自衛隊への入隊方法 防衛医科大学校看護学科学生

自衛隊のキャリアパス

トップ画像は以前紹介した防衛医科大学校医学科の記事と同じくWkikipediaより引用した防衛医科大学校の校舎の画像。

看護学科の版権フリーのいい画像が防衛医科大学校医学科以上に少ないので今回も校舎の画像なんですが、授業風景とかは一般的な看護学校と変わらないんですよね…。

という訳で今回は自衛隊で活躍する看護師(看護官)の養成を行っている唯一のコースである防衛医科大学校看護学科について、入隊方法や試験、学生生活、卒業後のキャリアについて書いていきます。

Table of Contents

防衛医科大学校とは?

防衛医科大学校はその名の通り防衛省の管轄する医療系の大学で、陸・海・空自衛隊で勤務する医官(医師)と看護官(看護師)を養成しています。

大学内には

  • 医学科(医官を養成)
  • 看護科(看護官を養成)
  • 医学研究科(大学院に相当)

の3つの学科があり、医学科と医学研究科は独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から学位規則に規定する大学の学部及び大学院の博士課程に相当する教育を行う課程として認定されています。

このため、それぞれの課程を修了し、大学改革支援・学位授与機構の行う審査に合格することで、すると医学科なら学士号、医学研究科をならと博士号を、それぞれ与される…というのは以前医学科の記事でも紹介していますので、詳細はこちらからどうぞ↓

防衛医科大学校看護学科とは?

前述の通り、防衛医科大学校看護学科は自衛隊内で活躍する看護師を養成するための教育期間で、一般の医療系大学校の看護学科に相当します。

過去には陸上自衛隊高等看護学院と中央病院高等看護学院という2つのコースがありましたが、2014年に2つのコースは統合され、現在自衛隊の看護師を養成するコースは防衛医科大学校内に新設された看護学科に一本化されました。

残念ながら医学科のように独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の認定を受けていないため、看護学科を卒業しても学士号は授与されませんが、4年間のカリキュラムを修了して国家試験に合格すれば保健師・看護師の資格を得ることが出来ます。

卒業後は日本全国の自衛隊の駐屯地や基地の医務室、または防衛医科大学校病院や自衛隊中央病院、各地方病院などで保健師・看護師である幹部自衛官として勤務することになります。

防衛医科大学校看護学科に進むためには?

防衛医科大学校看護学科に進むためには採用試験を受験し、これに合格する必要があります。

防衛医科大学校看護学科の募集受付期間

募集受付期間は例年6月~10月上旬です。

ちなみに看護学科は

  • 自衛官コース(募集人員75名)
  • 技官コース(募集人員45名)

の2つのコースに分かれています。

この2つのコースの違いは入隊(入職)後の待遇や一部のカリキュラム、卒業後の配置といったところ。

自衛官コースに進むと

  • 卒業後は陸・海・空の看護師(看護官)として勤務
  • 勤務地は全国各地の自衛隊の駐屯地や基地の医務室や自衛隊病院

技官コースに進むと

  • 防衛省の医療系技官として勤務
  • 勤務先は防衛医科大学校や自衛隊中央病院

という違いがあるようです。

ちなみに2つのコースを募集している組織は

  • 自衛官コース:自衛隊地方協力本部
  • 技官コース:防衛医科大学校

と異なっているので注意しましょう!

まぁ間違えても大丈夫でしょうけどね。

防衛医科大学校看護学科の応募資格

応募資格は日本国籍を有する18歳以上21歳未満の者で

  • 高等学校又は中等教育学校卒業者
  • 上記と同等以上の学力があると文部科学大臣が認めた者
  • 高等専門学校第3学年次修了者

となっています。

受験の段階では医療系の知識や資格は求められていません。

防衛医科大学校看護学科の採用試験

一般の大学と違い、試験に合格して看護学科に進むと自動的に防衛省の職員となるため“入学試験”ではなく“採用試験”と呼ばれています。

“自衛官コース”と“技官コース”に分かれていますが採用試験の内容は同じです。

採用試験は

  • 自衛官コース
    1次:筆記試験、小論文試験
    2次:口述試験、身体検査
  • 技官コース
    1次:筆記試験
    2次:小論文試験、口述試験、身体検査

となっています。

筆記試験

筆記試験の試験科目は

国語:国語総合(古文・漢文を除く)

外国語:コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、英語表現Ⅰ・Ⅱ

理科:物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物の3科目の中から1科目を選択

となっており、回答方法は択一式なので比較的簡単?

