浜松の博物館めぐり:浜松まつり会館

美術館・博物館

毎年5月の3,4,5日に開催される浜松まつりは、江戸時代前期頃から行われていた割と伝統のあるお祭りで、日中は各町内会が大凧を揚げる腕を競う凧合戦で盛り上がり、夜は豪華絢爛な御殿屋台の引き回しを行うという浜松の初夏の恒例行事。

これくらい歴史のあるお祭りだとどこかの神社やお寺に保存会や資料館なんかがあったりするものですが、浜松まつりは日本でも数少ない“御祭神がいない”という珍しいお祭り。

ご祭神がないため保存会は無く、祭りの歴史や伝統を伝えるための資料館として浜松市の建設した『浜松まつり会館』という博物館があります。

このまつり会館があるのは、浜松まつりの名物である凧合戦が行われる中田島砂丘の凧揚げ会場。

地元民には『凧場』として知られている凧揚げグラウンドのすぐ近くで、浜松駅からはバスで20分程、東名高速の浜松ICからは車で30分ほどのところにあります。

凧揚げグラウンドに近いためまつり会館の周辺にはいくつか無料駐車場があり、どの駐車場もかなり広いので、車でも気軽に来ることが出来ます。

凧合戦は浜松まつりの期間中だけしかやっていないため、普段は駐車場もガラガラ…かと思いきや、意外と休日に行ってみるとまつり会館周辺の多目的広場で遊ぶ人たちがいたり、ウォーキングやジョギングをする人がいたり、凧揚げをする人がいたりと、年がら年中賑わっていたりします。

まつり会館に入るとまず目に入るのはたくさんの凧!

エントランスには地元の各町内会の作成した凧の他にも

日本各地に伝わる伝統的な凧が展示されています。

和凧というと四角い形の凧というイメージが強かったんですが、意外と伝統的な凧にもセミの形をしたものや鳥の形をしたものがあるんですね。

受付で入場料を払って館内へ。

入場料は

  • 大人:400円
  • 中学生以下:無料

となっていて、浜松城の入場券を持って行くと大人は100円が割引されます。

ちなみに受付横の売店までは無料で入れるんですが、売店は帰りに寄っていく事にしましょうかね。

エントランス周辺には御殿屋台のミニチュアが置いてありました。

縮尺が1/5となっていますけど、高さ1mくらいはあるので結構デカいです。

御殿屋台の奥にはやじろべいのミニチュア凧がありました。

さすがにこのサイズの凧が上がることはありませんが、たまに館内に風が入ってくるとゆらゆらと揺れるのでそれっぽい感じに見えますね。

係の人曰くこの凧がまつり会館で一番小さい凧なんだとか。

エントランスから奥へ進むと何やらお祭りには似つかわしくない機械が置かれた部屋がありますが、ここはタコ糸を製造するところ。

再現ではなく実際にここでタコ糸を作っているみたいですね。

ここに来るまで知らなかったんですが、凧合戦は意外と組織やレギュレーションがしっかりとしているようで、凧揚げに使うタコ糸はここで製造されたものでないと使えないようです。

価格は200mで69,000円!

浜松まつりのためだけに製造されるタコ糸なのでどうしても高くなってしまうんでしょうね…。

タコ糸製造室の隣では浜松まつりを紹介するビデオを流していました。

浜松まつりの起源は今からおよそ450年前の永禄年間(1558~1569年)。

当時の浜松を治めていた曳馬城主飯尾豊前守の長子義廣公の誕生を祝うために入野村(現在の浜松市西区入野町周辺)の住人、佐橋勘五郎の進言により義廣公の名前を凧に記して城中でその凧を揚げたのが始まりと伝えられています…が、この説は信ぴょう性に欠けるらしく、最近の研究によるとこの期限自体が大正時代に創作されたもの何だとか。

どうも江戸時代には全国で『長男の誕生を祝って嫁の里から凧が送られ、贈られた家では糸や用具を整え、端午の節句の時期にそれを近所の若者が揚げる』という風習があったようで、明治に入ると時代遅れの旧い風習となっていたものがどういう訳か浜松にだけは残り、これが浜松まつりとして現在まで伝わっているようです。

元々はただ単に凧を揚げるだけの行事だったわけですが、明治期に設立された消防組や隣組の制度の影響もあってか、凧揚げの集団は妙に高度に組織化されており、各町内会にはおおむねこのような『凧揚げ会』が組織されているみたいですね。

初期は各町内で行われていた凧揚げは消防組が発展しだすと組大綱の凧合戦に様変わりし、凧揚げをする組が集合するためにの広い会場が必要となるわけですが、そこで浜松の人が思いついたのが現在の和地山公園あたりにあった旧日本陸軍の練兵場。

陸軍に掛け合って使用許可を得ることに成功し、戦前はそこで凧合戦が繰り広げられていたそうです。

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ちなみに浜松まつりで上げられる凧は子供の誕生を祝う“初凧”と各町内会凧揚げ組の作成した凧の2種類。

