航空無線通信士の免許を取るために試験勉強を始めましたが、元々が文系の私には無線工学というのはなかなかとっつきづらい…。
色々な記号が出てきてややこしいので、まずは電気に使われる記号やギリシャ文字を一通りおさらいしてみました↓
色々な情報を集めてみると、意外と計算問題はそれほど出題されず、色々な現象を説明するための法則を理解していればどうにかなるっぽい?
なんとなく拍子抜けしたような感じもありますが、まずは無線工学の基礎となる“電気物理”について勉強してみました。
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クーロンの法則
クーロンの法則とは、荷電粒子の間に働く反発力、または吸引力がそれぞれの電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例すること(逆2乗の法則)を示した電磁気学の基本法則。
といった説明分ではよくわからないですよねw
いい加減なイラストで説明すると↓

2つの点電荷Q1とQ2がrメートル離れた場所にある場合
- 同じ電荷(同じ極性)の場合は反発力
- 異なる電荷の場合は吸引力
が働きます。
この時に働く吸引力と反発力(静電力(N))は、Q1、Q2の電荷に比例し、距離rの二乗に反比例します。
この事から、静電力を求める公式は↓

となります。 ※式の“F”は静電力、“k”は比例定数
例題
次の記述は、距離がr(m)離れた2つの点電荷Q1(C)及びQ2(C)の間に働く静電力F(N)について述べたものである。
【 】内に入れるべき字句の正しい組み合わせを下の番号から選べ。
(1)静電力Fの大きさは、rが一定の時、Q1とQ2の【A】に比例する。
(2)静電力Fの大きさは、Q1およびQ2が一定の時、rの【B】に反比例する。
(3)(1)、(2)を静電気に関する【C】の法則という
過去の試験問題ではこのような穴埋め式の問題が出題されているようです。
実際には5つある選択肢のうちから、正しい字句の組み合わせとなっているものを選択するようになっていますが、ここではA、B、Cを正しい字句で埋めてみましょう。
正解は、“A:積、B:二乗、C:クーロン”となります。
電界
クーロンの法則を理解したところで、実際に電界の強さを求めていきます。
電界の強さとは、電界内に単位正電荷(1C)を置いた時、これ(単位正電荷)に作用するクーロン力(静電力)のこと。
電荷Q(C)から距離r(m)離れた点の電荷(クーロン力)を求めるための公式は↓

2つの点電荷があった場合のクーロン力を求める公式に似てますね。
この式をつかえば、2つの点電荷Q1とQ2の間にある点Pのクーロン力を求めることが出来ます。

この場合は、点Pに発生する点電荷Aと点電荷Bのクーロン力を個別に求めていきます。

Q1とQ2は2つとも同種の電荷なので反発力が働き、EAは図の右向き、EBは図の左向きに力が働きます。
したがって、点Pの電界の強さは
- EA>EBのときは、EA-EB
- EA<EBのときは、EB-EA
- EA=EBのときは、ゼロ
になります。
例題
次の記述は、真空中に置かれた点電荷の周囲の電界の強さについて述べたものである、【 】内に入れるべき字句の正しい組み合わせを下の番号から選べ、ただし、下図に示すように、Q(C)の電荷がおかれた点Pからr(m)離れた点Rの電界の強さをE(V/m)とする。
(1)電界の強さとは、電界内に単位正電荷(1C)を置いた時にこれに作用する【A】をいう。
(2)下図に示すように、点Pからr/2(m)離れた点Sの電界の強さは、【B】(V/m)である。
(3)点Sの電界の強さをE(V/m)にするには、点Pに置く電荷を【C】(C)にすればよい。

(1)の電界の強さとは、“電界内に単位正電荷(1C)を置いた時にこれに作用する静電力(クーロン力)”の事を言うので、Aには“静電力”または“クーロン力”が入ります。
(2)は点Qからr(m)離れた点の電界の強さがE(V/m)なので、次の式が成立します↓