過去の試験問題は問題集として市販されているので、過去問から出題範囲や傾向を分析すると試験の対策が取りやすいでしょう↓

試験問題は自衛隊や医療系の専門知識を問うものではなく、基礎学力の判定を重視しているので、一般的な学習塾や予備校で試験対策をすればそれでも十分かもしれません↓

小論文試験

小論文は与えられたテーマを元に自分の思う所を800字程度の自分の小論文にまとめるというもの。

1次試験と同日に行われ、時間制限は1時間半となっています。

小論文のテーマは医療や国際情勢といったものに限らず、かなり幅広い所から出題されるようなので事前対策が取りづらいみたいですね…。

何かの専門分野に特化することなく幅広い知識を持ちそれを活用できる柔軟な人材を求めているということでしょうか?

小論文は口述試験での参考資料として扱われるので、自分が小論文で書いたことを忘れないように、また自分がなぜそのように書いたのかを答えられるようにしておきましょう。

口述試験

口述試験となっていますが、実際には個別の面接試験です。

防衛医科大学校看護科に志願した理由や、将来的にどのような看護師になりたいか?自衛隊の看護師として同活躍したいか?といったことが質問されます。

また、小論文の内容について質問されるので、こちらについてもこたえられるようにしておきましょう!

身体検査

身体検査の基準は“自衛官コース”と“技官コース”で異なっています。

自衛官コース

身体検査の項目には一般的な健康診断のように体重や胸囲、血液検査などがありますが、明確な合格基準となる数値が設定されているのは身長(男子150㎝以上、女子140㎝以上)と視力(両側の裸眼視力が0.6以上又は矯正視力が0.8以上)くらいしかありません。

ただし、身長に関しては10代であれば2~3㎝くらい足りなくても『入隊後に伸びる可能性もある』ということで合格にしてもらえることがあります。

いわゆる『見込み入隊』というやつですね。

同じく体重についても合格基準は『身長と均衡を保っているもの』となっているので、余程太りすぎて歩くことすらままならないというレベルでもなければ「受験時は不均衡だけど入隊後に改善される可能性がある」ということで合格にしてくれる可能性があります。

ただし、長期の入院や毎日の通院が必要な持病がある、性病などの感染症を発症していて入隊までに完治の見込みがない、といった場合は身体検査で落とされる可能性があります。

とはいえ病状によっては入隊を認められる可能性もありますので、持病があるという人は一度地方協力本部の募集担当官に相談してみてください。

技官コース

実際に試験会場で身体検査をするわけでは無く、事前に医療機関での健康診断を受けてその診断結果を提出して書類審査となります。

健康診断の内容は視力、聴力、血圧、尿検査、理学的検査、胸部X線検査、問診となっています。

技官コースの場合は自衛官のような基準はないようですが、気になる方は防衛医科大学校へ問い合わせてみたください↓

防衛医科大学校への入学

防衛医科大学校看護科学生の入学先

採用試験に合格すると3月下旬~4月上旬ごろに埼玉県所沢市にある防衛医科大学校に入学します。

防衛医科大学校看護学科学生の待遇

“自衛官コース”と”技官コース”で待遇に差があります。

自衛官コース

自衛官コースの場合、医学科学生と同様に入学と同時に特別職国家公務員に採用されます。

このため毎月“学生手当”という給料がもらえますし、6年間の教育訓練に必要な経費は全て無料!

