毎週1つづつくらいのペースで、Microsoft Flight Simulator(マイクロソフト フライトシミュレータ、以下MSFS)に導入することのできる“無償”で入手可能なアドオンをダウンロードしてはレビューするシリーズ。
今回レビューするのは

MSFSの世界を自由に走り回ることのできるクルマのアドオン。
“三菱パジェロ・ミニ”です。
Table of Contents
実車について
アドオンのグラフィックを見るといわゆる“白ナンバー”が付いているため、普通車規格で販売されていた3ドアのショートボディや、本家パジェロを今でいうスモールSUVサイズにサイズダウンしたパジェロ・ジュニアに見えないことも無いんですが…。
フロントグリルやヘッドライト、フロントバンパーに取り付けられたフォグランプの形状、フェンダーの張り出し方などから、恐らく軽自動車規格のパジェロ・ミニの2代目なんじゃないかと思われます。

実車はパリ-ダカールラリーで活躍した本格派のSUV…から着想を得て、スズキのジムニーに真っ向勝負を挑んだ軽SUVです。
パジェロのブランドネームを使い、基本的なデザインも本家パジェロを踏襲しているのは伊達ではなかったようで、見た目のみならず走行性能もかなりもの。
小型軽量な車体を生かし、本家パジェロでも入って行けないような道にもホイホイ入って行けるという気軽さから、アウトドア好き、特に渓流釣りや磯釣りをする人たちに人気の車の一つです。
残念ながら三菱自動車の経営上の問題から2012年に生産終了してしまいましたが、今のタイミングで再販すれば『契約から納車まで1年以上』というジムニーの市場シェアをかなり掻っ攫うことが出来そうな気がするんですけど、いくら利益率が高いといわれるSUVでも軽自動車じゃ売れてもたかが知れてるんでしょうね…。
人気が高いといわれる割に中古市場もそれほど高騰してはいないようで、中古車の平均販売価格は40万円とジムニーに比べるとかなりお安くなっており、タマ数もそれなりに多いので比較的入手しやすいようですし、そんな状況では新車として投入してもそれほどの需要は掘り起こせないかもしれません…。
アドオンの車体について
今回レビューするパジェロミニのアドオンは“Flightsim.to”からダウンロードすることが出来ます↓
MSFSというか、フライトシムにクルマのモデルがあるというのもいささかおかしな話ではありますが、実は結構前からこの手のアドオンはそれなりにリリースされていて、実は意外と人気のジャンル。

このパジェロミニも、実はMSFSの前作のMicrosoft Flight Simulator X(FSX)向けにリリースされたアドオンをMSFS用のコンバートしたものになります。
FSXで遊んでいた頃にもダウンロードしていますが、MSFS向けのパジェロミニはFSX向けの物と全く同じでした。

車体の外観は黄色一色のバードパトロール仕様と、イギリス警察仕様が標準で設定されていますが、パジェロミニ用の外観データがすでに色々とリリースされているので、これらのアドオンを入手すればさらにいろいろなタイプのパジェロで遊ぶことが出来ます。
ちなみにパジェロの右側に立っている変なオジサンはエンジンを掛けると車内に引っ込みます。

内装もなかなか細かい所まで作りこまれています。
すべてではありませんがスイッチ類も一部はクリックすることで操作可能!
MSFSのデフォルト機と比べてしまうとどうしてもビジュアル的に簡素な印象を受けますが、FSX用の機体のコクピットはデフォルトでもこんな感じ。
当時のPCのストレージ量やグラボの処理能力だとこれくらいのビジュアルが表示能力とビジュアルのクオリティーをバランスする上での限界といった所だったんでしょうね。
操作方法について
デフォルトの状態だと
- ステアリング:ラダーペダル
- アクセル:スロットル
- ブレーキ:左右のフットペダル
といったキーアサインになっているため、走行するときは飛行機のタキシングと同じ方法で操作する必要があります。
これでも問題なく走れますけど車の運転として考えるとこの操作方法は物凄い違和感があるので、パジェロミニ用にキーアサインを設定しなおしました。
- ステアリング:操縦桿(ヨーク)の左右

- アクセル:右のフットペダル
- ブレーキ:左のフットペダル

スロットルの操作軸は必ずリバースアクシスにチェックを入れておきましょう!
こうしておかないとアクセルから足を離すとスロットルが全開になってしまいます。

アクセルとブレーキの関係がレーシングカートぽい感じになってしまいましたがこれで一応クルマっぽい操作系を作ることが出来ました。
レーシングハンドルでもあればもっとちゃんとした設定ができるんですけどね。
テストドライブ
機体データの外観や内装はパジェロミニになっていますが、シミュレーション上は小型の単発レシプロ機という扱いになっているようですね。
エンジンはセスナのような感じで、アクセルを踏み込んでも車ほどリニアな感じでエンジン音が変化しません。
普通の車のようにプロペラシャフトやドライブトレインといった駆動系は無く、見えないプロペラの力で推進しているため、タイヤにトラクションがかかるような感覚は全くありませんし、加速は1テンポどころか2テンポくらい遅れます。
ハンドリングは低速では意外と小回りが効く感じなんですが、高速になるとフワフワした感じで接地感がなく、ある程度のスピードが出ると物凄いアンダーになるどころかステアリングが効かなくなってきます。
感覚的には『翼が無くなったセスナ152』といったところですかね?

