自衛隊への入隊方法 技術海曹・空曹

自衛隊のキャリアパス
201207220908000

昔は自衛隊の募集担当のオッサン、お姉様方の勧誘時の殺し文句として『自衛隊に入ると色々と免許が取れるよ!』ってのがありましたけど、あれは今も使ってるんですかね?

確かに自衛隊に入隊すると、採用後に任命された職種によっては色々な資格を官費で取得することが出来るんですが、これは色々な法律の関係で自衛官であってもそれらの資格が無いと業務に従事できないから。

なので防衛省は“隊員に業務上必要となる資格を取らせないといけない”訳なんですが、隊員の配置の都合や、隊員の個人的な事情といった様々な理由でたまに資格保有者が足りなくなることも…。

Table of Contents

技術海曹・空曹制度とは?

技術海曹・空曹は取得難易度の高い国家資格や民間資格を取得し、民間企業や防衛省以外の官公庁での実務経験を採用することで、部隊の即戦力として活躍してもらおうという制度。

どのような資格でも募集しているわけでは無く

  • 必置資格または業務独占資格
  • 資格試験の難易度が高い
  • 資格保有者が全国的に少ない
  • 養成に長い期間が必要
  • 自衛隊内で養成していない、または養成課程の定員が少ない

といった資格を保有している人達が対象となります。

もちろん自衛隊内でも養成してはいるのですが、こういった資格の保有者は自衛隊の中でも数が少ないので、欠員が出たり異動が発生したからといって悠長に資格を取るための教育を施すという訳にもいきません。

ある程度人的な余裕を見越して隊員の養成をしてはいるものの、病気や事故といった不測の事態もありますし、隊員やその家族の都合という不確定要素もある…。

このためせっかく余裕を持たせて養成しても急な欠員が発生してしまうこともある訳です。

こういう不測の事態が起こっても有資格者を急遽異動させたり、問題が無ければ一時的に書類上の管理者に指名するなどして急場をしのぐことになりますが、隊員の業務負荷を考えるとなるべく早急に解消したいところ…。

そこですでに資格を保有している人を民間から採用することになるわけですが、人事計画の予定外の対応となるため、毎年募集人員や対象となる資格が異なります。

技術海曹・空曹になるには?

技術海曹・空曹として自衛隊に入隊するためには、採用試験を受験し、これに合格する必要があります。

技術海曹・空曹の募集受付期間

募集受付期間は例年3月~5月下旬となっています。

募集する人数は毎年違いますが、2021年度の採用人数を見ると

  • 海上自衛隊:約19名
  • 航空自衛隊:約4名

となっています。

“約”と付いている通り、毎年キッチリとこの人数を採用するわけでは無く、必要に応じてフレキシブルに採用人数が変化します。

技術海曹・空曹の応募資格

募集年齢は“日本国籍を有する20歳以上で資格免許等を保有する者”となっていますが、保有する資格によって採用時の年齢に制限があり採用後に任命される階級も変わってきます。

募集対象となる資格を自衛官採用HPを軽く調べてみた感じだと…

海上自衛隊
  • 採用時海曹長(30歳以上)
    CISSP
  • 採用時1等海曹(23歳以上)
    気象予報士
    ITストラテジスト
    システムアーキテクト
    ITサービスマネージャ
    システム監査技術者
    情報処理安全管理支援士
    エンベデッドシステムスペシャリスト
    ネットワークスペシャリスト
    データベーススペシャリスト
  • 採用時2等海曹(21歳以上)
    応用情報技術者
    第2級海上・陸上無線技術士
    第2種電気主任技術者
    診療放射線技師
    看護師
    作業療法士
    外語大学卒業者又はロシア語検定1級、中国語検定1級、韓国語能力試験5・6級保有者
    航空交通管制技能証明保有者
    音大で声楽を専攻し、卒業したもの
  • 採用3三等海曹(20歳以上)
    基本情報技術者
    第3種電気主任技術者
    歯科技工士
    外語大学卒業者又はロシア語検定2級、中国語検定準1級、韓国語能力試験3・4級保有者
    航空交通管制基礎試験合格者
航空自衛隊
  • 採用時1等空曹(23歳以上)
    情報処理安全確保支援士
    システム監査技術者
    プロジェクトマネージャ
    データスペシャリスト
    ネットワークスペシャリスト
  • 採用時2等空曹(21歳以上)
    第2種電気主任技術者
    航空交通管制技能証明保有者
  • 採用時3等空曹(20歳以上)
    第3種電気主任技術者
    歯科技工士