点Pからr/2(m)離れた点Sの電界の強さを“Es(V/m)とすると↓

Bは“4”となります。
まぁ、“電界の強さは距離の二乗に反比例する”という性質を持っているので、ここまで複雑な計算をしなくても“距離が1/2になれば電界の強さは4倍になる”と覚えておけばそう難しくも無いかと…。
(3)は点Sの電界の強さEs(V/m)を、点Rと同じE(V/m)にするには?ということなので、(2)で使った式のEsを1/4倍、つまり電荷Qを1/4倍すれば良いので、Cは“Q/4”となります。
こちらも“電界の強さは距離の二乗に反比例する”という性質から考えると、QSの距離はQEの距離の半分(1/2)なので、Sで計測する点Qの電界はEの4倍になるため、Qの電荷を1/4にすればE(V/m)になりますね。
フレミングの左手・右手の法則
フレミングの左手の法則
フレミングの左手の法則は、磁界(B)の中にあるコイルに電流(I)を流すと回転力(F)が生じる“モーターの原理”を説明するのに役立ちます。
左手の親指、人差し指、中指をそれぞれが直角になるように開くと↓

- 親指:導体にかかる力(F)
- 人差し指:磁界の方向(B)
- 中指:電流の流れる方向(I)
にそれぞれ対応しますが、左手のイラストだけ見てもよく分からない…。
磁界(B)の中に電流(I)の流れる電線(導体)を置いてみると↓

このイラストのように、電流が奥から手前側に流れた場合、電線には上向きの力が働くということになりますね。
逆に電流が手前から奥に流れると、左手の人差し指を軸にして180°回転して、電線には下向きの力が働きます。
今度は磁石が逆に配置されると?
親指を軸に180°回転したのち、電流の向きと中指の向きを合わせるために、今度は中指を軸にして…。
試験中にそんなことをしていて腕がつった人が知り合いにいますが、理屈はともかくとしてそれぞれの指にどの力を当てはめるのかを覚えておけば、それほど難しい問題でもないかと思います。
例題
次の記述は、下図に示すように、時局NS間に、磁界Hの方向に対して直角に置かれた直線導体Lに直流電流I(A)を図のaからbに流したときに生じる現象について述べたものである。【 】内に入れるべき字句の組み合わせをしたの番号から選べ。ただし、磁界Hは図面に対して平行とし、Lは図面上に置かれているものとする。
なお、同じ記号の【 】内には、同じ字句が入るものとする。
(1)Lは、電磁力を受ける。その方向はフレミングの【A】の法則で求められる。
(2)フレミングの【A】の法則では、磁界の方向を【B】、電流Iの方向を【C】で示すと、親指の方向が電磁力の方向になる。
(3)したがって図の場合、Lは図面の【D】の方向の力を受ける。

磁界中に置かれた導体に電流を流すと、フレミングの左手の法則により導体に力が加わります。
この時
- 人差し指:磁界の向き
- 中指:電流の流れる方向
- 親指:導体にかかる力の向き
となるので、導体Lのaからbへ電流が流れた場合、導体Lには図の奥から手前方向への力が加わります。
という訳でA:左手、B:人差し指、C:中指、D:奥から手前、が正解です。
フレミングの右手の法則
フレミングの左手の法則は“磁界に置かれている導体に電流を流すと、どの方向に力が働くのか?”を説明するものですが、逆の場合、つまり“磁界を横切るように導体を動かした場合、電流はどの方向に流れるのか?”を説明するのが“フレミングの右手の法則”となります。

3本の指を互いに直角になるようにするのは、フレミングの左手の法則と同じで、それぞれの指に割り当てられているのも
- 親指:導体の動いた方向
- 人差し指:磁界の方向
- 中指」電流の流れる方向
といった感じで、左手の時と一緒ですね。
フレミングの右手の法則は、発電機の原理を説明するときに使われるものです。
右手と左手を間違えそうなので気を付けないといけませんね!
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