければならない。

この場合において、「本日は晴天なり」の連続及び自局の呼出符号の送信は10秒間を超えてはならない。

(1)ただいま試験中:3回
(2)自局の呼出符号:3回

2.試験又は調整中は、しばしばその電波の周波数により聴守を行い、他の無線局から停止の要求がないかどうかを確かめなければならない

3.海上移動業務以外の業務の無線局にあっては、必要があるときは、10秒間をこえて「本日は晴天なり」の連続及び自局の呼出符号の送信をすることができる。

呼出しに対する応答

応答要領

呼出しを受けた無線局の応答要領についても法令による規定があります。

無線局運用規則 第23条(応答)※一部改変

無線局は、自局に対する呼び出しを受信した時は、直ちに応答しなければならない。

2.前項の規定による応答は、順次送信する次に掲げる事項(「応答事項」という。)によって行うものとする。

(1)相手局の呼出符号:3回以下
(2)自局の呼出符号:1回

3.前項の応答に際して直ちに受信しようとするときは、応答事項の次に「どうぞ」を送信するものとする。ただし、直ちに通報を受信することが出来ない事由があるときは、「どうぞ」の代わりに「お待ちください」及び分で表す概略の待つべき時間を送信するものとする。概略の待つべき時間が10分以上の時は、その理由を簡単に送信しなければならない。

当たり前の話ですが、呼出を受けた無線局は速やかにそれに応答しなければいけません。

普段の会話でもせっかく声をかけたのに無視されたら悲しいですよね?

っていうのは冗談ですが、呼び出されてすぐに応答してやらないと、いつまでも呼出が繰り返されることになるので、貴重な周波数を無駄に占有することになってしまいます。

呼出を受けたら上記の通り

  1. 相手局の呼出符号(3回以下)
  2. 自局の呼出符号(1回)

と返答することになっていますが、いきなり『どうぞ』と返答しても問題はありません。

また、すぐに応答できない場合には分単位でのおおよその待ち時間を呼出してきた無線局に対して通知し、待ち時間が10分以上になることが予想される場合は、その理由について簡単に説明しなければいけません。

不確実な呼出しに対する応答

他の無線局からの呼出しが自局に対するものなのかどうかがはっきりしない場合、その呼出に対して応答してはいけないとされています。

無線局運用規則 第26条(不確実な呼出しに対する応答)

無線局は、自局に対する呼出しであることが確実ではない呼出しを受信した時は、その呼出しが反覆され、かつ、自局に対する呼出しであることが確実に判明するまでは応答してはならない

2.自局に対する呼出しを受信した場合において、呼出局の呼出符号が不確実であるときは、応答事項のうち相手の呼出符号の代わりに「誰かこちらを呼びましたか」を使用して、直ちに応答しなければならない。

​こういった場合、こちらが応答しなければ相手局が呼出を繰り返すので、何度か呼出しを聞いて、その呼出しが自局に対するものであることを各省できるまで待てばいいわけです。

また、応答事項を応用して

  1. 「誰かこちらを呼びましたか?」
  2. 自局の呼出し符号

といった感じでこちらから呼び出している局を確認することも出来ます。

通報の送信​

“通報”というとなんとも不穏な印象を受けますが、要は無線を使って相手に伝えたい内容、つまりは連絡事項の事です。

無線局運用規則 第29条(通報の送信)※一部改変

呼出に対し応答を受けた時は、相手局が「お待ちください」を送信した場合及び呼出しに使用した電波以外の電波に変更する場合を除いて、直ちに通報の送信を開始するものとする。

2.通報の送信は、次に掲げる事項を順次送信して行うものとする。ただし、呼出しに使用した電波と同一の電波により送信する場合は、(1)から(2)までに掲げる事項の送信を省略することができる。

(1)相手局の呼出符号:1回
(2)自局の呼出し符号:1回
(3)通報
(4)「どうぞ」:1回

3.この送信において、通報は「終わり」を持って終わるものとする。

限りある電波資源を有効に活用するため、可能な限り周波数の占有を防がなければいけないので、通報は簡潔明瞭に行わなければいけません。

普段の会話のように時候のあいさつや天気の話題などといったとりとめのない会話などはせずに、速やかに本題に移りましょう。

また、呼出周波数が規定されている場合には、呼出とそれに対する応答が済んだら速やかに別の開いている周波数に移動しなければいけません。

具体的な通話方法は

  1. 相手局の呼出し符号
  2. 自局の呼出し符号
  3. 連絡事項
  4. 「どうぞ」

というフローで行われます。

一通りの通話が終わったら「終わり」を送信して連絡事項が完了したことを相手局に伝えます。

長時間の送信

連絡事項が膨大で長時間の連続した通話を行う必要がある場合、適当なタイミングで自局の呼出し符号を連絡事項に挿入しなければいけません。

無線局運用規則 第30条(長時間の送信)

無線局は、長時間継続した通報を送信するときは、30分(アマチュア無線局にあっては10分)ごとを基準として適当に「こちらは」及び自局の呼出し符号を送信しなければならない。

​適当なタイミングというのはアマチュア無線局は10分、それ以外の無線局は30分が基準となっていて、このタイミングで自局の呼出し符号を送信しなければいけないことになっています。

通信の終了

無線局運用規則 第38条(通信の終了)

通信が終了した時は、「さようなら」を送信するものとする。

相手局との通信が終わったら「さようなら」と送信して一連の通信をクローズします。​

まとめ

通信前の準備から通信終了までの一連のフローをおさらいしていきましょう。

通信を開始する前には受信機を最良の感度に調整して、自局の発射しようとする電波の周波数と必要であると思われる周波数を聴守して、他の通信が行われていないことを確認します。

これは無線局の試験を行うために試験電波を発射するときも同じですが、試験電波を発射する場合には周波数の空を確認したら

  • ただいま試験中(3回)
  • 自局の呼出符号(3回)

を送信した後で1分間その周波数を聴守し、その後10秒以内に「本日は晴天なり」の連続と自局の呼出符号を送信することで試験を行います。

この間、他の無線局からの停止の要求がないかどうかを確かめるため、送信している周波数を聴守しておかなければいけません。

聴守している周波数で通信が行われていないことが分かったら通信の相手局を呼び出しますが、航空機局や航空機局の場合

  • 相手局の呼出し符号(3回以下)
  • 自局の呼出し符号(3回以下)

を送信して相手局を呼び出します。

呼出しても相手局からの応答がない場合には呼出を繰り返しますが、航空機局から航空局に対する呼出しを行っても応答がない場合、最低10秒の間隔をあけて呼出しを繰り返します。

この時に他の無線局の通信を妨害しているという通知があった場合には直ちにその呼出しは中止しなければいけません。

一方で、呼出しを受けた局は直ちに応答しなければなりませんが、その呼出しが自局に対する呼出しであることが確実でない場合、その呼出しが反覆され、かつ、自局に対する呼出しであることが確実に判明するまでは応答してはいけません

呼出された局は

  • 相手局の呼出符号(3回以下)
  • 自局の呼出符号(1回)

を送信して相手局に応答することで、通信の準備が完了します。

準備が完了したら

  • 相手局の呼出符号(1回)
  • 自局の呼出符号(1回)

を送信してこの通信の目的となる連絡事項を相手方に通報します。

連絡事項の伝達が終わったら

  • 「どうぞ」

と送信して相手方からの通報を受けるか

  • 「おわり」

と送信して連絡事項の伝達が終わったことを相手方に伝えます。

無線通信は簡潔明瞭にして周波数の占有を最低限にしなければなりませんが、連絡事項が膨大で通報に時間がかかる場合は、30分に1度を基準として通報中に自局の呼出符号を挿入します。

こうして一通りの通信が完了したら最後に「さようなら」と送信して通信を終了させます。

電話なら相手の電話番号をダイヤルすれば自動的に相手と通話できますし、いちいち自分や相手の電話番号を口にする必要も無いので簡単に相手との連絡が出来ますが、無線の場合は色々とお作法があるので面倒ですね…。

面倒ではあるんですが、同時に複数の無線局とやり取りができますし、他の無線局同士のやり取りを聴守することも出来るという電話にはないメリットもあります。

特に航空無線の場合は、飛行中の他の航空機と管制機関とのやり取りを聴守することで、空域や飛行場の運用状況を把握することが出来るので、安全な航行には無線の方が都合がいいわけです。

ちなみに今回解説した無線での通信方法は、日本国内の一般的な無線通信に規定されている方法になります。

実際には業界や業種ごとに法規を逸脱しない程度のローカルルールがあったりするわけですが、次回からは航空無線の分野での無線通信の運用について解説していきます。

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