募集対象となる資格に対して募集人数が一致しないので、募集はしていても試験の結果次第では採用されないなんてこともあるかもしれません…。

もちろん人員不足で募集しているのですが、具体的に『この資格を保有している人が欲しい!』という訳ではなく『このジャンルの職域に関わる資格を保有している人が欲しい!』といった感じで募集しているんでしょうね。

技術海曹・空曹の採用試験

採用試験は

  • 筆記試験
  • 口述試験
  • 身体検査

があり、音楽要員の枠で応募した受験者には実技試験が行われます。

筆記試験

筆記試験の種目は

  • 一般教養
  • 作文
  • 語学試験(語学(ロシア語、中国語及び韓国語)の受験者のみ)

の3つ。

自衛隊の採用試験は一般に公開されていることが多いですが、私の探し方が悪いのかネット上で見つけることはできませんでした…。

防衛協力会の出版する“最近5か年シリーズ”という過去の採用試験問題も出版されていないのでどのような試験なのかが分かりませんが、恐らく国家公務員一般職、あるいは地方公務員中級レベルの難易度になるのではないかと…。

もしかすると、地方協力本部に問い合わせれば過去の試験問題のコピーなんかを入手できるかも?

過去の試験問題が入手できない場合は一般に販売されている公務員試験のテキストや問題集、公務員の採用試験に特化した公務員スクールに通うのがいいでしょうね↓

口述試験

口述試験は一般企業の採用試験で行われる面接試験のような感じになるかと思います。

技術海曹・空曹へ志願した動機や、保有する資格とその資格に関わる実務経験といったことについて質問されるので、面接の前に自身のキャリアの棚卸をしてみましょう。

また、筆記試験の“作文”の内容について質問されるので、作文で何を書いたか覚えておきましょう!

身体検査

身体検査の項目には一般的な健康診断のように体重や胸囲、血液検査などがありますが、明確な合格基準となる数値が設定されているのは身長(男子150㎝以上、女子140㎝以上)と視力(両側の裸眼視力が0.6以上又は矯正視力が0.8以上)くらいしかありません。

体重については合格基準が『身長と均衡を保っているもの』となっているので、余程太りすぎて歩くことすらままならないというレベルでもなければ「受験時は不均衡だけど入隊後に改善される可能性がある」ということで合格にしてくれる可能性があります。

ただし、長期の入院や毎日の通院が必要な持病がある、性病などの感染症を発症していて入隊までに完治の見込みがない、といった場合は身体検査で落とされる可能性があります。

病状によっては入隊を認められる可能性もありますので、持病があるという人は一度地方協力本部の募集担当官に相談してみてください。

航空交通管制技能証明保有者または航空交通管制基礎試験合格者に関しては、上記とは別で国土交通省の航空身体検査と同じ条件が適用されます。

航空管制の資格を保有している人は既にご存じの事かと思いますが、こちらはかなり厳密ですので受験前の不摂生で体調を崩さないように気を付けましょう!