全寮制なので通学は出来ませんが、寮費や食費が請求されることはありません。

また、制服や作業服、実習時の服についても貸与されます。

技官コース

技官コースも入学と同時に特別職国家公務員に採用されますが、こちらは非常勤職員扱いとなります。

毎月学生手当は支払われますが、非常勤職員向けの俸給が適用されるため、自衛官コースの学生よりも手当は少なめになるようです。

学費に関しては自衛官コースと同じく無料です。

将来的に自衛官になるわけでは無いので寮に入る必要は無いので学校の近隣から通学できますが、本人の希望があれば敷地内の寮で生活し、食堂の利用も可能となっています。

ただしその場合は食費や寮費を請求されるみたいですね。

まぁ公務員宿舎の場合営利目的は無いので寮費といっても恐ろしく安いですが。

防衛医科大学校看護学科学生の教育・訓練

基本的には一般の医療系大学の看護学科と同様のカリキュラムが設定されていますが、卒業後は自衛隊での勤務となるため、戦闘外傷や災害医療についての講座や訓練が行われるようです。

また、自衛官コースについては看護学科卒業後に幹部自衛官として勤務することから

  • 基本教練(敬礼や“回れ右”といった自衛官の基本的な動きのお作法)
  • 射撃訓練
  • 野外演習(戦闘訓練や野営、野外での看護技法など)
  • 体育訓練
  • 教育・指揮法
  • 全国の駐屯地・基地での実地研修

といった自衛隊としての教育や訓練も並行して受けていくことになります。

防衛医科大学校看護学科卒業後の進路

こちらも学生生活と同じく自衛官コースと技官コースでは違いがあります。

自衛官コース卒業後の進路

看護師国家試験に合格して卒業すると幹部候補生たる陸・海・空曹長に任命され、各自衛隊の幹部候補生学校に入校し、そこで幹部自衛官になるための教育・訓練を約6週間受けます。

卒業後は本人の希望や部隊のニーズを考慮して陸・海・空の各自衛隊のいずれかに進むことになってはいますが、ほとんどの人が陸上自衛隊に進むようですね。

幹部候補生学校を卒業すると自衛隊中央病院や全国各地にある自衛隊病院、または駐屯地・基地の医務室に配属されますが、私が現役中に見た感じだと海・空自衛隊の看護官は殆どが中央病院か各地方の自衛隊病院に配置されているようで、基地では地方採用の看護技官しか見たことがありません。

そのため正直なところ看護官の勤務内容やキャリアは殆どわからないんですよねぇ…。

恐らくですが…

  • 幹部候補生学校卒業後は全国各地の部隊、あるいは自衛隊中央病院か防衛医科大学校病院に配属。
  • 配属直後に中央病院または防衛医科大学校病院に初任研修を受講するために入校。
  • 初任研修が終わると配属先の部隊に戻り正式に看護官としても勤務がスタート。
  • その後は駐屯地と中央病院、各地方病院を転々と異動しながら勤務経験を積みながら階級と役職を上げていく…。

といった感じですかね?

こうして部隊で経験を積み、定年する頃には大体2佐か3佐となるようなので、昇任スピードは航空学生出身の幹部とそう変わらないくらいではないでしょうか?

看護官は作戦運用系の職種ではないため、指揮幕僚課程や幹部高級課程といった指揮官を養成するための課程を履修することが無く、仮に昇任しても1佐が上限といったところ。

役職としては自衛隊中央病院か各地方の自衛隊病院の看護部長がトップのようでそれ以上のポストに就く人はほぼいないようです。

技官コース卒業後の進路

国家試験に合格して防衛医科大学校を卒業すると防衛省の技官に任命され、引き続き防衛医科大学校病院で初任看護員研修を履修、そのまま防衛医科大学校病院で勤務することになるようです。

こちらも情報が少ないので詳しいことは分かりませんが、恐らくほとんどの人は定年まで転勤することなく防衛医科大学校病院で勤務、稀に異動があっても自衛隊中央病院辺りでの勤務になるのではないでしょうか?

待遇としては防衛省職員の1種採用(大卒程度)とほぼ同等レベルになるのかな?

