デフォルトの状態でもかなり多くの種類の機体で遊ぶことのできるMicrosoft Flight simulator(以下MSFS)ですが、ネット上で公開されている機体のデータを追加する事でさらに色々なタイプの飛行機を飛ばして遊ぶことが出来ます。
今回はセスナ172を改造して車輪の代わりにフロート(浮舟)を取り付け、陸上だけでなく海や湖、川といった水面にも降りることのできる飛行艇(水上機)を入手したので、いつも通りセントレアとその周辺を飛ばしながら機体のレビューをしていきます。
Table of Contents
今回レビューしているアドオンで遊ぶためにはMicrosoft Flight simulatorが必要ですので、お持ちでない方はこちらから購入してパソコンにインストールしてください↓
実機について
日本語ではこの手の飛行機の事を“水上機”とか“飛行艇”なんて呼んだりしますが、英語だと“Seaplean(シープレーン)”とか“Flying boat(フライングボート)”なんて呼んだりするみたいですね。
機体が“セスナ172の下にカヌーを二つくっつけた”ような外観なので、これだけ聞くとなんとなくゲーム用にでっち上げた架空の機体のように見えないことも無いんですけど、この機体は現実世界にもちゃんと存在する機種。

日本ではまず見ることの無い機種ですが、海外に行くと割とよく見かけるタイプの飛行機で、観光客向けの遊覧飛行で使用されることも多いようですが、個人所有の自家用機も多いようですね。
水上機とは言えむやみやたらにホイホイ着水できるかというとそんなことは無く、離着水が出来る場所というのが法律や規則で設定されています。
アメリカなんかに行くと大きな湖や、流れが穏やかな川、波が小さく船舶の交通量の少ない湾といった所に水上機用の離着水帯が設定されていたりするようですが、日本では水上機を保有しているのが海上自衛隊くらいしかないため、製造メーカーの新明和の工場前の水域や、一部の海上自衛隊航空基地の周辺、それら以外のごく一部の水域くらいにしか離着水帯が設定されていません。
日本国内で自家用機を飛ばすのには色々とハードルがありますが、水上機は離着水の問題もあるためさらにハードルが高くなりそうです。
ちなみに水上機を操縦するためには最低でも自家用操縦士の水上機のライセンスが必要になりますが、場合によっては一般の船舶の航行する水域を飛ばずに移動する必要もあるため、船舶の運航に関する知識も必要になってきます。
民間では義務付けられてはいないようですが、海上自衛隊の飛行艇のパイロットは1級船舶免許の取得が必須なんだそうです。
機体データの入手
ダウンロード
今回はMSFS用のアドオンデータを各種取り揃えている“Flightsim.to”から入手しました。
ダウンロードリンクはこちらになります↓
インストール
機体データはZipファイルの形式でダウンロードされるので、ダウンロードが完了したらパソコン上の任意の場所に解凍。
解凍されたファイルをMSFSの“Community”フォルダに格納すればインストールは完了です!
もう少し詳しいインストる方法はこちらを参考にしてみてください↓
アドオンデータのレビュー
インストールが完了したデータがきちんと起動するかのチェックも兼ねてテストフライトしてみましょう!
機体外観(エクステリア)
今回レビューする機体はデフォルトのセスナ172のデータを改良し、車輪の代わりにカヌーのようなフロートを取り付けたものなんですが…

ただフロートを付けただけといった単純なものではなく、フロートに取り付けられた車輪がコクピットからの操作で格納できるようになっているギミックや、フロートの後ろに取り付けられたウォーターラダー(舵)がラダーペダルに連動するといったギミックも実装されています。

ウォーターラダーも単純にラダーペダルに合わせて動くというだけでなく、機体側とのリンク機構も再現されているようで↓

垂直尾翼の下部にはデフォルトのセスナ172には無かったリンケージワイヤーの取り付け部品が追加されていますね。
リンケージワイヤーまで動くかどうかは分かりませんでしたが、ワイヤーも適当に張られているわけでは無く、よく見ると実機と同じようにターンバックルやプーリーといった部品で機体と接続されています。
正直なところフリーウェアなので『セスナ172にフロート付けただけのモデリングでしょ?』なんて思っていて、ここまでの作りこみの細かさを期待していなかっただけに、この再限度には驚かされました!
これなら2,000円くらいまでなら払ってもいいな…。
内装(コクピット、インテリア)
コクピットはデフォルトで2種類あるセスナ172のうち、ガーミンの統合コクピットディスプレイを搭載したモデルと全く同じものになってます。
恐らくデフォルトのデータをそのまま流用しているのではないでしょうか?