入隊

技術海曹・空曹の入隊時期

技術海曹・空曹の採用試験に合格すると

  • 海上自衛隊:9月下旬
  • 航空自衛隊:10月以降

の時期に自衛隊に入隊することになります。

技術海曹・空曹の入隊先

入隊先は

  • 海上自衛隊:横須賀教育隊(神奈川県横須賀市)
  • 航空自衛隊:航空教育隊 第1教育群(山口県防府市)

です。

教育期間中は教育隊にある寮(学生隊舎)へ住むことが義務付けられているので、たとえ自宅が基地正門の目の前にあったとしても通学は出来ません。

技術海曹・空曹の教育訓練

入隊と同時に保有する資格に応じて3曹~曹長に任命されます。

あいにく私が現役時代に技術空曹で入隊したという人に会ったことが無いので、教育部隊の場所や教育内容の詳細がよくわからないんですよね…。

採用区分や採用後の職務内容などから推測するに、一番初めは自衛官として知っておくべき基本的な知識や技能を習得しつつ、曹として必要となるリーダーシップや管理能力も同時並行的に習得させるという感じなんじゃないでしょうか?

もっとも、それなりに社会人としての経験があり、前職で中間管理職のようなポジションに就いていた人もいるでしょうから、入隊した時点からある程度のポテンシャルはあるので、そこまで難しいと感じる教育や、厳しいと感じる訓練も無いでしょう。

教育課程を修了すると保有資格に応じた職種を任命され、全国各地の部隊に配属されます。

部隊配属後は必要に応じて自衛隊内の職種別の専門学校である術科学校に入校したり、集合訓練に参加したりしながらスキルアップしていくことになります。

技術海曹・空曹としてのキャリア

保有している資格に応じて入隊と同時に3曹~曹長の階級が与えられるため、部隊に出ても下っ端仕事をする必要は殆ど無いんでしょうね。

採用後一定年数が経過し、昇任試験に合格すれば階級を上げていくことも出来ますし、本人が希望すれば幹部自衛官になることも可能です。

民間企業のように長時間の残業も原則的には無いですし、土日祝日の出勤も当直にさえ当たらなければ原則的には無し!

適度に体を動かして心身ともに健康な生活を送ることが出来る超絶ホワイトな勤務体制!

と、勤務的には悪くないかと思いますが、キャリアという面で言うと微妙な感じでしょうね…。

そもそもこの制度の趣旨が『取得の難しい資格を保有している人を採用して現場の即戦力とする』というもの。

有資格者の人員不足で困っているという理由で採用したわけですから、下手に幹部になられて異動されてしまったら採用した意味が無いことになります。

わざわざ『技術“海曹・空曹”』という採用区分にしているのも、幹部にしてしまうと配属されても人事管理上3~4年で異動してしまうためでしょうね。

これが海曹・空曹なら本人が希望すれば、定年までは無理でも10年は同じ部署に配置することが出来ます。

一応本人が希望すれば幹部への道も開けてはいるものの、部隊側はあまり幹部になって欲しくはないため、他の採用区分に比べると幹部への昇進を勧められることは無いでしょうね。

もちろん技術海曹・空曹として採用された人だけでなく、自衛官候補生や一般曹候補生採用で自衛隊内で教育を受けて同じ資格を取得した人も状況は一緒でしょうけど。

そして、勤務内容も民間に比べるとかなり幅が狭い…。

勤務環境は民間企業に比べれば恵まれた待遇ではあるんですが、業務内容が民間と比べると偏ってしまう所がありますからね。

看護師の人なんかだと患者さんが屈強な自衛官ばかりなので、臨床経験がどうしたって限られてきます。

SE系の業務も委託開発の監督がメインで、システムをゼロから開発することは極端に少なく、規模も小規模。

民間企業以上のスキル獲得を期待できるのは気象予報士くらいでしょうね。

このため自衛隊に入隊してから資格を取得、あるいは資格取得に必要な実務経験を積んだら自衛隊を退職し、スキルアップのために民間企業に転職するなんて人もそれなりにいたりするんですよ。

だから有資格者が不足して公募してるんでけどね…。

とはいえ資格を持っていてある程度の実務経験を積んでそこそこのスキルを持っている人にしてみれば、民間企業に比べて緩い勤務環境でのんびりと仕事できるというのは悪い話ではないと思うんですよね。

倒産する心配も無いし、余程のことが無ければクビが飛ぶこともありません!

体力面で不安があるかもしれませんが、教育隊から徐々に鍛えていけばいいですしね。

転職先の候補の一つにいかがでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました