前回まとめた“オペアンプを利用した増幅回路”は、連続したアナログ信号を扱うものでした↓
アナログ回路は連続した電圧の変化を信号として扱うため、外部からの妨害で電圧値が変化すると信号の状態が変わってしまいますが、デジタル回路では信号を“既定の電圧値より高い(high(1))か低い(low(0))か”という2つの状態で扱うたので、外部からの妨害があって信号電圧が変わってもその影響を受けづらいという特徴があります。
真理値表
デジタル回路には『組み合わせ論理回路』と『順序回路』の2つがあり、それぞれの回路には
- 組み合わせ論理回路:現在の入力によってだけ出力が決定する
- 順序回路:現在の入力と回路の状態によって出力が決定する
という特性があります。
航空無線通信士の試験に出題されるのは組み合わせ論理回路の方で、こちらの回路には
- AND回路
- OR回路
- NAND回路
- NOR回路
- NOT回路
の5種類があり、各回路の組み合わせ論理を表現するために用いられるのが、回路の入力状態をすべて挙げてそれらに対応する出力を表にした真理値表です。
入力端子がAとBの2つあり、出力端子としてMがある論理回路があったとして↓

デジタル回路の場合、入出力の信号を“0”または“1”で表します。
例えば『AまたはBのいずれかが入力(1)された場合のみ、Mに出力信号(1)が出てくる』という論理回路があった場合、真理値表は次のようになります↓

ところで、設計段階である回路に流れる電圧の既定値を設定したとき、電圧が既定値より高い場合を“1”低い場合を“0”とするのを正論理、逆に既定値より高い場合を“0”低い場合を“1”とするのを負論理といいます。
『電圧が上下反転していても大丈夫なの?』なんて思うかもしれませんが、極端な話をすればデジタル信号の場合は電圧なんかまったく関係なく“信号の有る無し”だけで信号が送れますからね。
電子機器全体としてのプロトコール(論理回路同士の信号のルール)さえ規定していれば、どちらが“0”だろうが関係は無いということです。
各論理回路の回路図と真理値表
デジタル回路のごくごく初歩的なところがなんとなく理解出来たような気がしてきたので、次は5つある論理回路についてまとめていきます。
AND回路

AND回路は『AとBの入力信号が同時に1になった時だけMが1を出力する』という回路です。
OR回路

OR回路は『AとBのどちらか一方でも1になるとMが1になる』という回路。
別の見方をすれば『A、Bから何らかの入力があれば必ずMが出力する』という回路ですね。
昔から思ってる事なんですが、これってただ配線をまとめてるだけのような…。
NOT回路

NOT回路は『入力に対して出力が反転する』という回路です。
この回路だけ入力がAしかないという特徴があります。
この後で説明する論理回路は、いずれもAND回路とOR回路の出力側にNOT回路を接続した回路です。
これを覚えておくと理解が早いかも…。
NAND回路

NAND回路は『入力A、Bが同時に1になった時だけ、出力Mが0になる』という回路。
上AND回路の出力側にNOT回路が付いているため、最終的な出力がAND回路の逆になります。
NOR回路

NOR回路は『入力A、Bが同時に0の時だけ出力Mが1になる』という回路。
上のOR回路の出力側にNOT回路が付いているので、最終的な出力はOR回路の逆になります。
例題
航空無線通信士の試験では、“図記号と真理値表の組み合わせ”や“論理回路の名称と真理値表の組み合わせ”の正誤を問う問題が出題されるようです。
次は、論理回路及びその名称と真理値表の組み合わせを示したものである。このうち組み合わせが正しいものを“1”、誤っているものを“2”として回答せよ。

解説
まず1番ですが、これは回路は図記号と真理値表がAND回路のものなので名称と一致しませんので誤り。
次に2番はOR回路なんですが、真理値表の一番下の部分“入力A、Bが同時に1の場合の出力Mの値”が本来なら1となるべきところ0となっているので、この組み合わせも誤り。
3番は回路図と真理値表はNAND回路のものですが、名称が一致していないので誤り。
4番はNOR回路の回路図と真理値表なので正しく、5番もNOT回路の回路図と真理値表なのでこちらも組み合わせは正しいですね。
ちなみに正しい組み合わせの図はこちらになります↓

まとめ
デジタル回路というとなんとなく取っつきづらいイメージを勝手に抱いてましたが、航空無線通信士の試験では論理回路くらいしか出てこないので簡単なもんですね。
昔何かの試験で、論理回路のトーナメント表が出た来たことがありましたが↓

それに比べりゃ全然大したことないですね。
基本となるAND回路、OR回路、NOT回路の真理値表を覚え、“NANDはANDの逆”、“NORはORの逆”という理屈が分かれば試験で困ることは無いでしょう。
ここまで無線機器ではなく電子回路や電子機器の基礎理論的な内容ばかりでしたが、次回からようやく無線の免許の試験対策らしく“通信方式”についての話になります。
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