航空無線通信士の試験対策:法規その17 無線通信の原則​

パイロットへの道のり

電波法を筆頭とした電波法令では、無線設備の技術的な要件や無線従事者に求められる知識、技能についてだけでなく、無線通信の方法についても原則的な事項を規定しています。

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通信方式

日常生活で他人との円滑なコミュニケーションを図るためには、“挨拶をする”や“他人の話を遮らない”などの自然発生的に生み出され、文化的に統一されたルールやマナーに従う必要があります。

これらのルールやマナーは円滑なコミュニケーションを図るだけではなく、多くの人と効率よく情報交換するためにも必要なわけですが、無線局の運用も人同士の会話と同じで、無線局同士の通信方式を統一する事が出来れば無線局を効率よく運用することが可能になります。

とはいえ、直接顔を合わせて話すにしても方言や風習の違いがあって上手くコミュニケーションが取れないことがあるのに、数キロ離れた場所にいる相手や場合によっては地球の裏側にいる顔の見えない相手と無線でコミュニケーションをとるとなると、暗黙のルールだけではうまくいきません。

そこで無線の世界では電波を効率よく利用できるように世界的に統一された通信方式を定めていて、日本国内では国際法と国内の無線通信の実情をすり合わせ、電波法と関連法規によって通信方法を定めています。

電波法 第61条(通信方式等)

無線局の呼び出し又は応答の方法その他通信方式、時刻の照合並びに救命艇の無線設備及び方位測定装置の調整その他無線設備の機能を維持するために必要な事項の細目は、総務省令で定める。

無線通信の原則​

無線通信の原則的なルールは無線局運用規則に定められています

無線局運用規則 第10条(無線通信の原則)

必要のない無線通信は、これを行ってはならない。

2.無線通信に使用する用語は、出来る限り簡潔でなければならない。

3.無線通信を行う時は、自局の識別信号を付して、その出所を明らかにしなければならない。

4.無線通信は正確に行うものとし、通信上の誤りを知った時は、直ちに訂正しなければならない。

電波の特性上、複数の無線局が同時に同じ周波数を使用してしまうと混信が起こってしまいます。

不用意に混信を起こさないようにするため“必要のないで無線通信を行わない”ことで周波数を開けておかなくてはいけません。

周波数を開けておくためには可能な限り短時間で通信を済ませるというのも有効な方法ですが、これを実現するためにはなるべく簡潔で分かりやすいフレーズを使う必要があります。

簡潔なフレーズを使用すれば通信内容の聞き間違いも起こりませんし、聞き直すために無駄に長い時間周波数を占拠するといったことも起こらなくなります。

また、誤った情報を伝達してしまった場合は速やかに訂正すれば、聞き直しなどの余計な通信を減らすことにもつながるため、周波数を占有する時間を最短にすることができます。

条文に出てくる識別信号は

  • 呼出符号(無線通信全般で使われる)
  • 呼出名称(無線電話で使われる)
  • コールサイン(アマチュア無線、航空無線で良く使われる)

等と呼ぶこともありますね。

無線通信では直接相手の顔を見ることが出来ないので、誰が誰と通信しているかを明確にしておく必要があります。

これらの無線通信の原則に加え、電波法ではアマチュア無線での暗号の使用を禁止しています。

電波法 第58条(アマチュア無線局の通信)

アマチュア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない。

“暗語”とは「特定の人どうしにだけ通じるように作り定めた暗号となる言葉」のことですが、アマチュア無線はあくまで自主的な無線通信の実験と研究が目的であるため、業務無線のような情報の伝達はできないことになっています。

このためアマチュア無線で暗語を使用することが禁止されているわけですが、アマチュア業務以外の無線局であれば憲法と電波法で保障された通信の秘密を保護するため、暗号を使用しても問題はないことになっています。

まとめ

電波法にある無線通信の原則は、国際法である「無線通信規則」の“無線局からの混信”、“局の識別”の規定によって定められたもので、電波法第1条の“電波の能率的な利用”に関わってくる重要な物です。

限られた電波資源を有効に活用するためには、必要のない無線通信を行ってはいけませんし、必要な無線通信も最低限の時間で済ませる配慮が必要になります。

これを実現するためには、簡潔な用語を使って無線通信を行う必要がありますが、同一の組織や集団の内だけで通用する符丁や暗号のような物を使用するのも有効な手段の一つとして考えられます。

ただし、このような限られた身内だけにしか内容の分からない符丁や暗号はアマチュア無線では使用することが出来ません

次回は無線設備を使った通信方法について解説していきます。

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