航空無線通信士の試験対策:法規その3 無線局の免許(免許の付与)

パイロットへの道のり

新たに無線局を開設しようとする人が総務大臣に無線局開局の申請をすると、総務大臣はその申請を審査して問題がないければ予備免許を交付します↓

予備免許を交付された人は無線設備を据え付けて各種検査をしたのち、総務大臣に無線設備の工事落成の届け出をすると無線設備の落成検査が行われ、検査に合格すれば無線の免許状が交付されます。

免許状に記載されている免許人(免許された人)は個人や団体、企業の代表者にはなってますが、無線局免許状は人に対しての免許ではなく、無線設備に対しての免許。

クルマでいう所の車検証に相当するものですね。

この“無線局免許状”が無いことには本格的な無線局の運用は出来ません!

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免許の付与

電波法第12条(免許の付与)

総務大臣は、落成後の検査を行った結果、その無線設備が工事設計に合致し、かつ、その無線従事者の資格及び員数、時計、書類が法の規則に違反しないと認める時は、遅滞なく申請者に対し免許を与えなければならない。

とある通り、予備免許を受けた人が無線設備の工事(無線機器の据え付けや性能試験などの準備)を完了し、落成届を提出して総合通信局の落成検査に合格したならば、総務大臣は遅滞なく予備免許を受けた人に正式な免許を与えないといけないことになっています。

免許状への記載事項は電波法第14条に規定されています。

電波法第14条(免許状)

総務大臣は、免許を与えた時は、免許状を交付する

2.免許状には、次に掲げる事項を記載しなければならない

(1)免許の年月日及び免許の番号
(2)免許人(無線局の免許を受けた者をいう)の氏名又は名称及び住所
(3)無線局の種別
(4)無線局の目的(主たる目的及び従たる目的を持つ無線局にあっては、その主従の区別を含む)
(5)通信の相手方及び通信事項
(6)無線設備の設置場所
(7)免許の有効期限
8)識別信号
(9)電波の型式及び周波数
(10)空中線電力
(11)運用許容時間

こちらは私が過去に運用していたアマチュア無線局の免許状ですが、実際に交付される免許状はこんな感じのもの↓

この免許状が交付される前はクルマの免許のようなプラスチック製のカード状のものや、車検証のような偽造対策のデジタル透かしの入ったものをイメージしてましたが、実際に手元に届いたのはただのA5版の紙切れで少し拍子抜けしたことをよく覚えてますw

無線局の備え付け

私がアマチュア無線の免許(従事者免許)を取った頃は「無線局免許状を無線機の近くに掲示する義務」なんてものがありましたが、現在は「無線局免許状は常置場所に備え付けておくこと」と変更されています。

電波法施行規則 第38条(備え付けを要する業務書類)第3項

  • 遭難自動通報局(携帯用位置指示無線標識のみを設置するものに限る
  • 船舶通信局
  • 陸上移動局
  • 携帯局
  • 無線標定移動局
  • 携帯移動地球局
  • 陸上を移動する者であって停止中にのみ運用を行うもの又は実験試験局(宇宙物体に開設するものを除く)
  • アマチュア局(人口衛星局に開設するものを除く)
  • 簡易無線局(パーソナル無線を除く)
  • 気象援助局

にあっては、第1項(無線局に備え付けておかなければならない書類)の規定にかかわらず、無線設備の常置場所(VSAT地球局にあっては、当該VSAT地球局の送信の制御を行う他の1の地球局(VSAT制御地球局)の無線設備の設置場所とする)に免許状を備え付けておかなければならない

色々な種類の無線局が挙げられていますが、要するに移動することが可能な無線局については免許状を無線局の常置場所に備え付けておけばいいということになります。

常置場所という聞きなれない言葉が出てきましたが、これは「無線機が使用されないときに置かれている場所」つまり“保管場所”というニュアンスで使われる言葉です。

昔の「無線局免許状を無線機の近くに掲示する義務」があった頃は、無線局の運用中はいつでも免許状の記載内容が確認できるようにしなければいけませんでしたが、これは固定局ならともかくトランシーバーサイズの無線機になると現実的ではありませんでしたからね…。

そこで移動局として免許状が交付されている無線機には“無線局免許証票”なんていうシールを貼り、免許状自体は常置場所として申請している自宅や事業所に保管していたわけですが、これも確か本来なら無線局免許状を掲示しないまでも携帯はしてないといけなかったような?

まぁなんにせよ、免許状を持ち歩くのは汚損や破損、紛失のリスクがありますからね。

常置場所に備え付けでよくなったのはありがたいことです!

