自衛官のキャリアパス(技術海曹・空曹)

自衛隊のキャリアパス
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昔は自衛隊の募集担当のオッサン、お姉様方の勧誘時の殺し文句として『自衛隊に入ると色々と免許が取れるよ!』ってのがありましたけど、あれは今も使ってるんですかね?

確かに自衛隊に入隊すると、採用後に任命された職種によっては色々な資格を官費で取得することが出来るんですが、これは色々な法律の関係で自衛官であってもそれらの資格が無いと業務に従事できないからねんですよね。

なので“防衛省は隊員に業務上必要となる資格を取らせないといけない”訳なんですが、隊員の配置の都合や、隊員の個人的な事情といった様々な理由で、たまに資格保有者が足りなくなることもある訳で…。

技術海曹・空曹制度

技術海曹・空曹の採用枠の対象になるのは

  • 必置資格または業務独占資格
  • 資格試験の難易度が高い
  • 資格保有者が全国的に少ない
  • 養成に長い期間が必要
  • 自衛隊内で養成していない、または養成課程の定員が少ない

といった資格を保有している人達。

こういった資格の保有者は自衛隊の中でも数が少ないため、欠員が出たり異動が発生したからといって悠長に資格を取るための教育を施すという訳にもいきません。

もちろんある程度人的な余裕を見越してして隊員を養成してはいるんですが、病気や事故といった不測の事態もありますし、隊員やその家族の都合という不確定要素もあるので、急な欠員が発生してしまうこともある訳です。

一応こういう不測の事態が起こっても有資格者を急遽異動させたり、問題が無ければ一時的に書類上の管理者に指名するなどして急場をしのぐことになりますが、隊員の業務負荷を考えるとなるべく早急に解消したいところ…。

そこですでに資格を保有している人を民間から採用することになるわけですが、人事計画の予定外の対応となるため、毎年募集人員や対象となる資格が異なります。

募集要項

一応毎年募集はされていますが、募集人員は海上・航空合わせても30人程度。

保有する資格によって採用時の年齢に制限があり、採用時の階級も変わってきます。

募集対象となる資格を自衛官採用HPを軽く調べてみた感じだと…

対象となる資格

海上自衛隊

採用時海曹長(30歳以上)

  • CISSP

採用時1等海曹(23歳以上)

  • 気象予報士
  • ITストラテジスト
  • システムアーキテクト
  • ITサービスマネージャ
  • システム監査技術者
  • 情報処理安全管理支援士
  • エンベデッドシステムスペシャリスト
  • ネットワークスペシャリスト
  • データベーススペシャリスト

採用時2等海曹(21歳以上)

  • 応用情報技術者
  • 第2級海上・陸上無線技術士
  • 第2種電気主任技術者
  • 診療放射線技師
  • 看護師
  • 作業療法士
  • 外語大学卒業者又はロシア語検定1級、中国語検定1級、韓国語能力試験5・6級保有者
  • 航空交通管制技能証明保有者
  • 音大で声楽を専攻し、卒業したもの

採用3三等海曹(20歳以上)

  • 基本情報技術者
  • 第3種電気主任技術者
  • 歯科技工士
  • 外語大学卒業者又はロシア語検定2級、中国語検定準1級、韓国語能力試験3・4級保有者
  • 航空交通管制基礎試験合格者
航空自衛隊

採用時1等空曹(23歳以上)

  • 情報処理安全確保支援士
  • システム監査技術者
  • プロジェクトマネージャ
  • データスペシャリスト
  • ネットワークスペシャリスト

採用時2等空曹(21歳以上)

  • 第2種電気主任技術者
  • 航空交通管制技能証明保有者

採用時3等空曹(20歳以上)

  • 第3種電気主任技術者
  • 歯科技工士

募集人員

ちなみに2021年度の採用枠は

  • 海上自衛隊:約19名
  • 航空自衛隊:約4名

“約”と付いている通り、毎年キッチリとこの人数を採用するわけでは無く、必要に応じてフレキシブルに採用人数が変化します。

募集人員と資格の数がまったく一致しないのは募集対象の資格を保有する人を必ず採用するとも限らないから。

もちろん必要なので募集しているわけですが、欠員が不確定なので募集はしても採用しないなんてこともあるんでしょうね。

採用試験

採用試験は

  • 筆記試験(一般教養、作文、語学試験(語学で応募した受験者のみ))
  • 口述試験
  • 身体検査
  • 実技試験(音楽枠で応募した受験者のみ)
筆記試験

筆記試験の一般教養と作文なんですが、過去の試験問題が公開されていないんですかね?

私が見つけられないだけかもしれませんが…。

恐らくですが、保有資格と募集対象の年齢に関係なく同一の試験問題が出題されているはずなので、対象年齢の下限である20歳の学歴に合わせ、採用後に海曹または空曹に任用されるという事を考えると、試験問題は一般曹候補学生と同等のレベルになるのではないかと思います。

 

口述試験

口述試験は一般的な面接と考えて問題ないと思います。

応募した動機や、筆記試験で書いた作文の内容について聞かれると思いますが、これに加えて資格に関する事、特に実務経験について聞かれることになるのではないでしょうか?