今回は羽田空港でテストドライブをしてみようと思ったんですが、空港の中を車で走っても大して面白くないんですよね…。
空港内なら小型機であちこち走り回ることが出来るので、わざわざパジェロで走り回る必要もないわけですし…。
そこで羽田空港の第1・第2ターミナルの間を走る首都高湾岸線に出て街中に出てみようと思ったんですが↓

何やら見えない壁に阻まれているようで、湾岸線に架かる橋から飛び降りようとするとはじき返されてしまいました。

どうやら空港島からの脱出は不可能なようです。
仕方がないのでSlewモードという、機体を自由に任意の場所へ移動させるモードを使い、東京23区内のどこかに移動させてそこからドライブしてみることにしました。
実験:MSFSの世界でドライブは楽しめるのか?
その1:東京の市街地

という訳でSlewモードで東京駅の丸の内口まで移動してみました。
だいぶ駅舎がカクカクしてますが、ネットワーク回線の通信速度が常時10Mbpsくらい出ていればもう少し綺麗に表示されるかな?

上空から見下ろす街並みはかなり綺麗ですけど、やっぱり地上から建物を見ると3Dモデルがある程度簡略されているようで、レーシングゲームやオープンワールドゲーム程綺麗なグラフィックではありませんね。
まぁそもそも地上を走って遊ぶようには出来ていないので仕方がないですけど…。

丸の内口から皇居前広場に向かい、

内堀通りを北に向かって少し走ってみました。
3Dオブジェクトがだいぶカクカクしてますが、地表面に表示されている道路のテクスチャーや周辺のビルの感じからなんとなくどこを走っているのかイメージ出来る?

通信速度がもう少し早ければもうちょっと本物っぽく見えるかもしれません。
しばらく内堀の周りを走ってみましたが…

道がガッタガタになっていてまともに走れる気がしない…。
恐らく精密に再現しようとして標高データを取り込んだのはいいものの、周囲の建物の高度データを変な風に取り込んでしまってるんじゃないですかね?
そのせいで本来は平面になっているはずの道路がこんな具合に波打ってしまっているのではないかと思われます。
ということは再限度がそれほど高くない地方都市に行けばもう少し快適にドライブできるのでは?
その2:地方都市の市街地

ということで今度は地元の浜松へやってきました。
スタート地点は浜松駅前の↓
JR浜松駅北口交差点の辺り。
流石に東京に比べると建物の再限度は低いですが、地元民からすると『なんとなく感じはつかめてるんじゃない?』といった程度には再現できているのではないかと思います。
ここから駅前の大通りを走って国道152号線に入ってしばらく走ってみました。

浜松市役所の前辺りを走ってますけど、地元民でもこの画像を見せられたところで場所は言い当てられないだろうなぁ…。

ビジュアルはアレですが予想していた通りに再限度の甘い地方都市は道路が平坦で障害物も無いため非常に走りやすい!
地上の3Dオブジェクトの再限度が微妙ですが、自分の知っている場所なら走っているうちにビジュアルが記憶で補正されてそれなりにリアルに見えてくるのが面白いですよ。
こんなのでもそれなりに楽しくドライブ出来ます。

ちなみに橋や高架は建物と同じ扱いになっているようで、過去に飛行機で橋に降りようとしたら接地した瞬間に墜落扱いになってしまいましたが、設定でクラッシュ検知をOFFにしておけばその問題も解決されます。

たまに現れる水没したエリアもクラッシュ検知をOFFにしておけば問題なく渡れます。
結論
地上オブジェクトの再現度が高い所も走れないことは無いけど、楽しめるかどうかは回線速度次第?
東京よりも地方都市で再限度が中途半端な場所の方が楽しめるかも!
道路の再現度が高いので、マップルや道路地図を見ながら走ると面白いかもしれません。
もちろんスマホ片手にgoogle mapやBing map見ても良いですけどね。
あえてアナログな方法でドライブするというのも面白いんじゃないでしょうか?
サマリー
ハッキリ言っちゃうとクルマとして見た場合操作性は最悪でリアリティもクソも無いほどの酷いモデル…。
でもMSFSはドライブではなくフライトを楽しむためのシミュレーターですからね。
はじめはクソだと思っていた操作性も慣れてくるとそれほど気にならなくなります。
そして地上を走っているうちに今まで上空からでは見つけることが出来なかったものを色々と発見したりすることが出来たり、現実には訪れることのできない場所へも簡単にアクセスできるようになるので、MSFSの世界をより一層楽しめるのではないでしょうか?
リアル系のドライビングシミュレーターと比べると流石に分が悪いですが、地上のあらゆる場所をそれなりに再現しているMSFSを遊びつくすためには是非とも入れておきたいアドオンの一つではないでしょうか?
コメント