電気回路の抵抗値やインピーダンスが分かると回路で消費される電力量を算出することが出来ます。
これ、航空無線通信士の資格を取るだけでなく、意外と日常生活にも役に立ったりするんですよ!
家電製品の消費電力計算してみたり、消費電力からアンペア数を割り出して、家の中で一度に使える家電製品がどれくらいか調べてみたりとか。
これが分かればうっかりブレーカー落とすなんてことも無くなるので、覚えておいて損はないかもしれません。
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直流回路の電力
直流の電気は『電圧と電流の方向が常に一定』という性質を持っています↓
電気が流れている間の電圧値は一定で、電流の方向も変わらないので電力の計算は簡単です。

↑このような抵抗R〔Ω〕に電流I〔A〕が流れ、両端の電圧降下がV〔V〕であるした場合、電圧と電流の積を抵抗で消費される電力Pと呼び、単位を〔W〕(ワット)で表します。
計算式にすると↓

電流Iと電圧Vが分かっていれば単純に掛け算するだけですし、どちらかが不明であれば“オームの法則”

の公式を駆使すれば電力Pを求めることが出来ますね。
まぁ、直流の電力を求めるのはそれほど難しくも無いかな?
交流回路の電力
問題は交流回路の電力の求め方…。
交流は『電圧の大きさと電流の向きが時間により変化する』という性質を持っているので、時間と共に電力量が変化してしまいます。
このため単純に電圧Vと電流Iを掛け算するだけでは求められません…。
皮相電力
一般家庭に供給されている商用電源のような正弦波交流を使う電気回路で、負荷にかかる電圧の実効値Vと負荷に流れる電流の実効値Iの積を皮相電力PSと呼び、単位を(VA)(ボルトアンペア)で表します。

皮相電力というのは負荷で消費されている電力ではなく、交流電源から回路に電流を送るために使われる電力です。
そういえば、航空機用の交流電源や発電機は出力を(VA)で表示していたような記憶が…。
直流電源であれば出力を単純に電圧だけで出力を表示出来ますが、交流電源の場合は電圧の振幅がありますからね。
実際に出力可能な容量として皮相電力を使うんでしょう。
有効電力
実際に機器内で消費される電力を有効電力PAと呼び、単位を(W)(ワット)で表します。
交流回路において
- 負荷にかかる電圧の実行値をV
- 負荷に流れる電流の実行値をI
- 電圧と電流の位相差をθ
- 力率をcosθ
とすると、有効電力Pは以下の式で表すことができます。

皮相電力にcosθを掛けた値となるんですが、なぜそうなるかは後程。
無効電力
有効電力は電力機器を動かすために必要ですが、回路内の電圧の調整に使われるものとして電圧の実効値Vと電流の実効値Iの積(皮相電力)に、電圧と電流の位相角θの正弦(sinθ)をかけたものを無効電力PQ と呼び、単位を(bar)(バー)で表します。

電力と付けれれていますが、実際には電源と機器を往復するだけで消費されないエネルギーです。
皮相電力と有効電力と無効電力の関係
皮相電力は単純に電圧と電流の実効値を掛け算するだけで良いんですが、正弦波交流の場合は電圧と電流の向きが時間とともに変動するうえ、電圧と電流には位相差がある↓

そこで皮相電力、有効電力、無効電力の関係をベクトル図にして↓

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
三角形を作り、皮相電力の辺の長さを元に三角関数を使って無効電力、有効電力を求めるという訳です。
実際にはもっと複雑な式があるんですが、色々端折って単純化すると上の式になります。
ちなみに過去の試験問題を見ると、交流回路の電力に関する問題はあまり出ないようです。
仮に出たとしても、各電力を求めるための公式をについての問題くらいなもので、実際に計算することはア殆ど無いようです。
次はコイルとコンデンサを使った回路で起こる共振についてです↓
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