航空無線通信士の試験対策:法規その4(免許の訂正・変更、再発行、廃止)

パイロットへの道のり

前回は無線局免許の付与と、付与された免許状の備え付け、有効期間と再免許のための手続きに関する規則について解説してみましたが↓

今回は無線局の免許状の訂正や変更・再交付に関する規則について解説していきます。

運転免許証の場合、免許証に記載されている住所や限定事項の変更などがあるときは最寄りの警察署か免許試験場で免許証の裏に変更事項を記入するだけで終わるんですが、無線局免許状の場合はそれほど簡単な手続きでは終わらないんですよ…。

場合によっては無線局の新設時と同等の検査が必要になるなど、結構な大ごとになります。

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免許状の訂正

無線局の免許状には、免許された人(免許人)の氏名や団体・企業の名称に住所、無線設備の常置場所、使用する電波の形式や周波数帯、識別信号などの無線局の情報が記載されていますが↓

団体や企業の開設した無線設備の場合、人事異動や組織の改編などで免許されている団体・法人の名称が変わることもあるでしょうし、住所が変わったりすることがあるかもしれません。

個人の開設したアマチュア無線局なら、結婚などで姓が変わるなんてこともあります。

そのような場合は、総務大臣に免許状を提出して訂正を受けなければいけません。

電波法 第21条(免許状の訂正)

免許人は、免許状に記載した事項に変更を生じた時は、その免許状を総務大臣に提出し、訂正を受けなければならない。

訂正の具体的な手続きは総務省令の一つである、無線局免許手続規則にて、以下のように規定されています↓

無線局免許手続規則 第22条(免許状の訂正) ※抜粋

1.免許人は、電波法第21条の免許状の訂正を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を総務大臣又は総合通信局長に提出しなければならない。
(1)免許人の氏名又は名称及び住所並びに法人においてはその代表者の氏名
(2)無線局の種別及び局数
(3)識別信号(包括免許に係る特定無線局を除く)
(4)免許の番号又は包括免許の番号
(5)訂正を受ける箇所及び訂正を受ける理由

2.省略

3.第1項の申請があった場合において、総務大臣又は総合通信局長は、新たな免許状による訂正を行うことがある。

4.総務大臣又は総合通信局長は、第1項の申請による場合の他、職権により免許状の訂正を行うことがある。

5.免許人は、新たな免許状の交付を受けた時は、遅滞なく旧免許状を返さなければならない

訂正と変更の違いがイマイチつかみづらいですが、簡単に言ってしまうと免許状に記載されている事項のうち“すでに免許されている無線機の性能や発射する電波の性質に影響を与えない項目”を変える場合が訂正にあたります。

具体的には免許人の氏名又は名称、免許人の住所が変更した場合、または免許状に記載されている事項がそもそも間違っていた場合などです。

電波法では免許状を訂正する場合の提出先が“総務大臣”となっていますが、実際には無線局免許手続規則の規定により、総務省の情報通信行政を所轄する地方支部の“総合通信局”に提出し、総合通信局長が免許状を訂正しています。

ちなみに免許状の訂正だけでなく、無線局を開設するときも無線局免許手続規則の規定では、“総務大臣又は総合通信局長”に申請することになってますが、これは航空無線通信士の試験には出てこない実務的なお話…。

覚えておいて損は無いでしょうけど、役に立つのは試験に合格してどこかの企業で無線の担当者になった頃でしょうね。

免許内容の変更​

無線局免許状に記載された免許人は

  • 無線局の目的
  • 通信の相手方
  • 通信事項
  • 放送事項
  • 放送区域
  • 無線設備の設置場所

若しくは

  • 基幹放送の業務に用いられる電気通信設備を変更し、又は無線設備の変更の工事をしようとするとき

には、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければいけません

また免許内容の変更には

  • 免許人の意志で免許内容を変更する場合
  • 監督権限によって免許内容を変更する場合

があります。

電波法 第17条(変更等の許可)第1項

免許人は、無線局の目的、通信の相手方通信事項放送事項放送区域無線設備の設置場所若しくは基幹放送の業務に用いられる電気通信設備を変更し、又は無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならないただし、次に掲げる事項を内容とする無線局の目的の変更は、これを行うことが出来ない。

(1)基幹放送局以外の無線局が基幹放送をするとすること。
(2)基幹放送局が基幹放送をしないとすること

この規定に出てくる“基幹放送局”というのはテレビやラジオなどの放送業務を行う放送局の事。

まぁ航空無線通信士の試験には関係ない所ですが、ちょこちょこ条文の中に登場します。

無線局の目的や通信の相手方、通信事項は無線局免許状に記載されていますが、そもそもこれらは無線局開設の時に申請し、予備免許を受けて試験した結果免許されているもの。

これらの“変更”によって無線機の性能や電波の出力などが変わると他の無線局の業務に影響を与える可能性があるため、変更に先立って検査を受けなければいけません。

電波法 第18条(変更検査)

電波法第17条第1項の規定により、無線設備の設置場所の変更又は無線設備の変更の工事の許可を受けた免許人は、総務大臣の検査を受け、当該変更又は工事の結果が同条同項の許可の内容に適合していると認められた後でなければ、許可に係る無線設備を運用してはならない

