航空無線通信士の試験対策:法規その6 電波の型式

パイロットへの道のり

電波法では、変調方法や信号の性質、情報の種類などで電波の型式をアルファベットと数字で表すように規定しています。

無線工学の通信方式の所でも触れていますが↓

AM変調のDSB(A3E)とSSB(J3E)、それとFM変調(F3E)というのが代表的な電波の形式になるかと思います。

もちろんこの3つ以外にも色々な変調方法がありますし、伝送する情報にも多くの種類があるので、それらの組み合わせでいろいろな型式の表示が設定されます。

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電波の型式の表示

電波の型式の表示方法を定めているのは電波法施行規則で、次のように規定されています↓

電波法施行規則 第4条の2(電波の型式の表示)

電波の主搬送波の変調の形式、主搬送波を変調する信号の性質及び伝送情報の型式は、表3.1~表3.3に掲げるように分類し、それぞれに掲げる記号をもって表示する。ただし、主搬送波を変調する信号の性質を表示する記号は、対応する算用数字をもって表示することがあるものとする。

この規定により、電波を

  • 主搬送波の変調の型式
  • 搬送波を変調する信号の性質
  • 伝搬情報の型式

の観点からそれぞれの分類ごとに記号を割り当て、その記号の組み合わせで型式を表す​ということになっています。

ここでいう記号というのはアルファベットのことなんですが、「主搬送波を変調する信号の性質」を表示する記号については、アルファベットだけでなく算用数字も使用されます。

とまぁ、この規定だけ見ても何が何やらよくわからないと思うので、実際の分類を​見てみることにしましょう。

主搬送波の変調の型式を表す記号​(表3.1)

主搬送波の変調の型式

記号

(1) 無変調

N

(2) 振幅変調

両側波帯

A

前搬送波による単側波帯

H

低減搬送波による単側波帯

R

抑圧搬送波による単側波帯

J

独立側波帯

B

残留側波帯

C

(3) 角度変調

周波数変調

F

位相変調

G

(4) 同時に、又は一定の順序で振幅変調および角度変調をおこなうもの

D

(5) パルス変調

無変調パルス列

P

調

ア.振幅変調

K

イ.幅変調又は時間変調

L

ウ.位置変調又は位相変調

M

エ.パルスの期間中に搬送波を角度変調するもの

Q

オ.アからオまでの各変調の組み合わせ又は他の方法によって変調するもの

V

(6) (1)から(5)までに該当しないものであって、同時に、又は一定の順序で振幅変調、角度変調又はパルス変調のうちの2以上を組み合わせて行うもの

W

(7) その他のもの

X

「主搬送波の変調を表す記号」で重要なのは

  • 振幅変調
    • 両側波帯:A
    • 抑圧搬送波による単側波帯:J
  • 角度変調
    • 位相変調:G

の変調方法と記号です。

無線工学の「通信方式」でも“A”はDSBの型式(A3E)、“J”はSSBの型式(J3B)として出てきましたね!

主搬送波を変調する信号の性質を表す記号(表3.2)

主搬送波を変調する信号の性質

記号

変調信号の無いもの

0

デジタル信号であって単一チャンネルのもの

変調のための副搬送波を使用しないもの

1

変調のための副搬送波を使用するもの

2

アナログ信号である単一チャンネルのもの

3

デジタル信号である2以上のチャンネルのもの

7

アナログ信号である2以上のチャンネルのもの

8

デジタル信号の1又は2以上のチャンネルとアナログ信号の1又は2以上のチャンネルを複合したもの

9

その他のもの

X

「主搬送波を変調する信号の性質を表す記号」で重要なのは

  • デジタル信号であって単一チャンネルのもの
    • 変調のために副搬送波を“使用しない”もの:1
    • 変調のために副搬送波を“使用する”もの:2
  • アナログ信号である単一チャンネルのもの:3

の3つです。

無線工学でも触れている“A3E”や“J3E”といった電波形式の場合は、いずれも“アナログ信号”で“単一のチャンネル”を使用しているということになります。

伝送情報の型式を表す記号​(表3.3)

伝送情報の型式

記号

(1) 無情報

N

(2) 電信

聴覚受信を目的とするもの

A

自動受信を目的とするもの

B

(3) ファクシミリ

C

(4) データ伝送、遠隔測定又は遠隔制御

D

(5) 電話(音響の放送を含む)

