自衛隊への入隊方法 自衛官候補生

自衛隊のキャリアパス

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自衛官候補生とは

自衛官候補生は自衛隊の採用制度の一つ。

昔は新隊員課程とか練習員課程なんて呼ばれて陸・海・空自衛隊に採用されるとすぐに2等陸・海・空士に任命されていましたが、警察・消防学校学生との待遇の不均衡や防衛予算の削減を目的として制度が変更されています。

現行の制度では採用されると“自衛官候補生(特別職国家公務員)”という身分が与えられ、教育期間中は自衛官ではなく、防衛省の定員外職員という扱いになるというのが大きな変化点。

といっても、教育内容や教育期間はほとんど変わっていないようです。

自衛官候補生になるためには?

自衛官候補生として自衛隊に入隊するためには、自衛官候補生採用試験を受験し、これに合格する必要があります。

自衛官候補生の募集受付期間

自衛官候補生の募集は年間を通して募集を受け付けています。

採用試験自体は陸・海・空自衛隊で共通ですが、採用後にどの自衛隊に進むのかは志願の段階で決めることが出来ます。

ただし、倍率は空>海>陸になる傾向が強いですね…。

ちなみに試験は年に数回行われ、4月の年度初め以外にも入隊することが可能なので、受付時にどのタイミングで受験するか決めることも出来ます。

自衛官候補生の応募資格

自衛官候補生に応募できるのは

  • 18歳以上33歳未満
    (ただし、32歳の者にあっては、採用予定月の1日から起算して3月に達する日の翌月の末日現在、33歳に達していない者)

で日本国籍を有する男女。

学歴や資格については特に制限は無いので、中卒だろうが小学校中退だろうが、採用試験にさえ合格すれば入隊することが出来ます。

自衛官候補生の採用試験

自衛官候補生の採用試験は

  • 筆記試験
  • 口述試験(面接試験)
  • 適性検査
  • 身体検査
  • 経歴評定

の5つとなっていますが、経歴評定に関しては“多様な経歴を有する受験者の能力を総合的に評価するもの”となっているので、すべての受験者を対象としたものではありません。

恐らく取得難易度の高い国家資格を持っていてその資格に関する任務に就きたい人や、一般社会での実務経験のある人を採用する上での評価の一部でしょうね。

筆記試験

筆記試験は

必須科目

  • 国語
  • 数学
  • 世界史A

選択科目

  • 日本史Aまたは地理A
  • 現代社会または倫理・政治経済

の計5科目、30問が出題されます。

試験の難易度はそれほど高くはありませんが、景気動向が不安定な時期や、災害救助などで自衛隊が活躍した直後などは志願者が増える傾向にあり、試験倍率は高め。

バブル経済崩壊後は志願者が多く、例年3~4倍くらいの倍率になるようです。

過去の試験問題は防衛省が開設している自衛官募集HPに掲載されていますが、公開されているのは前年度の採用試験だけです。

確実に合格するための試験対策をするのであれば、過去数年分の問題集が販売されているので、こちらを購入するのがお勧め↓

口述試験

口述試験となっていますが、実際のところは面接試験です。

高校受験や一般企業の採用面接みたいなもので、『なぜ自衛隊に入りたいのか?』『自衛隊に入ったら何をしたいのか?』『学校や会社でどんなことをしてきたのか?』みたいな感じの事を聞かれるかと思います。

ここで張り切って『愛する祖国を憎きあの国から守るために志願しました!』なんてことを言うと面接官からヤバい奴だと思われて落とされるので冗談でも言わないようにw

まぁ筆記試験に合格してれば余程面接で変なことを言わない限り落とされることは無いと思いますが、しいて言うならば“面接官に『コイツが部下なら一緒に働きたいなぁ』と思わせる”ような受け答えしましょう!

別に自衛隊や武器に関わる知識はいりません!

  • 元気よく、明るく、ハキハキと受け答えする事。
  • 分からないことがあってもごまかさない事。
  • 嘘をつかない事。

この3つに気を付けていれば大丈夫でしょう!

不安な方はこんな本も出ているので↓

参考にしてみてはいかがでしょうか?