デフォルトのコクピットを流用しているモデルの場合、計器類の表示や作動を改善するためのアドオンを入れていると競合が発生して計器表示がされなくなってしまうことがありますが…

特に問題なく表示出来てます。
少なくともこのアドオンとは競合しないようですね↓
MSFSデフォルトのG1000ディスプレイもそれなりに良く出来ているんですが、一部の機能がINPO(Inoperation:使用不能)となっていて寂しいのでこんなアドオンを入れてます。
このアドオンを導入することでG1000ディスプレイをもう少しだけリアルに出来るんですが、機能が増えるのでかえって使いづらくなるかも…。

コクピットのモデリングはデフォルトの物と全く同じなんですが、コクピットの位置はフロートに交換している分だけ高くなっていようです。
今までいろいろなアドオンを飛ばしてきましたけど、コクピットの位置が機体の外部モデリングと一致してるのは珍しいですね。
有償アドオンならともかく、フリーウェアの場合はコクピットの流用元の機体のデータがそのまま反映されることが多いので、コクピットビューにすると視点が機体本体のモデリングと一致しないなんてことが結構あるんですよ…。
酷いと誤差が2mくらいあったりします…
結構細かいことかもしれませんが、コクピットからの視点が機体の外部モデリングと違うと、着陸するときの進入角度がずれてしまいますからね。
仮にコクピットビューでの進入角度が正しかったとしても、外部ビューにすると飛行機が尻餅をついてしまうなんてこともあるので、機体のモデリングとコクピットビューの目線が一致しているというのは結構大事なこと。
こんな所からもビルダーさんのこだわりが感じられます。
タキシング
足回りの形状的にデフォルト機程小回りは効きません!
ただし、デフォルトのセスナ172はステアリングが効きすぎるような気もするので、考えようによってはこちらの方が操作しやすいかも。
デフォルト機と同じでラダーペダルを蹴ることで左右に向きを変えることが出来ますが、恐らく実機はノーズ側の車輪にステアリング機構がついていないのではないかと…。
多分左右のホイルブレーキの踏みわけでカーブするんだと思いますが、この機体ではなぜか踏んだブレーキの反対側に曲がっていきます…。
なのでカーブするときはブレーキを極力使わないほうが良さそうです。
ちなみに重心位置がデフォルト機に比べると高くなっているので、ある程度速度の乗った状態でカーブすると横転します!
左右の安定性があまりよろしくないので、もしかするとデフォルト機よりも横転しやすいかもしれません。
離陸
プロペラファクターの再現をONにしているためスロットルをMAXにすると機種が左に振られますが、ステアリングの効きがいい感じに鈍いので進路の保持がしやすいかもしれません。
フロートが取り付けられている分重量が増えているので離陸速度はデフォルトのセスナ172よりも高くなるはずなんですけど…

感覚的にはそれほど違わない?
機首上げ操作も予想していたほど大きく操縦桿を動かす必要は無く、案外あっさりと離陸してしまいました。
機動性と操縦性
離陸後に旋回した感じだとデフォルトのセスナ172と操縦の感覚はほとんど変わりません。
フロートの分重量が増えていると思っていたんですが、もしかすると機体のコンフィギュレーションファイルがデフォルトのままなのかもしれませんね。
多少癖があると予想していましたが全くそんなことは無く、いつも通りに飛ばすことが出来ました。
離着水
せっかくの水上機なので着水してみましたが…

着水自体に不慣れなのでベタ凪の状態でも上手く降りることが出来ません…。
滑走路と違って接地のターゲットを設定できないのが一番大きな原因だと思うんですが、そもそもの進入姿勢高すぎたり、速度が速すぎたり、フレアをかける時のピッチをとりすぎていたり…といった具合に問題点が多いんでしょうね…。
MSFSを含めたフライトシミュレーターで過去に何度か水上機を飛ばしたことはありますが、着水の回数はたかが知れていますし、最後にやったのは1年近く前の話。
スキルがほぼない状態で機体を壊さずに着水できただけでもよしとしましょう!
2回ほど着水してみましたが、フラップをフルダウンにした状態で高度100ft以下まで降下、失速寸前まで減速してフレアを掛けつつ徐々に高度を下げていけばそれなりに綺麗に着水できそうな感じ?
水平に近い状態で接水すると飛び石のようにはねてしまうので、若干の機首上げ姿勢で着水するのがいいみたいですね。
着水後はブレーキが利かないので、ウォーターラダーを左右に操作して障害物を回避しましょう!
岸辺を滑走していると座礁しやすいので、岸から十分に離れたところに着水するのがお勧めですね。
離水は着水ほど難しくはなく、フラップを適度に下げてスロットルをMAXにすれば勝手に上がっていきます。
水の抵抗があるので滑走路を走るよりも加速度が低く、滑走距離も長くなるので十分に長い直線が確保できる水面が必要になります。
着陸

着陸はデフォルトのセスナ172とほぼ同じ感覚で。
デフォルトのセスナ172と違うのはフロートがメインギアの後ろに長く伸びているので、フレア操作でそれほど大きく迎え角をとれないという所ですかね?
とはいえフレア操作では迎え角が3°程度になると思いますし、フロートの後端もそれを考慮した形状になっているようなので、余程大きく迎え角をとらない限りは問題にはならないでしょう。
水面に降りた後だと滑走路に降りるのが楽ですね~。
サマリー
ベースはデフォルトのセスナ172なので慣れている人なら特に違和感を感じることも無く自由自在に飛ばすことが出来、水上機なので滑走路の整備された飛行場が無くてもそれなりに広い水面があれば割とどこにでも降りることが出来る。
着陸可能な場所がヘリコプターよりは限られますが、少し大きめのダム湖でもあれば問題なく離着水出来ますし、ヘリコプター程操縦も難しくない。
MSFSの世界を手軽に探検するのに最適な飛行機なんじゃないでしょうか?
デフォルトでも水上機は収録されていますが、航法機器がGPSマップしかないですからね。
本格的なIFRフライトや電波航法で水上機を飛ばすならこの機体しかないでしょう。
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