航空無線通信士の試験対策:無線工学その7 半導体(接合ダイオード)

パイロットへの道のり

クルマの免許を取るときは、学科試験で道交法や交通ルールを、実技試験や卒業検定として実際に車を運転して操作方法を学びますが、クルマの構造や仕組みとかは殆ど試験されることは無いですよね。

ところが無線の免許の場合、実際の操作方法は一切試験されず無線機の仕組みや構造、さらに言うと無線機器に使われる電子部品の基本的な機能や理屈を問う問題が出題されます。

『無線機自作するわけでもないのになぜそこまで?』と思ったりもしますが、故障診断や簡易的な整備、修理まですることを前提としてるんですかね?

航空無線通信士の扱う無線機は、アマチュア無線のような趣味の無線では無いですからね。

『どういう理屈で電波が放射されているのか?』くらいのことは分かっていないとダメなんでしょう。

もっとも、アマチュア無線も1級ともなると放送局レベルの無線機すら扱えるようになるため、試験範囲と難易度は航空無線通信士以上になりますが…。

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半導体

銅やアルミニウムのように電気を良く通す物質の事を導体といい、ガラスや磁器のように電気を通さない物質の事を絶縁体といいますが、導体と絶縁体の中間の性質、つまり『条件次第で電気を通すことも通さないこともある』という性質を持つ物質を半導体といいます。

一般的に金属の導体は温度が上がると電気抵抗が大きくなり、温度が下がると電気抵抗が小さくなるという性質を持っていますが、半導体の場合はその逆で、温度が上がると電気抵抗が小さく、温度が下がると電気抵抗が大きくなるという性質を持っています。

代表的な半導体として、ゲルマニウム(Ge)やシリコン(Si)という物質があります。

半導体は特定の元素単体で使用したり、ごく微量に他の元素を混ぜたりすることで電気的な特性を変化させることが出来ます。

真性半導体

不純物を含まない半導体を真正半導体といいます。

真正半導体の元素を構成する電子は低温状態になると原子に拘束されてしまうため抵抗率が大きくなり、絶縁性が高くなります。

これが温度変化によって電気抵抗が変わる理由ですね。

不純物半導体

真正半導体にごく微量にほかの元素を加えたものを不純物半導体と呼び、N形半導体とP形半導体の2つがあります。

N型半導体

ゲルマニウムやシリコンは4価の物質(構成する原子の最外殻に電子が4個ある物質)↓

ゲルマニウム原子の模式図(Wikipediaより引用)

ここにリン(P)やヒ素(As)などの5価の物質(ドナー)を加えると、電子が余って自由電子となります。

このような状態の半導体をN形半導体と呼びます。

P形半導体

ゲルマニウムやシリコンに↓

シリコン原子の模式図(Wikipediaより引用)

ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)などの3価の物質(アクセプタ)を加えると、今度は電子が不足します。

電子が不足しているところを正孔(ホール)といい、このような状態の半導体をP形半導体と呼びます。

例題

実際の試験では半導体の性質に関する問題が出題されるようです。

次の記述は、半導体について述べたものである。( )内に入れるべき字句の組み合わせをしたの番号から選べ。なお、同じ記号の( )内には、同じ字句が入るものとする。

(1)一般に半導体の抵抗値は、温度が高くなると( A )なる。

(2)真正半導体のシリコン(Si)に3価の物質を加えると、( B )半導体になる。

(3)( B )半導体の多数キャリアは( C )である。

実際には正しい組み合わせを選ぶ5択の問題ですが、(1)~(3)の空欄を埋めていくと…。

A:半導体の抵抗値は温度が高くなると小さくなります

B:3価の不純物を加えた半導体はP形半導体です

C:P形半導体は電子が足りないので、多数キャリアは正孔(ホール)になります

接合ダイオード

半導体の性質がなんとなくつかめましたが、実際にはどのような所に半導体が使われて何をしているのか?

もちろん無線機の中にも半導体が入っていて、回路の整流や信号の増幅なんかに使われていますが、半導体を使った電子部品で最も構造がシンプルで理屈も単純なのが“ダイオード”と呼ばれる部品にになるんじゃないでしょうか?

ダイオードの例(Wikipediaより引用)

電子回路に使われる図記号は↓

P形半導体とN形半導体を接合したものを接合ダイオードといい、イメージとしてはこんな感じ↓

P形半導体は電子が余っている状態、N型半導体は電子が足りない状態でしたね。

この状態の半導体に電流を流すとどうなるのか?

P形半導体側に+の電圧をかけるとダイオードの中に電気が流れます↓

このような電圧の加え方を順方向接続といいます。

逆にN形半導体側に+の電圧を加えるとダイオードには電気が流れなくなります↓

このような電圧の加え方を逆方向接続といいます。

ダイオードの中の自由電子とホールの振る舞いによってこうなるわけですが、詳しく書くと今覚える必要も無いことまで説明しないといけなくなるので、これくらいの理解で十分だと思います。

とりあえず今の時点では、“ダイオードは電流を1つの方向にのみ流す逆流防止バルブのような働きをしている”とでも覚えておけば試験対策としては十分です。

ちなみに、この性質を使えば回路に電気が逆流してくることを防いだり、交流電源から一方の極性の電気だけ取り出したりといったことが可能になります。

また、ダイオードをいくつか用意して上手く組み合わせれば電流や電圧の増幅なんかにも使えたりするわけですが、そのために作られているのがトランジスタという部品です。

トランジスタについては別の機会に説明していきたいと思います。

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