適性検査

採用試験で行われる適性検査は自動車学校で入校時に受ける心理テストみたいなやつです。

こればっかりは事前の試験対策のしようがないと思いますが、まぁこれで落とされることはまず無いんでリラックスして楽しみながら受けてみてください。

身体検査

身体検査の項目には一般的な健康診断のように体重や胸囲、血液検査などがありますが、明確な合格基準となる数値が設定されているのは身長(男子150㎝以上、女子140㎝以上)と視力(両側の裸眼視力が0.6以上又は矯正視力が0.8以上)くらいしかありません。

ただし、身長に関しては10代であれば2~3㎝くらい足りなくても『入隊後に伸びる可能性もある』ということで合格にしてもらえることがあります。

いわゆる『見込み入隊』というやつですね。

同じく体重についても合格基準は『身長と均衡を保っているもの』となっているので、余程太りすぎて歩くことすらままならないというレベルでもなければ「受験時は不均衡だけど入隊後に改善される可能性がある」ということで合格にしてくれる可能性があります。

ただし、長期の入院や毎日の通院が必要な持病がある、性病などの感染症を発症していて入隊までに完治の見込みがない、といった場合は身体検査で落とされる可能性があります。

とはいえ病状によっては入隊を認められる可能性もありますので、持病があるという人は一度地方協力本部の募集担当官に相談してみてください。

入隊

自衛官候補生の入隊先

採用試験に合格すると着隊日と入隊先の教育隊が指定されます。

教育隊は陸・海・空自衛隊で異なり

  • 陸上自衛隊…各地方(方面隊)の教育隊
  • 海上自衛隊…横須賀、舞鶴、佐世保、呉教育隊
  • 航空自衛隊…熊谷、防府にある航空教育隊

のいずれかに入隊することになりますが、基本的には現住所、もしくは志願書を出した地方協力本部の最寄りの教育隊に入隊することになります。

例えば静岡在住で静岡に本籍があり、静岡地本で受験した私の場合だと、出頭先は

  • 陸上自衛隊…武山駐屯地(第117教育大隊)
  • 海上自衛隊…横須賀教育隊
  • 航空自衛隊…熊谷基地(第2教育群)

となります。

教育隊の選択は特段の事情でもあれば可能らしいですが、どの教育隊を選んでも教育内容は同じですし、教育隊卒業後は全国各地の部隊に移動することになるので、教育隊を選択する理由も必要性もそれほど無いですけどねw

自衛官候補生の教育と訓練

教育期間中は駐屯地あるいは基地内の指定された場所で生活しなければならないため、仮に教育隊のある駐屯地・基地の隣に自宅や実家があってもそこから通勤することはできません!

とはいえ基本的には土日が休みですし、休日には駐屯地・基地から外に出ることもできるので、休みの日に家に帰ることも出来ますが、残念ながら教育期間中は駐屯地・基地外での外泊は出来ませんので日帰りになります。

このせいか、教育隊生活のはじめのうちは多くの人がホームシックになりますが、それでも持って1週間くらいでしょうね。

教育隊に到着(着隊)するとすぐに入隊式があるわけでは無く、1週間ほどの準備期間があります。

この期間では各種施設の使い方からベッドメイキングの方法、靴の磨き方、アイロンのかけ方、洗濯の仕方、裁縫のやり方、といった自衛隊生活の基礎中の基礎を叩きこまれます。

といってもこの期間はまだお客様扱いなので、体験入隊とそれほど変わらず、教官である班長や助教が優しく丁寧に色々なことを教えてくれます。

この期間中であれば余程の事でもない限り班長からこっぴどく叱られることも無いので、分からないことがあれば何でも質問しましょう!

後になって聞くとブチ切れられますからねw

1週間の準備期間が終わると入隊式があり、ここから本格的に約3カ月の自衛官候補生課程がスタートします。

自衛官候補生課程では、教育隊卒業後に自衛官として生活していく上での最低限の知識や技術、または自衛官としての共通認識を持たせることを目的として教育・訓練が行われます。

といっても難しい戦略や戦術の話はおろか、兵器や戦史といった一部マニアが喜びそうなことは一切教育しません!

自衛隊で行われる基本教練には『諸制式に熟練させるとともに、精神を鍛錬し、各種任務を遂行させるための基礎を作る』という目的がありますが、教育隊で新入隊員を教育する目的というのがまさにこれなんですよ。

自衛隊生活を長く続けていくといずれ戦術や戦略について勉強する機会が出てきますが、その辺りを勉強するためにもその基礎となる部分が大事!