E

(6) テレビジョン(映像に限る)

F

(7) (1)から(6)までの型式の組み合わせのもの

W

(8) その他のもの

X

「伝送情報の型式を表す記号」で重要なのは

  • 自動受信を目的とする電信:B
  • データ伝送、遠隔測定又は遠隔制御:D
  • 電話(音響の放送を含む):E
  • その他のもの:X

の4つです。

“A3E”や“F3E”の“E”というのは音声の伝送に使用するための無線電話であることを意味します。

これが電話ではなくモールス信号を送る場合、電波の型式は“A2A(AM、DSB、トーン信号を使用してモールス符号を送信)”や“F2A(FM、トーン信号を使用してモールス符号を送信)”になります。

実際に使用される無線機器の電波の型式の表示

航空無線として実際に使われている無線機器の電波の型式を見てみましょう。

航空交通管制通信に使用されている「中波AMラジオ放送」は

  • A・・・振幅変調で両側波帯を使用
  • 3・・・アナログ信号単一チャンネル
  • E・・・電話

というものなので、電波の型式は“A3E”になります。

航空交通管制以外の通信に使用される「FMのアナログ式無線電話」は

  • A・・・周波数変調を使用
  • 3・・・アナログ信号単一チャンネル
  • E・・・電話

から“A3E”。

長距離通信の可能な「短波(HF)帯で使用される無線電話」は

  • J・・・振幅変調で抑圧搬送波による単側波帯を使用
  • 3・・・アナログ信号単一チャンネル
  • E・・・電話

となるので“J3E”。

航空機用救命無線機」や「衛星非常用位置指示無線標識」といった救難信号を発射する無線機器は

  • G・・・角度変調のうちの位相変調
  • 1・・・デジタル信号単一チャンネルで、変調のための副搬送波を使用しない
  • B・・・電信の自動受信を目的とする

で“G1B”。

ACARSのようなデータのやり取りに使用される「VHFのデジタルデータリンク」は

  • A・・・周波数変調を使用
  • ・・・デジタル信号単一チャンネルで、変調のための副搬送波を使用する
  • D・・・データ伝送を

となり“A2D”と表示されます。

まとめ

電波の型式は

  • 主搬送波の変調の型式
  • 主搬送波を変調する信号の性質
  • 伝送情報の形式

を表す記号の組み合わせて表示されています。

組み合わせが沢山あるのですべて覚えるのは大変ですが、航空無線通信士の試験に出題される傾向があるのは

主搬送波の変調の型式」からは

  • 振幅変調
    • 両側波帯:A
    • 抑圧搬送波による単側波帯:J
  • 角度変調
    • 位相変調:G

主搬送波を変調する信号の性質」からは

  • デジタル信号であって単一チャンネルのもの
    • 変調のために副搬送波を“使用しない”もの:1
    • 変調のために副搬送波を“使用する”もの:2
  • アナログ信号である単一チャンネルのもの:3

伝送情報の型式」からは

  • 自動受信を目的とする電信:B
  • データ伝送、遠隔測定又は遠隔制御:D
  • 電話(音響の放送を含む):E
  • その他のもの:X

といった感じで、航空用の無線機器に実際に割り当てられている電波の型式の記号に絞られています。

過去の試験問題を見ると、いくつかの電波の型式と記号、それについての説明の組み合わせの中から誤った組み合わせを探す問題や、電波の型式の説明の穴埋め問題が出題される傾向にあるようです。

航空用の無線機器として実際に使われている無線機器の電波の型式

  • 航空交通管制通信に使用されている「中波AMラジオ放送」・・・A3E
  • 航空交通管制以外の通信に使用される「FMのアナログ式無線電話」・・・A3E
  • 長距離通信の可能な「短波(HF)帯で使用される無線電話」・・・J3E
  • 航空機用救命無線機」や「衛星非常用位置指示無線標識」・・・G1B
  • ACARSのような「VHFのデジタルデータリンク」・・・A2D

に絡めた問題が出題されるので、これらの無線機器の電波の型式と、その意味を説明出来るようにしておけば試験対策としては十分なんじゃないでしょうか?

次回は無線設備に求められている様々な条件のうち、“発射される電波の質と受信設備の条件”について解説していきます。

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