初凧の方はその町内で生まれた子供の誕生を祝い、健康と成長を願って揚げられるもので、凧に子供の名前を入れたもので、組の凧は凧合戦用に制作されたもの。

凧の大きさは小さいもので2帖(美濃判(9寸×1尺3寸=273mm×393mm)24枚分)、大きなものになると10帖程になります。

初凧のほうはただ揚げるだけの凧ですが、もう一つの方の組の凧は凧合戦用に特化した喧嘩凧と呼ばれるタイプの物。

形状はどちらも四角のシンプルなものですが、凧合戦ようの凧はサイズが初凧より大きく4~6帖ほどのサイズのものが多いようです。

凧合戦の戦い方はタコ糸同士を絡み合わせて摩擦で相手のタコ糸を切ってしまうというもの。

凧合戦で切れてしまったタコ糸と、切れた時の様子を開設する展示品がありました。

かつてはタコ糸を切りやすくするためにガラスの粉末をタコ糸につけていたり、切れにくくなるようにケブラー繊維でタコ糸を作ったりしていたようですが、現在では先ほど出てきたまつり会館製のタコ糸以外は使用禁止になっているそうです。

浜松は昔から繊維業が盛んな土地なので、レギュレーションを決めておかないとタコ糸の進化が止まらなくなってしまったかもしれませんね。

一向に切れる気配のないむやみやたらに強靭なタコ糸というのも見てみたい気もしますが…。

巨大な凧が条件によっては数百メートルの高さまで揚がるので糸巻も巨大です。

この大きな糸巻もただボビンが大きくなっただけではなく、ブレーキが付いてたりします。

とてもじゃないですけど人力だけではあんな大きな凧を操れないでしょうからね…。

こちらはタコ糸を操るためのテギと言われる滑車。

使い方はよく知りませんが、多分タコ糸を引っ張る方向を変えたり、糸の繰り出しを調整したりするのに使うんじゃないでしょうか?

浜松まつり開催中の昼間はこんな感じで各町内会の凧揚げ組が中田島砂丘の凧揚げ会場で凧合戦を繰り広げています。

ちなみに凧合戦に負けてしまった凧はどうなるのか?

大抵は凧揚げ会場の周辺に墜落して回収されるんですが、条件がタコ糸が切れてもそのまま飛び続け、運が良ければ数百キロ飛んで行ってしまうことも。

過去には福島辺りまで飛んで行ってしまい、わざわざ回収に出向いたなんてこともあったみたいですね。

浜松まつりは日中の凧揚げだけでなく、夜に行われる御殿屋台の引き回しも名物です。

元々は各町から凧場へ凧と道具一式を運ぶために使っていた大八車が

次第に装飾されるようになり

凧揚げの道具ではなくお囃子隊が乗るようになり

お寺化神社のような彫刻が施されて今の御殿屋台になったようですね。

昔は凧場と各町への行き帰りで引き回されていた屋台ですが、現在は浜松市中区の鍛冶町周辺を周るだけ。

流石にこの規模の屋台ともなると簡単には動かせないですし、そうそう気軽に買えるような代物でもないので、御殿屋台引き回しに参加する町はそこまで多くはありませんね。

それほど多くはないといいつつも、毎年30~40の屋台が町の一角を巡行する光景はなかなかのもの。

正直なところ浜松まつりは参加しないと何一つ面白くないお祭りではありますが、夜の御殿屋台は是非一度見物に行ってみることをお勧めします。

運が良ければ(?)ベロベロに酔っぱらった鈴木砂羽に会えるかも?

帰りがけにエントランスにある売店に寄り道。

売店では浜松まつりの凧合戦に参加している各町内の凧のミニチュアを売っています。

飾りのようにも見えますが、実はこの凧ちゃんと揚がるように作られていて、上手い人が揚げると100m以上の高度まで揚げられます。

凧に付属している説明書にも揚げ方がかかれていますが、まつり会館前で実際にこの凧を揚げている人たちがいるので、詳しいことはその人達に聞いてみてください。

凧揚げの道具がガチすぎて若干ビビりますが、声をかけると気さくに色々と教えてくれますよ!

ちなみにミニチュア凧はオリジナルデザインのものも作って貰えます。

流石に頼んだその場で作って貰えるわけではありませんが、旅の思い出にいかがでしょうか?

もちろんこの凧もちゃんと揚げられますよ。

凧のデザインのピンバッジもありました。

使いどころがイマイチ思い付きませんが、デザインが渋めなの意外と面白いかも?

なんとなく思い付きでまつり会館に行ってみましたが意外と面白かったですね。

係の人は『昭和な感じの博物館なのであまり面白くないかもしれませんよ…』なんて言っていましたが、その昭和感あふれる感じが令和の時代になると帰って新鮮な感じもします。

展示品がピンポイントかつマニアックすぎるため浜松まつりに興味のない人には何一つ面白くないかもしれませんが、意外とこういう博物館って実際に足を運んでみると案外面白かったりするんですよね~。

またこんな感じのマニアックな博物館や資料館に足を運んでみたいと思います。

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