という訳で自衛官候補生だけでなく、自衛隊の教育隊というのは基本や原理、原則というものを徹底して教育します。

以外にもミリタリーマニアって自衛隊で長続きしないんですが、恐らくこういった原理原則を知らずに頭でっかちになっているからなんでしょうね。

下手にうわべの事を知っているから、基礎的な部分はバカらしくて聞いていられない、もしくは基礎的な部分を教育されて自分の知識が揺らぐことに対する反発や葛藤があるのではないでしょうか?

とはいえガチの軍事オタクともなると、そういう基礎的な原理原則を面白がって学ぶため、教育隊の成績がトップクラスだったりしますが…。

教育隊での基礎教育が中盤に差し掛かった頃になると自衛隊内での専門的な任務(職種)の説明があり、卒業後の進路の希望調査が行われます。

職種は本人の希望や適性、保有している資格、部隊のニーズなどを考慮して決定されますが、自衛隊の中で具体的にやりたいことがあって入隊したのならともかく、『とりあえずの就職先として自衛隊を選んだ』という人には職種選択がなかなか難しいところ…。

職種の説明会以外にも教育期間中に部隊研修などがあるので、研修先の案内をしてくれる先輩隊員に積極的に職種についての質問をしましょう!

また、班長も他の部隊から臨時に派遣されている場合があるため、実戦部隊の実情を聞くには都合が良いですし、みんな自分の仕事について聞かれるのが大好きなので快く教えてくれますよ!

それにこうやって質問することで『どうしてもその仕事をしたい!』というアピールになるので、職種決定時に多少は有利になります。

あとは教育隊でトップの成績を目指して頑張るしかないですね。

トップなら本人に適性があり、部隊側からのニーズと合致していればどんな職種であっても選び放題!

しかも同期と希望職種の競合があっても成績トップなら優先的に希望がかなえられるシステムになっています。

ちなみに成績が良ければ配属先も優先的に希望が通るようになっていますし、後々の昇任も教育隊の成績順になることが多いので、長く自衛隊にいるつもりであれば教育隊で可能な限りいい成績を取れるように全力を尽くしましょう!

自衛官候補生課程卒業後のキャリア

職種別の教育

自衛官候補生課程を卒業すると2等陸・海・空士(2士)に任命され、自衛隊の内部の職業訓練校のような教育部隊(実施学校)に異動となります。

ここでの教育期間は職種によって違うのですが、最短で3カ月、長くて半年程度ですかね?

実施学校では教育隊で指定された職種ついて、部隊配属されても困らない程度の基本的な知識を付けるための教育や訓練が行われます。

もちろんここでも成績が付けられ、成績上位者ほど配属先の任地が希望通りになる傾向はありますが、職種学校のでの成績は以外なことに昇任試験や考査に影響しません。

部隊への配属

実施学校を卒業するといよいよ全国各地の実戦部隊に配属されることになりますが、残念ながら配属されたからといってすぐに使い物になるわけではありません…。

確かに最低限の知識は身に付けていますけど、経験値はゼロみたいなもんですからね!

こればっかりは仕方がないので、部隊に配属されて半年程度は先輩の後を付いて仕事の仕方を覚えて徐々に経験を積んでいくことになります。

あとは事務所の鍵開けやお茶くみ、コピー取りなどの雑用をしながら、職場の人達に顔を覚えてもらうのも大事な仕事ですね。

このへんは一般企業の新入社員とそうそう変わらないかも?

2士に任命されて半年もすると1等陸・海・空士(1士)へ昇任します。

1士に昇任する頃にはお茶くみや雑用も卒業して、徐々に先輩方と同じような仕事をこなせるようになり、翌年入隊の後輩の面倒も見始めるようになります。

1士昇任からさらに1年後には陸・海・空士長(士長)へと昇任しますが、1士、士長への昇任には試験もなく、規則違反や事件・事故でも起こさない限りは横並びです。

士の階級の頃は昇任試験もありませんし、教育隊や実施学校の成績や卒業時の席次も全く関係なく、定期昇任の日が来たら自動的に昇任します。

任期満了による退職

自衛官候補生からの入隊した陸・海・空士は契約社員のような雇用形態です。

雇用期間に当たる任期というものが設定されているため、部内では『任期制自衛官』と呼んだりもします。

任期は

  • 陸上自衛隊:2年
  • 海・空自衛隊:初回3年

となっていて、以降は陸・海・空共に2年ごとに雇用契約を更新していくようなイメージ。

定年までの雇用が保証されないため一見不安定なようにも見えますが…。

実は社会情勢や景気動向を見ながら契約解除か継続かを選択できるので『景気が良くなるまでは自衛隊に避難しよう…』とか『自衛隊でお金貯めて開業資金を作ろう』なんて人が自衛官候補生を選択するなんてことが多いですね。