ただし、総務省令で定める場合はこの限りではない。

2.変更検査を受けようとする者が、当該検査を受けようとする無線設備について登録検査等事業者阿多は登録外国点検事業者が総務省令で定めるところにより行った当該登録に係る点検の結果を記載した書類を総務大臣に提出した場合においては、その一部を省略することができる。

また、免許交付後に新規開設した無線局が既存の無線局と混信するなどの妨害が発覚した場合は、免許されている周波数や空中線出力の変更を申請することが出来ます。

電波法第19条(申請による周波数等の変更)

総務大臣は、免許人または電波法第8条の予備免許を受けた者が識別信号、電波の形式、周波数、空中線電力又は運用許容時間の変更を申請した場合において、混信の除去その他特に必要があると認める時は、その指定を変更することができる

この場合も無線局の性能が変わってくるので変更検査が必要になります。

免許状の再交付

無線局の免許状は運転免許証や車検証と違って携帯義務が無く、基本的には無線設備の常置場所に備え付けておくことになっているので紛失や盗難というのは起こりづらいですが、何らかの理由で破損や汚損してしまった時に備え、再交付の手続きについても規定されています。

無線局免許手続規則 第23条(免許状の再交付)第1項

免許人は、免許状を破損し、汚し、失った等のために免許状の再交付を申請しようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を総務大臣又は総合通信局長に提出しなければならない。
(1)免許人の氏名又は名称及び住所並びに法人においてはその代表者の氏名
(2)無線局の種別及び局数
(3)識別信号(包括免許に係る特定無線局を除く)
(4)免許の番号又は包括免許の番号
(5)再交付を求める理由

再交付のために提出する書類は違いますが、記載内容は訂正の申請書とほぼ同じです。

免許が効力を失った時に取るべき措置​

業務内容の変更や事業の廃止、目的の達成などで無線局を廃止する場合、免許人は免許されている無線局を廃止することを総務大臣に届出をしなければいけません。

電波法 第22条(無線局の廃止)

免許人は、その無線局を廃止するときには、その旨を総務大臣に届け出なければならない

無線局廃止の届け出がされることで、その無線局の免許状は効力を失います。

電波法 第23条(無線局の廃止)

免許人が無線局を廃止した時は、免許はその効力を失う

効力を失った免許を持っていても仕方がないので処分しないといけないですが、勝手に捨ててはいけません!

以下の規定により、効力を失った一箇月以内に免許状を総務大臣に返納しなければいけません。

電波法 第24条(免許状の返納)

免許がその効力を失ったときは、免許人であったものは、一箇月以内にその免許状を返納しなければならない

廃止された無線局の免許人であった人は、廃止された無線局から電波が発射できないように無線設備の撤去などの必要な措置を取らないければ行けません。

電波法 第78条(電波発射の防止)

無線局の免許等がその効力を失った時は、免許人であった者は遅滞なく空中線の撤去その他総務省令で定める電波の発射を防止するために必要な措置を講じなければならない。

どこかの建物に据え付けられている無線局であれば、無線機やアンテナの撤去をすればいい訳ですが、携帯可能なトランシーバーのような無線機の場合はどうするのか?

航空無線通信士に関係する無線局だと“航空機用救命無線機”や“航空機用携帯無線機”が該当しますが、これらの無線機の場合”総務省令で定める電波の発射を防止するために必要な措置”というのが航空機用救命無線機及び航空機用携帯無線機においては電池を取り外すことと規定されています。

これらの措置を怠って無線局の免許状を廃止した後に該当する無線局から電波を放射すると電波法違反となります。

電波法 第113条(罰則) ※抜粋

次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

~省略~

22.無線従事者が業務に従事することを停止されたのに無線設備の操作を行ったもの

まとめ

今回は無線局免許状の訂正および変更と、再交付、免許の廃止について解説していきました。

交付された無線局免許状の記載内容に変更がある場合、その免許状を総務大臣に提出して訂正を受けなければいけません。

免許状の訂正内容によっては免許状の再交付ということもありますが、その場合は総務大臣又は総合通信局長に旧免許状を返納します。

免許状交付後に通信事項などを変更する際はあらかじめ総務大臣の許可を受けなければならず、許可を受けた後も変更後の無線設備について総務大臣の検査を受け、当該変更又は工事の結果が電波法第17条第1項の許可の内容に適合していると認められた後でなければ、許可に係る無線設備を運用してはいけません

また、無線局を廃止するときは、その旨を総務大臣に届け出て、一箇月以内に免許状を返納しなければならず、廃止した無線局からの電波の発射を防止する措置を取らなければいけません。

電波の発射を防止するための措置は総務省令で定められ航空機局の航空機用救命無線機及び航空機用携帯無線機の場合の措置は電池を取り外す事と規定されています。

なお、無線局の廃止後にこれらの措置を怠って電波を発射してしまったばあい、30万円以下の罰金が科せられます。

長々と免許状の訂正、変更、再交付、廃止について解説していきましたが、実は過去の試験に出題されているのはこれ位のもの…。

  • 申請書類の提出先や届け出先と許可権者
  • 申請と許可のタイミング
  • 免許内容変更のプロセス
  • 無線局廃止後の免許状の返納期限
  • 航空機局の廃止時に行わないといけない措置と該当する無線機
  • 廃止措置の規定に違反した場合の罰金

といったところを押さえておけば試験に必要な知識はカバーできると思います。

次回は電波法に規定する無線設備の定義のうち、航空無線通信士に関連する部分の定義について解説していきます。

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