身体検査

身長と体重に制限があり、男性は150㎝以上、女性は140㎝以上で、体重は“身長との均衡を保っていること”という条件が付きます。

病的に太ったり痩せたりしていなければ落とされることは無いでしょうね。

既往症も応募時点で毎週の通院が必要だったり、特殊な薬を服用する必要があるといった病気でもなければ問題は無いと思われます。

詳細は自衛隊地方協力本部へ問い合わせてみてください。

航空交通管制技能証明保有者または航空交通管制基礎試験合格者に関しては、国土交通省の航空身体検査と同じ条件が適用されるようですね。

採用後の教育訓練

試験に合格すると海上自衛隊または航空自衛隊の教育部隊に入隊し、入隊と同時に保有する資格に応じて3曹~曹長に任命されます。

教育隊は海上自衛隊が横須賀、航空自衛隊が熊谷となっているようなのですが、あいにく私が現役時代に技術空曹で入隊したという人にあったことが無いので、教育部隊の場所を含め、教育内容の詳細がよくわからないんですよね…。

採用区分や採用後の職務内容などから推測するに、一番初めは自衛官として知っておくべき基本的な知識や技能を習得しつつ、曹として必要となるリーダーシップや管理能力も同時並行的に習得させるという感じなんじゃないでしょうか?

もっとも、それなりに社会人としての経験があり、前職で中間管理職のようなポジションに就いていた人もいるでしょうから、入隊した時点からある程度のポテンシャルはあるとは思いますが。

教育期間は3~4カ月ほどらしく、この期間は教育隊の学生寮に住むことになります。

採用時点で曹の階級は与えられていますが、教育隊での扱いは2士と大して変わらないようで、たとえ自宅が基地正門の目の前にあったとしても通学は出来ません。

教育期間中の外出は原則として土日休日のみで、身内の不幸でもない限りは外泊も出来ないため不自由ではあるんですが、部隊に出た後で部下になる海士や空士の若い子たちの気持ちを知るためにも、こういった経験は大事だと思いますよ。

教育課程を修了すると保有資格に応じた職種を任命され、全国各地の部隊に配属されます。

部隊配属後は必要に応じて自衛隊内の職種別の専門学校である術科学校に入校したり、集合訓練に参加したりしながらスキルアップしていくことになります。

技術海曹・空曹としてのキャリア

保有している資格に応じて入隊と同時に3曹~曹長の階級が与えられるため、部隊に出ても下っ端仕事をする必要は殆ど無いんでしょうね。

採用後一定年数が経過し、昇任試験に合格すれば階級を上げていくことも出来ますし、本人が希望すれば幹部自衛官になることも可能です。

民間企業のように長時間の残業も原則的には無いですし、土日祝日の出勤も当直にさえ当たらなければ原則的には無し!

適度に体を動かして心身ともに健康な生活を送ることが出来る超絶ホワイトな勤務体制!

と、勤務的には悪くないかと思いますが、キャリアという面で言うと微妙な感じでしょうね…。

そもそもこの制度の趣旨が『取得の難しい資格を保有している人を採用して現場の即戦力とする』というもの。

有資格者の人員不足で困っているという理由で採用したわけですから、下手に幹部になられて異動されてしまったら採用した意味が無いことになります。

わざわざ『技術“海曹・空曹”』という採用区分にしているのも、幹部にしてしまうと配属されても人事管理上3~4年で移動してしまうためでしょうね。

これが海曹・空曹なら本人が希望すれば、定年までは無理でも10年は同じ部署に配置することが出来ます。

という訳で、本人が希望すれば幹部への道も開けてはいるものの、部隊側はあまり幹部になって欲しくはないため、他の採用区分に比べると幹部にはなりづらいのかもしれません。

もちろん技術海曹・空曹として採用されて人だけでなく、自衛官候補生や一般曹候補生採用で自衛隊内で教育を受けて同じ資格を取得した人も状況は一緒でしょうけどね。

そして、勤務内容も民間に比べるとかなり幅が狭い…。

民間企業に比べれば恵まれた待遇ではあるんですが、業務内容が民間と比べると偏ってしまう所がありますからね。

看護師の人なんかだと患者さんが屈強な自衛官ばかりなので、臨床経験がどうしたって限られてきます。

SE系の業務も委託開発の監督がメインで、システムをゼロから開発することは極端に少なく、規模も小規模。

民間企業以上のスキル獲得を期待できるのは気象予報士くらいでしょうね。

このため資格を取得、あるいは資格取得に必要な実務経験を積んだら自衛隊を退職し、スキルアップのために民間企業に転職するなんて人もそれなりにいたりするんですよ。

だから有資格者が不足して公募してるんでけどね…。

とはいえ資格を持っていてある程度の実務経験を積んでそこそこのスキルを持っている人にしてみれば、民間企業に比べて緩い勤務環境でのんびりと仕事できるというのは悪い話ではないと思うんですよね。

倒産する心配も無いし、余程のことが無ければクビが飛ぶこともありません!

体力面で不安があるかもしれませんが、教育隊から徐々に鍛えていけばいいですしね。

転職先の候補の一つにいかがでしょうか?

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