このため任期満了のタイミングで退職する人が結構います。

一方自衛隊側としては、せっかく教育を施した人間にすぐに辞めてもらうのも困るので、できれば残って欲しい場合が多い。

このため契約更新のタイミングでクビになるなんてことはまず無く、ほとんどの場合は慰留されますが…不祥事を起こせば契約期間に関係なく懲戒免職になりますし、勤務態度があまりに悪ければ契約更新を認めないなんてこともあるでしょうね。

ちなみに『任期継続の意思があるけど昇任試験の結果があまりに酷い…』という場合は退職を勧められます…。

私の後輩にいましたが、50点満点の筆記試験でいくら勉強しても3点しか取れなきゃ仕方がない…。

曹昇任試験

士長へ昇任すると曹昇任試験の受験資格が発生します。

曹に昇任すれば任期制自衛官から非任期制自衛官に変わる、つまり契約社員から正規雇用の正社員扱いとなるため、自衛官候補生出身の場合はここでここで自衛隊を辞めて社会に出るか?昇任して自衛隊に残るか?これを決断する1つ目のターニングポイントになります。

ちなみに昇任試験の受験は任意ではなく強制です!

本人が承認を希望していなくても受験しなきゃいけません!

試験内容の細部は陸・海・空で異なりますが、おおむね

  • 筆記試験
  • 体力測定
  • 面接

の3つが行われ、これに普段の勤務態度や教育隊での成績が加味されて合否の判定が行われます。

確か一番重要なのが試験の点数のいわゆる“ナマ点”。

これが悪いといくら教育隊の成績が良くて普段の勤務態度が優れていても昇任できません。

まぁ教育隊の成績が良い人は基本的に勉強できる人なんで、自然とナマ点も高得点になるんですけどね…。

後は普段の勤務態度なんですが、1士、士長の仕事なんかよほどのことが無いとどんぐりの背比べ状態です。

ここで差をつけようと思ったら何らかの表彰をされるか賞詞を貰わないといけないんですが、一番手っ取り早くて確実なのが『縁故募集』というやつですね。

親戚や兄弟、友人、知人を自衛隊に勧誘して入隊させれば入隊させた人数によって賞詞が貰えます。

後は裏技的な方法ですが、取得難易度の高い資格を取るというのも昇任する上では有利ですね。

現在の職種に関係するものに限定されますが、後方の技術系の部署に配属されていればかなり有利に働くはず。

難易度によっては3曹どころか曹長までスムーズに昇任できたりするので、昇任試験だけではなく自分の仕事に関わる資格を取得するための勉強をしてみるのも良いかもしれません。

詳しいことは陸・海・空自衛隊達に記載があるので調べてみましょう。

陸・海・空曹として自衛隊活躍する

曹昇任試験に合格すると初級の陸・海・空曹として必要なスキルを得るために

  • 陸上自衛隊:初級陸曹課程
  • 海上自衛隊:初任海曹課程
  • 航空自衛隊:3曹候補者課程

を受講します。

これらの課程を修了すると職域・職種ごとの専門的な教育を受けて部隊に戻り、まずはOJTを受けながら10名程度の部隊を率いて行動するためのスキルを身に着けていくことになります。

若手の3曹の頃はこれらの教育以外にも希望者を対象とした各種教育、訓練課程を受講することが出来るようになるため、本人の努力次第でいくらでも能力を拡張していくことが可能ですし、海外での訓練や任務にも参加しやすくなります。

3曹に昇任したからといっても仕事の内容は士長の頃とそうそう変わらなかったりしますが、士長の頃と違うのは仕事に対して責任を負うという所。

士長の頃は何かやらかしても最終的に作業の確認行為を行う曹や、書類上の責任者である幹部が責任を負っていましたが、3曹になると今度は自分が最終確認を行う立場になりますからね。

