航空無線通信士の試験対策:法規その11 無線従事者の資格と操作範囲

パイロットへの道のり

前回は主任無線従事者の監督下であれば無線従事者免許が無くても一部の特別な物を除いて無線設備を操作できる制度があるという話でしたが↓

いくら制度上無線従事者免許が無くてもいいとはいえ、仕事として無線設備を操作するのであればちゃんとした免許が欲しいですよね…。

陸上に設置された無線局ならともかくとして、空中を移動する航空機に搭載された無線設備を操作するとなると無線従事者免許証は必須!

パイロットを目指すのであれば、パイロットの訓練を受ける前に無線従事者免許を取得しておかなければ管制塔との通信が出来ませんので、単独飛行はおろか、単独で駐機場から滑走路に移動することも出来ません…。

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無線従事者の資格​

無線従事者の資格は時代や通信技術の変化によって変わってきていますが、2021年時点では

  • 総合無線通信士
  • 航空無線通信士
  • 陸上無線通信士
  • 海上無線通信士
  • アマチュア無線技士

の5つの系統に分類され、これら5つの系統はさらに17の区分に資格が分けられています。

例:第1級総合無線通信士、第2級級海上無線通信士、第3級アマチュア無線技士など

さらに

  • 航空特殊無線技士
  • 陸上特殊無線技士
  • 海上特殊無線技士

の3系統の特殊無線技士があり、こちらは9種類の資格に分けられているので、無線従事者の資格は合計で23種類あることになります。

“無線通信士”と“特殊無線技士”の違いは無線機の操作が“外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作”に限定されているかどうかというところ。

なんだか難しい言葉が羅列されていますが、まず“外部の転換装置”というのは無線機に取り付けられたスイッチやノブなどの事をいいます。

次に出てくる“電波の質”というのは↓

↑こちらでも触れていますが、使用する電波の周波数の偏差(ズレ)や幅、スプリアス放射や不要な周波数成分の事です。

これらを合わせて先ほどの“外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作”を解釈すると、“無線機に取り付けられたスイッチやノブで発射する電波の周波数がズレたり不要な周波数成分を出さない操作”ということになります。

無線通信士の資格には技術操作に対して制限は設けられていませんが、特殊無線技士の資格では“外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさない無線機”の操作しかできません。

“外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさない無線機”というのがイメージしづらいかと思いますが、これは使用する周波数や変調方式や送信出力などがあらかじめチャンネルとして設定されているタイプの無線機で、業務用無線機や簡易無線機、船舶用のレーダー等が該当し、特殊無線技士の操作範囲はこれらの無線機の操作に限定されています。

無線通信士の場合は上記の無線機に加えて、周波数や変調方式、場合によっては出力を変化することができる無線機の操作まで出来るといった感じです。

とはいえ無線通信士も特殊無線技士も等級によって操作可能な範囲が細かく設定されていますので、無線通信士の資格を取ったからと言って何でもかんでも無線機を操作できるという訳ではありません。

この辺りは試験に関係ありませんが、気になる方は電波法施行令第3条第1項および第3項を参照してみてください↓

話が逸れていしまいましたが、航空機に搭載された無線機を使用する、または航空機に搭載された無線機を相手に通信する場合には

  • 第1級総合無線通信士
  • 第2級総合無線通信士
  • 航空無線通信士
  • 航空特殊無線技士

のいずれかの資格が必要になります。

総合無線通信士はその名の通り陸、海、空のあらゆる無線設備を操作できる資格で、当然ですが取得難易度は国内の無線資格の中でも最高峰!

航空無線通信士はは航空運送事業に使用する航空機に搭載された無線機の操作、航空運送事業に使用している航空機との通信行うための資格です。

最後の航空特殊無線技士はエアライン以外の航空機仕様事業(航空測量等)や、自家用機の操縦をするために必要な資格で、航空無線通信士の下位資格とされています。

エアラインのパイロットや航空管制官を目指すのであれば航空無線通信士の資格取得がマストになりますが、それ以外の目的、例えば自家用機の操縦や、航空測量、報道ヘリなどの運行であれば航空特殊無線技士の資格で十分です。

とはいえパイロットの求人情報を見ると、どの会社も航空無線通信士の資格が必須になっているようですが…。

無線従事者免許の取得方法​

無線従事者の免許の取得方法には

  1. 無線従事者国家試験に合格する
  2. 無線従事者養成課程を受講して終了する
  3. 学校(大学、短期大学、高等専門学校、高等学校等)で必要な科目を修めて卒業する
  4. 認定講習を受ける

といった方法があります。

​すべての免許でこれらの方法が該当するわけでもなく、3番については一部の特殊無線技士のみ、4番も第1・2級総合無線通信士と、陸上・海上無線通信士のみが対象となっています。

航空無線通信士の免許を取得するためには

  • 無線従事者国家試験に合格
  • 養成課程を受講して修了する

の2つの方法があります。

免許取得者の推移を調べてみると“無線従事者国家試験に合格”した人の割合が多く、養成課程受講者は全体の1/3程度となっている​用ですね。

ちなみにこの10年くらいの航空無線通信士の国家資格合格率は約40%なのに対して、養成課程受講者の修了試験合格率は98%!

養成課程を受講したほうが確実に免許を取得できそうですが、既定の授業時間数が100時間で平日日中に開催されるところが多い上、受講料もお高めとなっています…。

航空無線通信士の操作範囲​

航空無線通信士の操作できる範囲は

電波法施行令 第3条(操作及び監督の範囲)  ※抜粋の上一部改変

航空無線通信士

1.航空機に施設する無線設備並びに航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)

2.次に掲げる無線設備の外部の調整部分の技術

イ.航空機に施設する無線設備
ロ.航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備で空中線電力250W以下のもの
ハ.航空局及び航空機のための無線航行局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの

と規定されています。

通信操作とは“マイクロフォン、キーボード、電鍵などを使用して通信を行うために無線機を操作すること”とをいい、技術操作とは“通信や放送等が円滑に行われるように、無線機器などを調整すること”をいいます。

航空無線通信士の操作範囲で言えば

  • 通信操作・・・航空交通管制機関や周辺を飛行中の他の航空機等と無線設備を使用して会話すること
  • 技術操作・・・無線設備を使用して会話するために周波数や変調方法を変更すること

が該当します。

まとめ

無線従事者の資格は2021年時点では23種類があり、免許の区分や等級によって無線設備を操作できる範囲が規定されています。

航空機に搭載された無線設備を操作する場合、あるいは航空機に搭載された無線設備と通信するための地上の無線設備を操作するためには

  • 第1級総合無線通信士
  • 第2級総合無線通信士
  • 航空無線通信士
  • 航空特殊無線技士

のいずれかの資格が必要になりますが、一般的には航空無線通信士もしくは航空特殊無線技士の資格があれば十分です。

航空無線通信士の免許は無線従事者国家試験に合格するか、無線従事者養成課程を受講して修了することで取得することが出来ます。

航空無線通信士の資格では

  • 航空機に施設する無線設備並びに航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備の通信操作
  • 航空機に施設する無線設備と航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局で空中線電力250W以下の無線設備の技術操作

といったことが操作可能な範囲として規定されています。

次回は無線従事者免許証に関係する各種手続きについて解説して行きます↓

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