久々のアドオンの機体データのレビュー。
今回はRotor sim Pilotのリリースした”Robinson R44 Raven Ⅱ“です。
実はまだ開発途中のアドオンなんですが、現時点でも完成度がかなり高いアドオンになってます。
Table of Contents
実機について
実機はアメリカの“ロビンソン・ヘリコプター”が開発・製造・販売しているレシプロエンジン単発で4人乗りの小型ヘリコプター。

1970年代にロビンソン・ヘリコプターで開発されたR22という2人乗りのヘリコプターをベースにキャビンサイズを拡張して4人乗りにしたモデルです。
原型となったR22は機体構造がシンプルでヘリコプターとしては安価なため、世界中の飛行学校でヘリコプターの飛行訓練に使われている他、自家用機としても人気のベストセラー。
日本の民間の飛行学校でも訓練機材として使われていますし、自家用機として保有してるオーナーさんも結構いるようです。
そんなR22の機体規模を若干大きくしたのがR44ですが、こちらも4人乗りの小型ヘリとしては安価で維持費も安いため人気の機種なんだそうです。
ちなみに日本国内で購入しようとすると諸経費込みで6,500万円~。
同じ機体規模でガスタービンエンジンを搭載するヘリコプターが1億円程度することを考えると、破格といってもいいくらいに安い!
流石にR44を報道ヘリやドクターヘリにするためには機体規模が小さすぎますが、自家用機としての使用の他、事業用で遊覧飛行やヘリタクシーとしての需要があるため、5,000機以上を販売するベストセラーとなっているようです。
ダウンロード
機体データのダウンロードはMSFS用のフリーウェアのアドオンでお馴染みの“Flightsim.to”から↓
ページ中ほどの“Download”のボタンをクリックするとデータがダウンロードされます。
インストール
機体データはzipファイルでダウンロードされるので、PCの適当な場所に解凍。
解凍されたファイルをMSFSのCommunityフォルダに移動します。

次にCommunityフォルダ移動した“rsp-r44”というフォルダを開き

このフォルダにある“AirlandFS”というフォルダも開いて

“AirlandFS.exe”という実行ファイルを右クリックします。
コンテクストメニューが表示されるので、その中にある“タスクバーにピン留めする”を選択してインストールの作業は終了です。
※2021年9月25日追記
Ver.2.0リリースに伴いインストール方法が変更になってます
- ダウンロードされたzipファイルをPCの任意の場所へ解凍
- 解凍されたフォルダ内にある“rsp-r44”というフォルダをCommunityフォルダへ移動
- もう一つの“AirlandSF”というフォルダを、Communityフォルダ以外の場所(デスクトップ上や任意のドライブの直下など)に移動
- “AirlandSF”を移動したらフォルダを開き、“AirlandSF.exe”という実行ファイルを右クリックして“ショートカットを作成”、または“タスクバーにピン止め”する
- MSFSを起動(R44インストール直後の起動には5分程度かかります)
フライトの準備
通常であればアドオンの機体データをMSFSのCommunityフォルダに移動すればインストールが完了!
すぐに自由に飛べるようになるんですが、R44は事情が少し違います。
MSFSを起動したらR44を選択して適当な飛行場でシミュレーションをスタート↓

滑走路上からシミュレーションをスタートするとエンジンがすでに起動しているので、コレクティブレバー(スロットル)を操作するとすぐに機体を飛ばすことが出来ますが…。
R44の場合はこれだけでは機体が浮き上がりません!
飛ばすためには、シミュレーションの開始後に先ほどタスクバーにピン止めした“AirlandFS”を起動してやる必要があります。

AirlandFSは簡単に言うとR44のフライトダイナミクスを調整するためのアプリケーション。
ウィンドウ右側にあるスライダーを調整することで飛行特性のリアリズムや、アンチトルクペダル(ラダーペダル)とサイクリック(操縦桿)の感度を調整することが出来ます。
とりあえずはデフォルトの設定で飛ばしてみましょう!
※2021年9月25日追記
R44のVer.2.0へのアップデートに伴い、AirlandSFのユーザーインターフェイスが若干変更されています↓

テストフライト
Realism setting 0% “Casual Pilot”
まずはリアリズムの設定を0%“Casual Pirot”にして飛んでみます。
今回は飛行場のエプロンにいるので、シミュレーションスタート直後は電源とエンジンがOFFになった“コールド&ダーク”の状態。

コクピット周りのスイッチはクリックして操作することが出来ますが、機体データに同梱されているマニュアルによると、ショートカットキーでのエンジン始動を推奨されているので“Ctrl + E”でエンジンをスタートします。
ガスタービンエンジンだと離陸可能なエンジン回転数になるまで1分近く時間がかかりますが、R44はレシプロエンジンなので数秒で離陸可能になります。
コレクティブレバーをゆっくりと操作して機体が浮き上がると…

