毎週1つづつくらいのペースで、Microsoft Flight Simulator(マイクロソフト フライトシミュレータ、以下MSFS)に導入することのできる“無償”で入手可能なアドオンをダウンロードしてはレビューするシリーズ。
今回レビューするのは

Air Creation 582SLというウルトラライトプレーンです。
この機体で遊ぶためにはMicrosoft Flight simulatorの本体が必要になりますので、お持ちでなければこちらからご購入ください↓
データ量が多いので光回線のような高速容量のネットワーク回線へ接続してのダウンロードをお勧めします!
実機について
ウルトラライトプレーンは日本ではほとんど見ることはありませんが、アメリカやヨーロッパではスカイスポーツや趣味の飛行機操縦の入門用に割と一般的なジャンル。
ハンググライダーに三輪のバギーをぶら下げたという一見するとふざけた形状の飛行機なんですが、こんな形状のウルトラライトプレーンは結構多く、この機体も実在するものの一つです。
製造はフランスの“Air Création”というウルトラライトプレーン専門のメーカー↓
今回導入したアドオンのモデル名は“582SL”となっていますが、恐らくこれはFSX開発時のモデル名。
メーカーのHPを確認したところ、ベースとなった機体は現在Skyhopper 582と呼ばれているようです。
タンデムシートの二人乗りで、エンジンはウルトラライトプレーン向けには割とメジャーなRotax 582という2気筒ツーストローク、排気量560cc程度のものを搭載。
このデータだけ見ると飛行機ではなくバイクみたいな感じですよね。
小型軽量で取り扱いやすいため気軽にスカイスポーツを楽しむための機体として人気のようです。
ちなみにこの機体を日本国内で飛ばすことも法律上は可能で、パイロットのライセンスは不要なんですが、実験機扱いなので飛行場間を移動するといったことはできず、飛行に当たっても都度国土交通大臣や航空局の許可がいるみたいですね。
アドオンの入手とインストール
ダウンロード
今回もいつも通りFlightsim.toからダウンロードしました↓
ちなみにこの機体のデータはFlightsim.toだけでなくSimviationでもダウンロードできるみたいですね↓
どちらからダウンロードしても同じものが入手可能ですが、今後機体データがアップデートされる可能性もあるため、アップデート版の差分管理やバージョン管理が行われているFlightsim.toから入手したほうが後々楽かもしれません。
インストール方法
インストールは機体データのZipファイルをダウンロードしたら任意の場所に解凍し、解凍されたフォルダをMSFSのCommunityにフォルダに格納するだけ。
詳しい方法やCommunityフォルダへのアクセス方法などはこちらをご参照ください↓
グラフィックのレビュー
機体の外観
このアドオンはAir CreationのSkyhopper582を比較的忠実に再現したフライトモデルですが、実はオリジナルではなくMSFSの前作、FSXにデフォルトで収録されていたフライトモデルをMSFSで使用できるようにコンバートしたもの。

FSXのチュートリアルやアドベンチャーなどにも登場する機体なので、FSXで遊んだことがある人なら絶対に1度は飛ばしたことがあるはず。
機体の構成は主翼とそこに吊り下げられるように配置された車輪付きのバケットにエンジン…といった具合にシンプルなものなんですが、グラフィックはかなり細かく表現され

主翼の上下面に張り巡らされたワイヤーの1本1本から

エンジン回りの配管や配線まで、かなり細かい所まで作りこまれています。
3Dモデリングのクオリティは現在の物と比較すると若干低い所はありますが、FSXを知っている人からするとこれくらいの少し角ばったモデリングの方が懐かしく感じることが出来るのではないでしょうか?
コクピット
コクピット周りもFSXに収録されていた当時のままです。

FSXと違うのは2Dコクピットが無いところくらいですかね?
搭載されている計器類は左上から
- 高度計
- 方位計
- 速度計(陸マイル表示)
- エンジン回転計
- 燃料計
- 無線機
の6つのみという極めてシンプルなコクピットで無駄がないというかむしろ必要な物も若干足りていないような感じ。
まぁ長距離を飛行することはなく、離陸した場所の周辺をグルグルと1時間程度しか飛ばないというのが前提の機体なので、これだけ計器があれば十分です。
テストフライト
機体の外観やコクピット周りなどはFSXに収録されていた当時と全く同じで懐かしさを感じるほどでしたが、飛行性能の方はどうなんでしょうね?
エンジンスタート
今回もいつも通りセントレアの駐機場からテストフライトを開始。
まずはエンジンスタートするためにチェックリストを開いてみますが…。

チェックリストは空っぽで何も書かれていませんでした。
仕方がないので大昔の記憶を引っ張り出してコクピット内のスイッチを触ってエンジンスタート!

