航空無線通信士の試験対策:無線工学その4 交流回路

パイロットへの道のり

交流とは『電圧の大きさと電流の向きが時間により変化する』電気のこと。

直流なら電圧と電流の向きは常に一定なので回路中の電気抵抗の計算もそれほど難しくは無いですが、交流回路となると時間によって電圧は変化するし電流の向きも変わるので、計算する要素が色々と増えて面倒です…。

とはいえ航空無線通信士の免許を取得するためには避けて通れないところですし、ありがたいことにそれほど複雑な計算問題も出ないようですので、原理や法則、最低限の公式を覚えれば何とかなるかもしれません。

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正弦波交流電圧

時間によって電圧の大きさと電流の向きが変化するというのが交流の電気の特徴で、波形にするといろいろな種類のものがありますが、代表的なものが下のような波形の正弦波交流電圧

正弦波交流電圧のある時点での電圧である瞬時値ν(V)は、

  • 振幅:Vm(V)
  • 角周波数:ω(rad/s)
  • 時間:t(s)
  • 初期位相:θ(rad)
  • 周波数:f(Hz)

とすると

で表すことが出来ます。

ただし、角周波数ω=2πfなので上の式にこれを代入して↓

とすると計算しやすくなりそうですね。

コイル

コイルというのは電線をグルグルと巻いた電気部品です。

電線を巻いただけなので電気抵抗が発生しないように見えますが…。

“フレミングの左手の法則”説明されるように、電線に電気を流すと電線の周りに磁界が発生しますよね?

電線の周りに磁界が発生すると、今度は“フレミングの右手の法則”で説明されるように電線に電流が発生することになるわけですが、この電流が電源からコイルに流されている電流と逆方向になってしまうとこれが電気抵抗になってしまう訳です。

このようにコイル自身の磁力によって発生した抵抗をインダクタンスと呼び、記号をL、単位をH(ヘンリー)で表します。

インダクタに交流電流 i(t)を流すと、コイルに発生した磁界の作用により、時間変化に比例した電圧V(t)が電流の流れを妨げる方向に発生します。

つまり、インダクタは交流に対して抵抗分を持つということですね。

この抵抗分を誘導リアクタンスXLといい、次の式で求めることが出来ます。

コンデンサ

2枚の導体の薄板を向かい合わせに配置したもをコンデンサといい、電気(電荷)を蓄えたり放出したりするために使われます。

電荷を蓄えるというコンデンサの特性から抵抗成分がありますが、これを理想化したものをキャパシタンスといい、記号をC、単位をF(ファラド)で表します。

コンデンサに電圧をかける時間変化に比例した電流が流れため、コンデンサは交流に対しての抵抗分を持つことになります。

この抵抗分を容量リアクタンスXcといい、次の式で求めることが出来ます。

コイルとコンデンサを組み合わせることで共振回路というものを作ることが出来るんですが、この共振回路というのはテレビやラジオの内部で目的の周波数を取り出すのに使われています。

無線の大事な部分なので、航空無線通信士に限らず無線の免許を取るためには避けて通れないところですね!

コイルとコンデンサに発生する位相差

抵抗に交流電圧を加えても流れる電流と電圧の間には位相差は発生しませんが、コイルまたはコンデンサに交流電圧を加えた場合は、電流と電圧の間には位相差が発生します。

コイルの場合:電流は電圧より位相が90°遅れる

コンデンサの場合:電流は電圧より位相が90°進む

RL直列回路

抵抗R(Ω)と誘導リアクタンスXL(Ω)のコイルが直列に接続されたRL直列回路に、交流電圧V(V)を加えた場合↓

回路を流れる電流をI(A)抵抗の両端の電圧をVR(V)コイルの両端の電圧をVL(V)とすると…

  • 直列回路なので回路を流れる電流Iはどこでも同じ
  • VRはIと同位相
  • VLはIより位相が90°進むIはVLよりも位相が90°遅れる

この関係をベクトル図にすると

  • 電流I横軸
  • VR:電流Iと同位相なので同じ方向
  • VL:電流Iより位相が90°進んでいるので反時計方向に90°の方向

となるので

ここにVR=RIVL=XLIを代入すると

となるので、電流Iは

で求めることが出来ます。

回路に流れる電流I(A)が分かれば、電源電圧(V)から回路のインピーダンスZ(Ω)を求めることが出来ますね。

これもオームの法則より、I=V/Zとなるので↓

という式で求めることが出来ます。

RC直列回路

抵抗R(Ω)と容量リアクタンスXR(Ω)のコンデンサを直列に接続した直列回路に交流電流を加えた場合↓

これも考え方はRL直列回路と同じです。

ただし、コンデンサの場合はVC(V)の位相が電流I(A)より90°遅れるので、電圧のベクトル図を描くとこうなります↓

電流I(A)を求める式はRL直列回路のXLをXCに置き換えるだけです。

例題

試験では回路のインピーダンスや電流の値を求める問題が出題されるようですね↓

例えば上のようなRL直列回路があった場合、回路のインピーダンスは

なので、R=80Ω、XL=60Ωを代入して

回路のインピーダンスが分かれば電流I(A)はI=V/Zから簡単に割り出せますね。

という訳で、上のRL直列回路は

回路インピーダンス:100Ω

電流:1A

になります。

公式さえ覚えておけばそこまで難しくは無いですね!

もちろんRL直列回路がRC回路直列回路になったパターンも出題されると思いますが、公式のXLをXCに入れ替えるだけですので、そこまで難しくは無いでしょう。

次は直流回路と交流回路の電力についてです↓

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