メインローターのカウンタートルクが発生しないので、アンチトルクペダルを踏みこんで当て舵を取る必要はありません。
離陸直後の機体が静止した状態で、気象条件を無風にしていれば、完全に手放しにした状態でホバリングが出来ます!
試しにこの状態で空港周辺を飛んでみましたが↓

機体自体はそれなりに安定してはいるものの、サイクリックとアンチトルクペダルの感度が高すぎるため入力に対するレスポンスがピーキー!
ほんの少しサイクリックを触っただけで機体が前後左右に動いてしまいます。
感度をもっと低くすればもっと簡単に飛ばせる“Casual”なヘリコプターになるんでしょうね。
Realism setting 100% “Professional Pilot”
今度はサイクリックとアンチトルクペダルの感度をそのままに、リアリズム設定を100%“Professional Pilot”にしてみました。

Casual Pirotとの一番分かりやすい違いが“メインローターのカウンタートルクの発生”でしょうね。
Professional Pilotにするとかなり強めのカウンタートルクが発生するので、機体が浮き上がった瞬間に機首が右側に持っていかれます。
サイクリックとアンチトルクペダルの感度が高すぎるので相変わらずレスポンスがピーキーなものの、フライトダイナミクスの静安定性がかなり低下しているため機動性がかなり向上してます。
Casual Pirotに比べると操縦が難しくはなりますが、飛ばすだけならまぁなんとか…。
ホバリングが出来なかったり、狙った場所に精密に着陸出来なかったりしますが、その辺りは私の操縦スキルの問題。
上手い人ならこの設定の方が機体を手足のように扱えて面白いかもしれませんね!
Realism setting 20% “Student Pilot”
今度は開発者の推奨設定らしい
- リアリズム:20%
- サイクリック感度:80%
- アンチトルクペダル感度:80%
にしてみました。

私のスキルの問題でホバリングや精密な着陸は出来ませんでしたが、Professional Pilotの時よりは機体が安定していますし、それでいてCasual Pirotの時よりも機動性が高くなっているので、かなり操縦しやすくなります。
サイクリックとアンチトルクペダルの感度がまだ高いのでレスポンスがピーキーなのは相変わらずですけど、これはあくまでMSFS用のH135と比較しての話。
意外と機体重量の違いやエンジンのレスポンスとかでピーキーに感じるのかもしれません。
H135は重量があるので加速するにも減速するにも若干のタイムラグがありますし、搭載しているエンジンがガスタービンエンジンなのでレスポンスが遅めになってしまいがち。
一方R44は機体が軽いので操作に対するリアクションが早いですし、エンジンはレシプロエンジンなので、加減速のレスポンスもかなりクイックです。
こういった違いがあるためR44がピーキーに感じるのかもしれませんね。
とはいえR44に慣れてしまえば、こういったレスポンスの違いもそれほど気にならなくなるかもしれません。
四苦八苦しながらどうにか飛ばしている様子はこちらからご覧いただけます↓
※2021年9月21日追記
Ver.2.0へのアップデートにより、飛行特性がガラッと変わって操縦安定性が大幅に向上しました!
じゃじゃ馬のように扱いづらかったリアリティ100%の設定も、よく調教されたジャンピング競技の馬のように乗り手の入力によく答えてくれます。
機動性は安定性とトレードオフの関係になるのでアクロバティックな動きはし辛くなりましたが、ヘリコプター未経験の人でも気楽に飛べるようになったのは良いですね!
練習用にぴったりの機体だと思います。
サマリー
今回はMSFS向けのヘリコプターのアドオンとしては3機種目となる“Robinson R44”を飛ばしてみました。
機体が小さく軽いという実機の特徴を上手い事再現しているようで、先行しているH135よりも軽快に飛ばせるなかなか楽しいヘリコプターですね。
アドオンに同梱されているアプリケーションによってフライトダイナミクスやサイクリック感度を調整できるので、ヘリコプターの操縦が初めての人から実際にR44を所有しているオーナーさんまで、幅広い人が楽しむことのできるアドオンでは無いでしょうか?
普通に飛ばしてましたけど、実はまだまだ開発中のアドオンで開発者曰く5%程度の完成度らしいんですが、わずか5%でこのクオリティは凄いですよね!
正直な所現時点でもお金払ってもいいと思えるレベルの完成度です。
開示されている開発ロードマップを見ると、ここからフライトダイナミクスの改良や、3Dモデルや機体塗装の改善、クラッチやガバナーの実装といったことが予定されているようですが、これらを4カ月程度で完了させる計画のようです。
現時点でも充分飛ばせて遊べるモデルですが、ここからさらに洗練されたら一体どうなってしまうのか?
今後が非常に楽しみなモデルです!
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