免許の有効期間​

無線局免許状には有効期限が設定されていますが、一部の特殊な無線設備を除いて、その有効期間は5年とされています。

電波法第13条(免許の有効期間)

免許の有効期間は、免許の日から起算した5年を超えない範囲内において総務省令で定める。ただし、再免許を妨げない。

2.船舶安全法第4条の船舶(「義務船舶局」という)及び航空法第60条の規定により無線設備を設置しなければならない航空機の航空機局(「義務航空機局」という)の免許の有効期間は、第1項の規定にかかわらず、無期限とする。

条文中に出てくる“義務航空機局”とは航空法第60条で「航空機の航行の安全を確保するための装置」として定められている無線機の事ですが、今回は深く触れないので詳しくはこちらから↓

航空法第60条に該当する義務航空機局以外の無線設備は“その他の無線局”に該当するため、

電波法施行規則第7条(免許等の有効期間)

電波法第13条第1項で定める免許の有効期間は、次の(1)~(7)に掲げる無線局の種別に従い、それぞれ(1)~(7)に定めるものとする

(1)地上基幹放送局:当該放送の目的を達成するために必要な期間(臨時目的放送を専ら行うものに限る)
(2)地上基幹放送試験局:2年
(3)衛星放送局:当該放送の目的を達成するために必要な期間(臨時目的放送を専ら行うものに限る)
(4)衛星放送試験局:2年
(5)特定実験試験局:当該周波数の使用が可能な期間(総務大臣が公示する周波数、当該周波数の使用が可能な地域及び期間並びに空中線電力の範囲内で開設する実験試験局を言う)
(6)実用化試験局:2年

(7)その他の無線局5年

無線局免許状の有効期限は5年となります。

再免許​

クルマの免許や車検証が有効期限に近づくと「更新」しますが、無線局免許状の場合は免許の「更新」ではなく「再免許」といいます。

再免許とは、無線局の免許の有効期間満了と同時に、今までと同じ免許内容で新たに免許状が交付されること。

再免許の手続きは“無線局免許手続規則”に規定されています。

まずは再免許のための申請手続きをしなければいけません。

無線局免許手続規則 第16条(再免許の申請)第1項

再免許を申請しようとするときは、下記の(1)~(5)に掲げる事項を記載した申請書を総務大臣又は総合通信局長に提出しなければならない。

(1)無線局の免許を受けようとする者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2)免許を受けようとする無線局の種別及び局数
(3)希望する免許の有効期間
(4)識別信号
(5)免許の番号および免許の年月日

申請書は無線局の開局申請の時と同じもので、ここに必要事項を記入して各地方の総合通信局に提出します↓

再免許の申請はいつでもできるという訳ではありません。

運転免許証も更新できる期間が決まってますよね。

無線局免許状の場合は“免許の有効期間満了前3箇月以上6箇月を超えない期間に行わなければならない”と規定されています。

無線局免許手続規則 第18条(申請の期間)※抜粋

再免許の申請は、下の(1)~(4)の無線局を除き、免許の有効期間満了前3箇月以上6箇月を超えない期間において行わなければならない

(1)アマチュア無線局(人工衛星等のアマチュア無線局を除く)
(2)特定実験試験局
(3)免許の有効期間が1年以内である無線局
(4)免許の有効期間満了1箇月以内に免許を与えられた無線局

※(1)~(4)までの無線局の再免許申請の期間はそれぞれ別に定められていますが、航空無線通信士の試験には関係のない部分なので省略しています。

免許の有効期間と再免許申請の関係を図にするとこんな感じでしょうか↓

免許人から再免許の申請を受けた総務大臣又は総合通信局長は、申請内容を審査して問題がなければ再び無線局に対して免許状を交付します。

無線局免許手続規則 第19条(審査及び免許の付与)第1項

総務大臣又は総合通信局長は、再免許の申請を審査した結果、その申請が審査要件に適合していると認める時は、申請者に対し、次に掲げる事項を指定して無線局の免許を与える

(1)電波の型式及び周波数
(2)識別信号
(3)空中線電力
(4)運用許容時間

これで無線局免許状が再び交付され、継続して業務が遂行できるようになります。

まとめ

無線局の工事落成後の落成検査で問題がなければ、総務大臣は新規開設された無線局に対して免許を与え、無線局免許状を交付します。

免許状の有効期間は、電波法やその他の法律で別に規定されない限り、免許の日から起算した5年を超えない範囲内と規定され、電波法施行規則では一部の特殊な無線設備を除いて免許の有効期間を5年と定めています。

無線局の免許の有効期間満了と同時に、今までと同じ免許無いようで新たに免許状が交付されることを“再免許”といい、再免許の申請は免許の有効期間満了前3箇月以上6箇月を超えない期間に行わなければいけません。

再免許されれば新たな有効期間まで無線局は運用が可能になります。

といった感じで、今回は無線局免許状について解説していきましたが、次回は無線設備が変更され、無線局免許状の記載内容と相違が出来てしまった時の訂正や、不幸にも紛失してしまった時の手続き、無線局の廃止措置について解説していきます。

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