無線の免許に限った話ではありませんが、電気が流れる機械を扱う資格を取得するために避けて通れないのが電気回路の話。
免許を取ったからと言って、無線機をイチから作るわけでも、分解修理できるようになるわけでもないものの、無線の原理や原則を最低限度でも理解しておかないといけません。
今回の“直流回路”はその原理原則の中でもごくごく基礎的なところで、これを理解していないことには先に進めないくらい肝心な部分。
まぁ、この辺りの知識は中学校の理科レベルの話ではあるんですが、実生活で頻繁に使う知識でもないので正直な所よく覚えてませんw
復習しながら勉強していきましょうかね。
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直流とは?
電気には“直流”と“交流”の2つがあります。
直流というと、一般的には乾電池なんかを使う製品で良く使われていますね。
一方交流の方は、『家庭用電源のコンセントから流れてくる電気』という感じでイメージする人が多いと思います。
では『直流の電気はどんな電気なのか?』というと、読んで字のごとく、電圧と電流が常に一定の方向に流れる電気の事です。
めちゃくちゃ簡単な回路図を書くとこんな感じ↓

電極には+(プラス)と-(マイナス)があるので、なんとなく『電気は電池の+側から出てきて、-側に帰っていく』と思いがちですが、電流というのは『マイナス電荷を帯びた電子の流れ』なので、実際のところは“-側から+側に向かって”流れていきます。
オームの法則
世の中に存在する電気回路には、必ず電源と何らかの電気抵抗が接続されてます。
電気製品というものは、電源の発生した電気エネルギーを別の種類のエネルギー(熱エネルギーや運動エネルギー)に変換するためのモノで、エネルギーを変換するときに電気抵抗が発生します。
下の図のように、R〔Ω〕(オーム)の抵抗に、矢印の方向に電流I〔A〕(アンペア)が流れると↓

抵抗の両端、+と-の方向にV〔V〕(ボルト)の電圧が発生します。
これを抵抗による電圧降下と呼びますが、このときV(電圧)、R(抵抗)、I(電流)の間には“V=IR”の関係が成り立ちます。
これはなんとなく覚えてますよ!
中学校の時に習ったオームの法則というやつです。
この“V=IR”の公式を元にすれば
- 電圧と抵抗から電流を求める…“I=V/R”
- 電圧と電流から抵抗を求める…“R=V/I”
といった感じで、電流、抵抗、電圧のいずれか2つの値が分かっていれば、残りの値を求めることが出来ます。
回路の合成抵抗
電気回路に1つしか電気抵抗が無ければ難しいことは考えなくてもいいんですが、残念ながらそんなシンプルな回路というのはなかなか存在しません…。
回路全体の抵抗値を見るためには、複雑に接続されたいくつもの抵抗を合わせた“合成抵抗”を計算する必要があります。
抵抗を直列に接続した場合の合成抵抗
1本の電線に対して、複数の抵抗が1直線に並んでいる状態を“直列接続”といいますが↓

直列接続された抵抗の合計値(合成抵抗)はそう難しく考える必要も無く、単純にそれぞれの抵抗値を足していくだけでOKです。
上の図の合成抵抗Rsを求める式は
Rs=R1+R2
となります。
仮にn個の抵抗が全て直列に接続されていた場合、合成抵抗Rsを求める式は
Rs=R1+R2+R3+…+Rn
ですね。
あまりに多くの抵抗が接続されていると計算が面倒になりますが、直列接続の合成抵抗ならそれほど難しいことを考えなくても抵抗値を求めることが出来ます。
抵抗を並列に接続した場合の合成抵抗
直列接続であれば、接続されている個々の抵抗の抵抗値を足し算していけばよかったんですが、これが並列接続になると話が変わってきます。
並列接続というのは、1本の電線を分岐させて2つ以上の電気部品を接続した状態↓

並列接続の合成抵抗Rpは“各抵抗値の逆数の合計を逆数にしたもの”という、ハッキリ言って訳の分からない方法で求めます。
『なぜそうなるのか?』という理屈を聞かれても説明する自信がないので聞かないでください…。
理屈はともかくとして、計算機式としてはこんな感じ↓

なんかもう、式見てるだけで頭が痛くなってきますが、幸いにして抵抗が2つだけの場合は↓

こんな感じの比較的シンプルな数式になります。
なんかこんな数式習った覚えがあるな…。
例題
上の図に適当な抵抗値を当てはめて計算してみましょう。
適当に思い付きでR1=50Ω、R2=25Ωとした場合の合成抵抗Rpを計算してみると↓

マジで適当に思いついた数値なので割り切れない値となってしまいましたが、合成抵抗Rpは四捨五入して16.67Ωとなります。
それでは、この並列抵抗に50Vの電圧が掛けられていた場合に回路に流れる電流Iはどれくらいの量が流れるのか?
これはオームの法則を使えば割り出せますね。
合成抵抗Rp=16.67Ωとして、電圧V=50Vなので、“I=V/R”から↓

またしても割り切れない値になってしまいましたが、この回路に流れる電流Iは約3Aとなることが分かります。
試験の時もこんな感じの問題が出題されるみたいですよ。
また、オームの法則や合成抵抗の計算は試験対策としてだけでなく、この後に出てくる交流回路について理解するために最低限必要になる知識になるので、しっかりと理解しておきましょう。
航空無線通信士と直接関係はありませんが、こんな本があると理解しやすくなります↓
特におすすめなのがこちら『回路シミュレータでストンとわかる!最新アナログ電子回路のキホンのキホン』
無料で使える回路シミュレータを使い、シミュレーション上で作成した回路を動かしながら学習することが出来るので、ただテキストを読むだけの勉強法よりも理屈や原理が理解しやすいです。
ガチガチの文型な人が初めて電気について勉強するなら『図解でわかる はじめての電気回路』というテキストがお勧め。
目に見えずイメージしずらい電気の動きや働きだけでなく、数式についての解説もあったりするので、理系でない人でもこの本を片手に勉強すれば、理解しやすくなるかもしれません。
もちろん航空無線通信士を受験するためのテキストにも直流回路やオームの法則の事は書かれてますが、多少電気系の勉強をした人向けにかかれてるような気がしますね…。
電気の知識がない人は、まずは基礎的な知識を身に付けてから取り掛かったほうがいいかもしれません。
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