といきたかったんですが、スイッチをクリックしても何も起こりませんでした…。
仕方がないのでキーボードの“Ctrl + E”を押してエンジンをスタートします。
地上滑走

離陸前に駐機場内をあちこち走り回って地上でのハンドリングを確認。
同じ機体規模の機体が無いので比較が難しいんですが、デフォルトで収録されているセスナやSR22と比較するとラダーの感度がかなり鈍い。
ただ、あの辺の機体かなりオーバーステア傾向のため、ほんの少しラダーを蹴っただけで急に機体がカーブしてしまうんですが、この機体に関してはかなりのアンダーステア傾向なのでかえってタキシングはしやすいです。
ところが滑走速度が20mph付近になると急にステアリングが効かなくなるので、離陸滑走中の進路の修正はほぼ不可能…。
離陸
滑走路までタキシングするのが面倒たっだので駐機場から直接離陸!

20mphを超えたあたりから機首が左に振られるのですが、ステアリングは効かないのでラダーペダルではなく主翼に軽く右のあて舵を当てて直進を保ちます。
離陸速度は大体40mphくらい。
20~40までの加速が早いため、あて舵を当てなくても滑走路をはみ出す前に離陸できると思います。
強い横風が吹いていなければ無理にあて舵を当てる必要もないかもしれません。
離陸するときは特に操縦桿を引く必要はなく、40mphを超えたあたりから自然と機種が上がってふんわりと離陸していきます。
空中での操縦性
FSXでは初心者向けのチュートリアルに使用されるほど操縦性が素直で扱いやすい機体だったんですが、どうも操縦性まではMSFS向けにコンバートできなかったようで…。
ピッチ方向には常時機首上げの力が加わっているため、操縦桿から手を放していても必要な速度さえあれば離陸してしまえるほどなんですが、ピッチトリムが調整できないので水平に飛行するためには操縦桿をずっと押している必要があります。
ロール方向は静安定性があまり良くないようで、飛行中に操縦桿から手を放すと機体が勝手に左に傾いていきます。
これはプロペラのカウンタートルクやモーメントを再現しているからだと思うので、MSFSの設定でプロペラファクターをOFFにすれば改善するかもしれませんね。
旋回性能についてはロール方向の安定性が低い癖に応答性が悪いため旋回がかなりモタつく感じ。
他の飛行機のようにラダーを蹴りながら旋回すればもっと滑らかに旋回できるのかもしれませんが

この機体にはそもそもラダーがついていないので、ラダーペダルを蹴ったところで何も起こりません。
機体が軽いため少しの風でも煽られてしまうようで、MSFSの気象設定でClear Syk(晴天微風)の状態に設定しても2m/s程度の風で流されるような感覚があります。
機動性については実機と同じで、ロールやループのようなアクロバティックな動きはほぼ無理なようですね。
ダメージ検知をOFFにすれば出来ないことも無いでしょうけど、仮にアクロバット飛行をするのなら、かなりの高度まで上昇したうえで急降下しながら速度を稼ぎ出し、そこからロールやループに移行するといった方法があるかもしれません。

着陸
普通の飛行機なら3度の降下角を維持しながら着陸速度をキープして滑走路に接近するわけですが、この機体はフラップが無いため着陸速度を維持しながらのアプローチが難しい…。
この辺りは私のスキル不足かもしれませんが、降下角度を割と厳密に維持しながらアプローチしないと、接地時の速度が高くなりすぎて接地した時にバウンドしやすくなります。

そして風の影響を受けやすいため、風向きによっては滑走路に対して斜めに進入するなんてことも。
こういった場合は接地寸前にラダーを当てて機首を滑走路に正対させたいんですけど、ラダーが無いので無理ですね…。
状況に応じてメインギアを片側だけ設置させ、そこを軸に機首方位を修正するといったテクニックが必要になってくるかもしれません。
サマリー
FSXでは初心者が飛行機の操縦法を覚えるための入門用の機体として扱われていましたが、このアドオンに関しては初心者を受け付けないであろう、かなりクセの強い飛行機です…。
正直なところ初心者には積極的にはお勧めできないアドオンではありますが、古くからフライトシムで遊んでいる人達にこそお勧めしたい、玄人向けのマニアックな機体です。
初心者には操縦が難しいと感じた理由はクセの強い妙な操縦性もありますが、飛行姿勢を表示するための姿勢指示器がコクピットに無いからというものあります。
飛行姿勢を確認するためには外の景色を確認する必要があるんですけど、操縦しながら頻繁に景色を確認するのが割と大変!
VRゴーグルでも使えばいいんでしょうけどね。
この機体はコクピット周囲に遮るものが無いため視界が広く、操作の必要な機器類もほぼ無いので、むしろVRゴーグルを使って飛ばすのが正解なんでしょう。
という訳で古くからフライトシムで遊び、現在はVRゴーグルでMSFSを楽しんでいる方はぜひこのアドオンを試してみてください!
きっとどんな飛行機で飛ぶよりも没入感があると思いますよ!
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