士長の頃よりも仕事に対するプレッシャーはありますが、やりがいや達成感は士長の頃とは比べ物にならないので、この頃から仕事が楽しくなってきます。

ただし、これが良からぬ方向に働いて『自衛隊は俺がいないと何も仕事が進まない!』なんて勘違いし始める人も…。

まぁそんなこと言って天狗になっていると古参の1曹、曹長あたりから指導されて鼻をへし折られるんですけどねw

海・空の場合は3曹昇任から2年もすると今度は2曹への昇任試験の受験資格が発生しますが、ここから先の昇任は空士の頃のように横並びではありません。

昇任のペースや優先順位は陸海空で違いがあるようで、

  • 陸上自衛隊…初級陸曹課程の成績や勤務成績、部隊長の推薦などを加味した書類選考
  • 海上自衛隊…筆記試験の結果
  • 航空自衛隊…3曹候補者課程の成績や勤務成績に加えて筆記試験の成績から選考

といった違いがあります。

昇任選考の基準は海上自衛隊は筆記試験の点数がそのまま反映され、陸・空は曹候補者課程の卒業席次をベースに、筆記試験の成績や勤務態度、精勤章や防衛記念章の数などが点数されて検討されるとか。

曹候補者課程の卒業席次は准尉への昇任試験まであとを引くようなので、なるべく早く昇任したいという人は教育隊での訓練を頑張りましょう!

曹への昇任後、二曹までは現場で分隊長や班長として部下を率いての仕事をしますが、一曹に昇任したあたりから現場を離れて管理部門に配置されます。

管理部門といってもなかなかイメージがしずらいですが、一般企業でいう総務職のような感じですかね?

管理部門の責任者は2尉や1尉といった初級幹部ですが、彼らの手足となって実務を取り仕切ったり補佐したりしながら部隊を切り盛りしていくのが大体この辺りの上曹と呼ばれる人達。

ここから曹長や准尉に昇任すると、所属部隊の曹士隊員をまとめ、部隊長に部隊運営上の助言を行う先任陸曹や先任伍長、准曹士先任というポストに就くことになります。

幹部自衛官への道

自衛官候補生として入隊したら幹部になれないのかというと、決してそんなことはありません。

仮に大卒で自衛官候補生となった場合、年齢制限さえクリアしていれば何度でも一般幹部候補生を受験できますし、合格すればそのまま幹部候補生になることも出来ます。

また、入隊後に防衛大学や海・空の航空学生を受験することだって出来ます。

自衛隊入隊後に再び採用試験を受けるのも一見すると不利に見えますが、合格者が出ると隊長の評価に繋がるらしく意外と所属部隊を上げて積極的に受験の支援をしてくれたりします。

それに“何かの目標に向かって頑張ってる人が好き”って人が自衛隊には多いですからね。

仕事に支障の出ない範囲ではありますが、日中に試験勉強することも認められますし、場合によっては訓練の免除なんてこともあったりと万全のサポート体制が構築されますが、そこまでしてもらって試験に落ちたりすると…。

まぁ中にはこのサポート体制を悪用してサボろうなんて輩もいますからね…。

ここまでは自衛隊から一般向けの採用試験を受けなおして再入隊するという、業界用語でいう所の『部内部外』という受験方法でしたが、部内の現役自衛官のみを対象としたコースも複数あります。

ここで幹部になるか?曹になるか?というのが自衛官候補生で入隊した人の2つ目のターニングポイント。

陸・海・空で共通しているのは“3曹昇任後5年以上経過した隊員”が受験対象となる部内幹部候補生課程。

すべての曹が対象という訳ではありませんが、希望者や部隊長から推薦された隊員が選抜試験を受験し、晴れて合格すれば“幹部候補生たる陸・海・空曹長”に任命されてそれぞれの幹部候補生学校へ入校。

幹部候補生学校では初級幹部としての部隊運営方法を学び、卒業後は元の部隊でOJTを受けたのちに3等陸・海・空尉に昇任して小隊規模の部隊の指揮官となります。

このほかには曹長・准尉が対象の三尉候補者課程や特別幹部候補生課程などがありますが、この辺りの課程は陸・海・空によってあったりなかったり、または時代による変遷があったりしますので細かい説明は割愛させていただきます。

また、陸上自衛隊のみのコースではありますが、陸上自衛隊のパイロットを養成する陸曹航空操縦課程というものがあり、選抜試験を経て入校するとパイロットとしての教育を受けながら順次昇任し、最終的には幹部操縦士として活躍することになります。

かなりのレアケースですが、部内養成の臨床検査技師などの養成コースが不定期に募集されており、このコースで臨床検査技師の資格を取得すれば数年間の実務経験を経て幹部に任官することが出来るとか。