看護師としてのキャリア

勤務先は自衛隊の病院なので倒産する心配はなく身元は保証されるうえ、幹部の階級があるのでいざとなれば患者に強制的に言うことを聞かせるとが出来るため、市中病院に比べれば仕事はしやすいのではないかと思います。

こんなこと書いてるのを現役の看護官に見つかったら炎上しそうですけどねw

自衛隊病院に入院したことのある知人が言うには、看護官のほうが階級が圧倒的に高いのでちょっとしたことをお願いするにも緊張するし申し訳ないしで躊躇ってしまうんだとか…。

看護官の方々としては市中病院の看護師と同じように接してもらいたいらしいんですけど、やっぱり自衛隊に染まってしまうといくら仕事とはいえ階級が上の人に身の回りのお世話をしてもらうのは気が引けますよね~。

しかも入院中は治療に対する積極性という観点から勤務評価されいるので『看護官の手を煩わせると勤務評定が悪くなるんじゃないか?』と思ったりとかしちゃうわけです。

そんなことから患者が治療に積極的でコントロールしやすいことから勤務環境はそれほど悪くもないとは思うんですが、看護師としてのスキルを磨くにはイマイチよろしくないようで…。

防衛医科大学校医学科の紹介でも触れましたが、自衛隊の病院に来る患者は基本的に屈強で頑強な自衛官。

今でこそ防衛医科大学病院は救急指定病院となり、自衛隊中央病院や各地方の自衛隊病院でも一般外来診療を受け付けていますが、一昔前は現役の自衛官かOBくらいしか自衛隊の病院を受診できませんでしたからね。

しかも受診するのも訓練中のケガや慢性の病気ばかりで、稀に担ぎ込まれる救急患者は盲腸や食中毒くらいな物。

駐屯地や基地の医務室では医療資材も限定的なので、自前で手に負えないと判断したら応急処置して近隣の総合病院に搬送するしかない。

このため経験できる症例が極端に少なく限られてしまうため、経験を積んでスキルを磨きたいという人には物足りなく見えてしまうかもしれません。

しかも看護師はどこに行っても人手不足なため退職しても引く手あまた。

給与面で不安があってもスキルを磨きたいという人なら自衛隊の病院よりも市中病院の方が魅力的に映るのかもしれませんよね…。

学費の償還

入学金と学費が無料で毎月手当てが貰えるため、かなり人気のあるコースなんですが、流石に看護学科卒業と同時に対象されてしまってはせっかく大金を投じて看護師を要請した意味がない…。

看護学科も医学科と同じく、卒業後に一定期間を自衛隊で勤務しなかった場合に学費の償還をしなければなりません!

自衛官コース、技官コース共に、勤続義務年数は6年となっています。

まとめ

今回は自衛隊の中で勤務する看護官を要請する防衛医科大学校看護科について取り上げてみました。

自衛官コースと技官コースの2つのコースがありますが、どちらも入学と同時の防衛省の職員扱いになるため毎月給料を貰えますし、6年間の学生生活で必要な学費が全額無料というかなり魅力的な制度です。

卒業したら全国各地の駐屯地や基地にある医務室、または自衛隊病院での勤務となるため、就活しなくてもいいというメリットもありますね!

ただし、患者さんの殆どは屈強な自衛官なので、看護師としての経験値は積みづらいかも…。

せっかく防衛医科大学で看護官を要請しても毎年それなりの数の人たちが退職して行ってしまい、自衛隊の看護官も割と人手不足です…。

看護師の求人を探すと結構自衛隊病院や駐屯地・基地の医務室で勤務する防衛技官としての看護師を募集していたりしますんで、このブログを見て気になった人は探してみてはいかがでしょうか?

ちなみにねらい目は田舎の駐屯地・基地の医務室!

市中病院でいう外来診療の補助や健康診断での採血、隊員の健康情報のデータ管理、各種保健指導といったものが主な仕事で残業は年に数時間しかなく、入院患者は無し!

仮に残業があっても防衛省職員なので残業手当はきっちりもらえますし、産休育休や各種福利厚生も充実してます。

市中病院と比較すると圧倒的にホワイトな勤務環境だと思うんですけどいかがでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました