自衛隊の階級と役職の話(将官)

自衛隊のキャリアパス

皆さんご存じの通り、自衛隊は階級社会でして、その場で一番偉いのが誰なのか一発で見分けられるようになっています。

まぁ一般の人が見分けられたところで取り立ててメリットがある訳でもないんですが、これを知ってると自衛隊関係のイベントなんかに行ったときに今まで以上に楽しめるかもしれませんし、災害があった時に現場責任者をすぐに見つけることが出来たりするかもしれません。

階級と階級章の見分け方は自衛隊に入ると一番先に教え込まれることでもあるので、これから自衛隊に入ろうなんて思ってる人は入隊前に覚えておくと良いかもしれませんね。

今回はこの自衛隊の階級と、各階級ごとの仕事や責任などについて解説してみたいと思いますが、自衛隊の階級は16個もあるんで、今回はトップの将官に区分される階級にフォーカスしてみます。

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将官の階級

統合幕僚長

陸海空自衛隊の制服組トップとなるのが統合幕僚長ですが、これは階級ではなく役職の名前。

正式には“統合幕僚長たる陸・海・空将”で、陸・海・空自衛隊の幕僚長の中から任命され階級章は陸上・海上・航空幕僚長と同じものを着用します。

一応持ち回りということになっていますが、陸・海・空から順番で統合幕僚長が出ているという訳でもないようで、経歴や実績を考慮して先行しているようですね。

昔は似たような名前の“統合幕僚会議議長”という役職がありましたが、統合幕僚会議議長には命令権も指揮権もなく防衛大臣に自衛隊の統合運用について助言をするのみでした。

当時は陸海空自衛隊はそれぞれ独自に作戦を展開するというのが基本方針だったんですが、2000年代になると防衛力強化のために三自衛隊の統合運用の道と効率化が模索され、防衛省は組織を改編。

統合幕僚長へと改編されると同時に大幅に権限が強化され、防衛大臣に自衛隊の運用についての助言をするだけではなく防衛大臣を補佐し、フォースユーザー(事態対処責任者)として陸海空自衛隊や統合作戦部隊の司令部に大臣の命令を執行する、自衛隊の実質的な最高指揮官とも言えるような役職です。

自衛隊と同じく制服を着ていて階級のある公務員には警察がありますが、統合幕僚長は大体警察庁長官と同じくらいのポジションになるみたいですね。

中央官庁の官僚と比較すると事務次官と同等レベルになるようです。

比較しづらいですが、一般企業だと代表取締役社長とか会長みたいなもんですかね?

陸上・海上・航空幕僚長

陸・海・空の各自衛隊のトップとなるのが幕僚長で、こちらも階級ではなく役職の名前。

正式には“幕僚長たる陸・海・空将”ですが、幕僚長向けの階級章が制定されています。

各幕僚長はフォースプロバイダー(練度管理責任者)なので指揮下の部隊が作戦行動をとれるように訓練を施し、それを監督することが主任務なため作戦上の指揮権はありません。

ややこしい話になりますが、現代の軍隊は指揮系統が“軍事行政系”と“作戦指揮系”の2つに分かれていて、各幕僚長は行政面からの命令権はあるものの、作戦についての指揮権は持っていないという事。

例えば2011年の東日本大震災では各幕僚長が指揮下の部隊に対して派遣命令を発出していますが、現地での作戦指揮はフォースユーザーである統合災害派遣任務部隊が行っています。

警察でいうと警視総監と同じくらいのポジション。

中央官庁だと各省庁の省名審議官と同等レベルの役職になるようです。

同じくらいの人員規模の大企業なら事業本部長や常務や専務といった執行役員相当でしょうか?

 

陸・海・空将

規則上では最上位の階級が陸・海・空将。

将の階級はさらに(一)と(二)に分かれています。

各自衛隊の実戦部隊のトップであったり、陸海空自衛隊から戦力を抽出して統合作戦を行う“統合任務部隊”のトップになり、統合幕僚長から直接指揮を受けて部隊に作戦命令を発令するのがこの辺りの階級の人達。

陸・海・空将から上の階級の方々は、現場で働く平隊員がお目にかかる事はまずありません。

陸・海・空将の充てられるポストとしては

・陸上自衛隊:総隊司令官、総隊司令部幕僚長、方面総監、師団長、旅団長など

・海上自衛隊:自衛艦隊司令官、地方総監、護衛艦隊・潜水艦隊・航空集団司令官など

・航空自衛隊:航空総隊司令官、各方面隊司令官、各集団司令官、補給本部長など

・三自衛隊共通:統合幕僚副長、統合幕僚監部運用部長、統合幕僚学校長、情報本部長など

警察なら大都市を抱える府県警の本部長や管区警察局長クラスになるので、警視監あたりの階級。

他の省庁だと官房長や本部長、政策統括官、審議官、または本省局長~部長級のポジション。

大企業のCEOやCOO、CFO、事業本部長に相当する役職になると思います。

陸・海・空将補

各自衛隊の中で一番大きな作戦単位となる師団や艦隊、航空団の司令官となるのが将補。

部隊の司令官と駐屯地司令や基地司令を兼務することが多いため、現場で働く平隊員でも割と良く顔を合わせることがありますね。

陸・海・空将補の充てられるポストとしては

・陸上自衛隊

副師団長、旅団長、学校長、病院長、方面総監部幕僚長、幕僚監部の各部部長など

・海上自衛隊

護衛隊群司令、練習艦隊司令官、術科学校長、航空群司令、各艦隊司令部幕僚長、地方総監部幕僚長、幕僚監部の各部部長など

・航空自衛隊

航空団司令、術科学校長、、各補給処長、総隊司令部幕僚長、各方面隊司令部幕僚長、幕僚監部の各部部長など

ここで出てくる“幕僚長”とは方面総監や地方総監、方面隊司令を補佐する“幕僚”と呼ばれるスタッフで構成されるのチームの長の事で、諸外国や旧軍風に呼ぶなら“司令部付の参謀長”といった感じになるんですかね?

警察なら県警本部長や方面隊長、管区機動隊長相当で、階級的には警視長相当。

中央官庁でいえば審議官や参事官、部長~課長級のポジションになるんですかね?

支社や工場を多数抱えるような大企業なら地方支社長や工場長、あるいは取締役相当、各県を代表するような規模の会社なら社長クラスといったところでしょう。

 

まとめ

といった感じで自衛隊の階級と役職について、まずは最上部の将官にフォーカスしてみました。

将官の階級は上から

・統合幕僚長

・陸上・海上・航空幕僚長

・陸・海・空将

・陸・海・空将補

の4つに分かれます。

○○司令や○○長といった役職に充てられる階級なので、部隊や組織の管理をするのが主な仕事の方々で、大企業の社長や執行役員、COOやCFOなどといった役職に相当する仕事をしています。

この辺りの階級の人たちはまず現場に出てくることが無いので、下っ端の平隊員がお目にかかることはまずありませんが、たまに部隊視察や検閲で現場を直接見に来たりすることがありますね。

このクラスの方をお迎えするのに準備が色々と大変なので、現役時代には『大した用事もないくせに来るんじゃねぇ』なんて思ってましたが、絶対そんなこと考えちゃダメですよ?

彼らにしてみれば部隊の現状把握というのが一番重要な仕事ですからね。

ただ、取り巻きが余計なこと言ったりやったりするんで、肝心の現状が見えなくなってしまうんですけどね…。

将官の下、佐官の階級と役職についてはこちらで解説しています↓

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