航空無線通信士の試験対策:無線工学その23 給電線

パイロットへの道のり

航空無線通信士の試験対策として無線工学の試験範囲について解説してきましたが、今回解説する“給電線”で一応無線工学の試験範囲はすべてカバーすることになります。

”給電線”という単語に馴染みのない人もいるかと思いますが、給電線とは前回解説したアンテナと↓

送受信機とをつなぐ通路の事。

テレビの後ろに接続する同軸ケーブルが代表的な給電線ですが、航空無線通信士の無線工学では同軸ケーブルを含めた3種類の給電線について出題されます。

Table of Contents

給電線の種類

送信機や受信機とアンテナを接続する線路を給電線(フィーダー)といいます。

給電線にはいくつか種類がありますが、航空無線通信士の無線工学で出題されるのは

  • 平行二線式線路
  • 同軸ケーブル
  • 導波管

の3種類のいずれかについて。

名前だけ聞いてもピンとこないかと思いますので、それぞれの給電線についてもう少し細かく解説していきます。

平行二線式線路

平行二線式線路は、2本の導線を平行に並べて絶縁体で覆ったケーブルです。

こういう形状の配線を見たことのある人も多いんじゃないですかね?↓

このタイプのものは“リボンフィーダー線”と呼ばれ、昔はテレビの受信用に使われていた他、ファミコンやビデオデッキをテレビに接続する際に映像と音声のテレビへの入力用に使われていました。

構造が簡単なのはいいんですが、外部からの妨害を受けやすいため、今ではテレビ受信用の給電線としては同軸ケーブルに、ゲーム機や各種のプレイヤーとの接続はHDMIケーブルに置き換わっています。

という訳で、家庭用のテレビ周りではもうこのケーブルを見ることは無いんでしょうね…。

同軸ケーブル

同軸ケーブルは不平衡形の給電線で、誘電体(絶縁体)の内部に内部導体があり、それを覆うように外部導体を巻いた構造になっています。

私の作図能力の限界で上手く表現出来てませんが、実物の外部導体は銅線を編み込んだメッシュになっています。

この銅メッシュの外部導体には遮へい効果があるため、外部からの電波の影響を受けにくいという特徴があります。

同軸ケーブルには日本産業規格(JIS)表示による4桁の型番が付けられ、この型番から特性インピーダンス​を調べることが出来るほか、シースの色調でも特性インピーダンスを調べることが出来ます。

特性インピーダンスは50Ωまたは75Ωの二種類が一般的です。

導波管

導波管は円形や方形の金属管で内部は空洞(中空)になっていて、上の平行二線式線路や同軸ケーブルとは違い、導波管の中では高周波電流ではなく電波が通っています。

Wikipediaより引用

導波管内に発射された電波は外部に漏れることなく、導波管の内部を反射して進行していきます。

導波管では、遮断周波数以下の周波数の信号は伝送することが出来ないので、一種の高域通過フィルターとしても機能します。

導波管の大きさは波長λに比例し、“f = ν / λ”(f:周波数、ν:電波の速度)の関係により、高い周波数の場合は波長が短くなることから、周波数が高いほど導波管の外形は小さくなるという特徴があります。

導波管はSHF以上の周波数帯を送信するレーダーや衛星通信、マイクロ波通信などで使用されます。

アンテナと給電線の接続(インピーダンス整合)

同軸ケーブルの特性インピーダンスアンテナの入力インピーダンスの値が等しくない(整合がとれていない)と、反射波が発生してしまいます。

こうなると射波と反射波が干渉して定在波が発生してしまうため、電波の放射効率が低下することになります。

入射波の電圧をVi、反射波の電圧をVrとすると、反射係数Γ

となります。

また、電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)をSとすると

となるので、整合が完全で反射波が無い(反射波の電圧Vr = 0)場合、反射係数Γ“0”になるので、電圧定在波比VSWRは“1となります。

また、半波長ダイポールアンテナと同軸ケーブルを接続するような場合、半波長ダイポールアンテナは“平衡形”のアンテナで、同軸ケーブルは“不平衡形”の給電線なので、直接接続すると不要放射などが発生してしまい、電波の放射効率が低下します。

そこで、半波長ダイポールアンテナと同軸ケーブルの間にバラン(balum:Balanced to unbalanced transformer)を挿入して整合を取り、不要放射が起こらないようにしています。

試験の出題傾向

過去の航空無線通信士の試験では、今回解説したアンテナのうち

  • 同軸ケーブルの構造と特徴
  • 導波管の特徴

についての問題がいずれか1問がほぼ毎回出題されているようです。

出題形式は、正しい字句の選択か、説明文の正誤選択になる傾向が強いです。

“アンテナと給電線の整合”に関する問題は出題率が低いようですが、絶対出ないとも言い切れません。

ただし、アンテナと給電線の整合に関しては出題形式が字句の選択なので、最低でも

  • アンテナと給電線の何を整合させるのか?
  • 整合がとれていないと何が発生するのか?
  • 整合が採れている時の反射係数Γと電圧定在波比(VSWR)の値はいくつか?
  • 平衡形アンテナと不平衡形の給電線を接続するときに何が必要なのか?

これくらい覚えておけば問題なく回答できるかと思います。

 

まとめ

無線についての知識がなかった頃は、アンテナと送受信機を接続する配線はただの金属製の導線だたと思っていたので、家の物置にあった針金を適当に接続したりしてましたが、こうして色々調べてみるとかなり無茶苦茶な事してたんですね…。

同軸ケーブルがないからって裸の針金2本でテレビとアンテナを接続したりしてましたが、あんないい加減な工作でよくテレビが映ったな…。

今回は給電線に関する知識を得ることが出来ましたが、これはあくまで航空無線通信士の試験に合格するためだけのもの。

実生活でこの知識を応用するためにはもっと色々な知識が必要ですが、今の無線機器はブラックボックス化が進んでいるので素人がおいそれと手を出せるような代物じゃないんですよね…。

給電線に関する知識は電子工作キットでラジオ作った時くらいにしか役に立たないかな?

なんとなくもやっとした感じになってますが、航空無線通信士の試験対策のうち、無線工学に関する事項はこれで一通りカバーできました。

次回からは関連法規について解説していきます。

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