3曹への昇任の所でも触れましたが、取得難易度の高い国家資格で“業務独占資格”を保有していると昇任しやすかったりします。

自衛隊では通信系や情報技術系、航空工学系、造船工学、医療系の公的資格を取得している人を採用して幹部自衛官となるための教育を施し、資格や実務経験に応じた階級を指定するという制度があるんですが、この募集は部外だけでなく部内も対象のようで、募集している資格を持っている隊員が部内にいればそちらを優先して幹部に昇任させているという話を聞いたことがあります。

もちろん選抜試験や幹部候補生学校への入校もありますが、場合によっては試験や入校なしに幹部に任官されるなんとことも昔はあったようですね。

昔とある資格の保有者がどうしても必要だったためあちこち当たってみたところ、たまたま士長がその資格を保有していたために急遽6階級特進させたなんてことがあったとか…。

流石に今ではそんなことは無いかと思いますが、資格を持っているとこんなチャンスもあったりします。

高級幹部への道

佐官や将官といった高級幹部になるためには防衛大学校を出ていないと難しそうですが、本人の努力さえあればなってなれないことも無い?

自衛官候補生の前身である二等陸・海・空士の新隊員課程へ入隊して部隊勤務を経験した後に、試験を受けて防衛大学校、または一般幹部候補生へ進んで将補にまで上り詰めたという人も過去に数人いたりします。

自衛隊の定年

自衛官の定年は入隊した時の区分に関係なく、階級ごとに一律に決まっています。

ここ数年で定年延長の議論がされていましたが、2021年時点での定年年齢はというと

  • 3曹・2曹:54歳
  • 1曹~1尉:55歳
  • 3佐・2佐:56歳
  • 1佐:57歳

この他の将官や一部の職域の隊員については60歳となっています。

定年が近づいてくると階級に関係なく定年後のライフプランを考えるための講習や、再就職のための資格を取得するための講習を受けることになりますが、資格取得のための講習は人気なので希望してもなかなか受講することが出来ません。

これらの講習と並行して、定年後の再就職のための情報を収集しつつ、定年の半年ほど前あたりからたまりにたまった代休や休暇を消化しながら就職活動を開始、運よく再就職先が見つかれば定年退職の翌日に再就職先に出社するといった感じですかね?

上手く再就職先を見つけることが出来ればいいですが、定年後も就職活動を続けたり、再就職先が見つかったものの自衛隊以上のブラックで数年で辞めてしまったりと、なかなか上手くは行かないようです。

そうならないためにも若いころから仕事に関連する何らかの国家資格を取得、実務経験を積んでおけば定年後の売り込みがしやすくなります。

また若いうちからライフプランを設計して貯金や投資などで資産を増やし、退職後は悠々自適の生活を送っている人や、趣味を発展させてそれで商売をするなんて人もいたりしますね。

何にせよ若いうちから定年までの人生を見据えて行動しないといけないわけですが、若い頃はそこまで考えられないんだよなぁ…。

まとめ

といった感じで自衛官候補生として自衛隊に入隊してから定年するまでのキャリアパス考えてみました。

自衛隊に入隊するためにはほかにも色々なコースがあるため順次紹介していきたいと思いますが、数あるコースの中でも自衛官候補生が一番ライフプランの設計がしやすいような気がします。

自衛官候補生で入隊すると3曹昇任までは任期があるため身元が若干不安定ではありますが、逆に言えばフットワークが軽いので、より良い条件の雇用があれば転職しやすいという事でもあります。

給与や賞与以外にも任期満了ごとに手当が付くのもおいしいですしね。

自衛隊を退職するのは意外と面倒で手続きが大変なんですが、士長の頃は任期満了のタイミングで退職しやすいので『自衛隊に長くいるつもりは無いけど事業を起こすためのお金を手っ取り早く貯めたい』なんて人には良いかもしれません。

実際に数年間士長として勤務して貯金と人脈を構築し、退職後に個人商店や飲食店を開業するなんて人も結構います。

3曹昇任のための試験が大変ではありますが、これを乗り切ってしまえば定年までは安泰ですし、やる気さえあれば幹部も道もありますからね。

こういうフレキシブルな所は他のコースに見られない自衛官候補生の特徴となります。

『定年までいられるかどうかわからないけど、とりあえず自衛隊がどんなところか体験してみたい』というのであれば自衛官候補生での入隊がお勧めです!

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