航空無線通信士の試験対策:法規その2 無線局の免許(予備免許)

パイロットへの道のり

もし開設しようとしている無線局が一般に販売されている技術適合基準をクリアした無線機であれば、特に問題なく無線局の免許が与えられますが、それ以外の無線局、例えばアマチュア無線家が自分で設計した無線機を使う場合や、事業用に特別な無線施設を建設するような場合は、申請された通りの性能が発揮できるかを確認するために総務省の検査を受ける必要があります。

この検査の準備、そして本番の検査では電波を発射するので免許が必要になるわけですが、そもそも検査に合格しないと無線局免許が与えられないので制度上の矛盾が生じますよね?

そこでこの矛盾をクリアするために規定されているのが、クルマでいう“仮ナンバー”にあたる“予備免許”というものです。

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予備免許​

予備免許は正式な無線局の免許が与えられる前に、無線設備の試験や検査を目的として与えられる一時的な免許です。

ただし、予備免許を与えられた時点ではまだ正式な無線局では無いので、試験電波の発射を行う場合を除いて電波の発射は禁止されています。

予備免許交付のためには特別な申請手続きは不要で、無線局の開設申請に問題が無ければ総務大臣により条件を指定して交付されます。

その条件というのは電波法第8条に規定されています↓

電波法第8条

総務大臣は、電波法第7条の規定により審査した結果、その申請が同条第1項の各号又は第2項各号に適合していると認めらるときは、申請者に対し、次に掲げる事項を指定して無線局の予備免許を与える。

1.工事落成の期限
2.電波の形式及び周波数
3.呼出符号(識別符号を含む)、呼び出し名称その他総務省令で定める識別信号
4.空中線電力
5.運用許容時間

総務大臣は、予備免許を受けた者から申請があった場合において、相当と認められるときは工事落成の期限を延することができる

“工事落成”という耳慣れない言葉が出てきましたが、これは無線設備の試験が終わって無線局の開設をする準備が完了した状態のこと。

平たく言えば工事が完了した状態ですね。

工事というと“無線施設の建物の建設”をイメージしてしまいますが、無線機やアンテナの組み立てや据え付け、試験に検査といった行為のことだと思ってください。

この辺りの用語の解説は試験に出ませんので、なんとなくイメージ出来ればOKです。

“電波の形式及び周波数”は総務省の設定しているバンドプランに則ったもの。

航空機に搭載する航空交通管制や航法用の無線機器の場合は周波数が可変なので、予備免許には単一の周波数ではなく利用可能な周波数帯として指定されることになります。

予備免許の工事等の変更​

予備免許を受けた後で何らかの理由により無線設備の設計を変更しないといけなくなることがあるかもしれません。

そんな時は設計変更の前にあらかじめ総務大臣の許可を受けなければいけません。

電波法第9条

予備免許を受けた者は、工事設計を変更しようとするときはあらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない但し、総務省令で定める軽微な事項については、この限りではない。

2.前項但し書きの事項について工事設計を変更した時は、遅滞なくその旨を総務大臣に届け出なければならない。

3.工事設計の変更は、周波数、電波の形式又は空中線電力に変更をきたすものであってはならず、かつ第7条第1項(1)又は第2項(1)の技術基準(電波法第3章に定めるものに限る)に合致するものでなければならない。

4.予備免許を受けた者は、無線局の目的、通信の相手方、通信事項、放送事項、放送区域、無線設備の設置場所又は機関放送の業務に用いられる電気通信設備を変更しようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を得なければならない

“総務省令で定める軽微な事項”については設計変更後に総務大臣に届出をすればいいことになっていますが、具体的な事項は“電波法施行規則第10条”と、同規則の“別表第一号の三 許可を要しない工事設計の軽微な事項”に記載され、航空機用の無線機器で言うと航空機用救命無線機、航空機用携帯無線機、レーダー(ACAS、機上DME、機上タカン、航空機用気象レーダー及び航空機用ドップラ・レーダーを除く。)などが該当します。

ちなみに無線機の取り外しや、全く同じ性能の別の銘柄の無線機器に変更する場合は“総務省令で定める軽微な事項”に該当するようですね。

これ以外の部分の変更が必要になった場合はあらかじめ総務大臣の許可を得なければいけない訳ですが、3に“工事設計の変更は、周波数や電波の形式又は空中線電力に変更をきたすものであってはならない”とあるとおり、予備免許を受けた人の都合で使用する周波数や電波の形式などを変更することは出来ません。

但し

電波法第19条

総務大臣は免許人または予備免許を受けた者が識別信号、電波の形式、周波数、空中線電力又は運用許容時間の変更を申請した場合において、混信の除去その他特に必要があると認める時は、その指定を変更することができ

総務大臣が予備免許に指定した周波数や電波の形式、空中線電力といったものが既存の無線局の業務を妨害しているような場合は、妨害の除去のために指定事項の変更を申請するとが出来ます。

工事落成及び落成後の検査​

予備免許を取得して無線機器の試験を完了したら自動的に無線局の免許が与えられる!

なんてことは無く、免許の交付に先立って無線機器が申請通りの性能で目的を達成することが出来、他の無線局や無線機器に悪影響を及ぼさないことを公的に証明するために検査を受けなければいけません。

電波法第10条

予備免許を受けた者は、工事が落成した時は、その旨を総務大臣に届け出て、その無線設備、無線従事者の資格及び員数並びに時計及び書類(以下「無線設備等」という)について検査を受けなければならない。

2.前項の検査は、同項の検査を受けようとする者が、当該検査を受けようとする無線設備等について検査等事業者の登録を受けた者が総務省令で定めるところにより行った当該登録に係る点検の結果を記載した書類を添えて前項の届出をした場合においては、その一部を省略することができる。

予備免許を受けた人は無線設備が落成(完成)したら落成届を総務大臣に提出します。

総務大臣が落成届を受理すると、無線局が申請通りの性能を満たし、他の無線局に対して有害な事象を及ぼさないかを検査するわけですが、これを“落成検査”又は“新設検査”といいます。

落成検査は原則的に総務省の各地方総合通信局の職員が行いますが、登録検査等事業者等による点検を行い点検実施報告書を落成届に添付して提出すると、地方総合通信局の職員による検査の一部が省略され、検査は書類審査のみになります。

検査の結果問題が無ければ無線局に正式な免許状が与えられ、晴れて正式に運用を開始することが出来るという訳です。

まとめ

無線局の予備免許は、開設しようとしている無線局の試験又は検査をするために与えられる一時的な免許で、正式な免許ではありません。

無線局の新規開設を申請すると総務大臣による審査の結果

  • 工事落成の期限
  • 電波の形式及び周波数

等を指定して開設しようとしている無線局に対して予備免許が交付されます。

予備免許を受けた後に無線設備の変更が必要になった場合は、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければいけませんが、こちらの都合だけで予備免許に指定された電波形式や周波数などを変更することは出来ません。

但し、予備免許に指定された電波形式や周波数で既存の無線設備の業務を妨害しているといったやむを得ない事情がある場合は、総務大臣に申請することで変更することが出来ます。

予備免許を使って無線設備の試験が完了し、無線設備の工事が落成した時(完成した時)には、総務大臣にその旨を届け出て無線設備について落成検査(新設検査)を受けなければいけません。

落成検査は原則的には総合通信局の職員によって行われますが、落成前に登録検査等事業者の実施する点検を受け、その結果を落成届に添付することで、検査の一部を省略することが出来ます。

落成検査に合格すると晴れて正式な無線局として免許状が交付されますが、免許状もただ持っておけばいいという訳でななく、色々な規則が存在します。

という訳で、次回は“免許状”について解説していきます。

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