地元の観光地ってあるのは知ってても『いつでも行けるからそのうち行けばいいや』って感じでなかなか行かなかったりしませんか?
“そのうち”とか言いながら結局足を運ぶことも無く、いつの間にかその観光地が閉鎖されたり、見学が終了してしまったり、引っ越してしまって簡単に行けなくなってしまったり…。
特に最近は新型コロナの影響で、観光どころか外出自体が難しくなってたりもします。
このご時勢あまり遠出は出来ませんが、そんな状況だからこそ人手が少ない観光地や名所旧跡に足を延ばしてみようということで、今回は天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅で開催されている“転車台・鉄道歴史館見学ツアー”に参加してきました。
天竜浜名湖鉄道
天竜浜名湖鉄道は静岡県掛川市の掛川駅から浜松市天竜区の天竜二俣駅を経て、湖西市の新所原駅に至る路線を営業する第3セクターの鉄道会社で、地元では天浜線と呼ばれ親しまれています。

元々は旧国鉄の二俣線で、当初は掛川から二俣を経て岐阜の恵那へ向かう路線として計画されていたそうですが、軍事上の理由から東海道本線の迂回路として機能するように線形を変更、二俣駅で分岐して浜名湖の北岸を経て新所原駅で東海道本線に合流する路線を追加し、これが二俣線として建設されます。
1935年の掛川-遠州森間の開業を皮切りに順次線路を延伸していき、1940年には全線開通。
東海道本線の通過する旧浜松市南部は戦前戦中に軍需工場が密集していたため、太平洋戦争中には空襲を受けて東海道本線が不通となることが度々あったほか、1944年に発生した東南海地震でも東海道本線が被災した際には建設時の計画通り二俣線が迂回路として機能していたようです。
ちなみに現在も掛川と新所原で東海道本線と接続しているため、JRの車両が天浜線に乗り入れることが可能だったりします。
少し話がそれますが…。
JRのような大手の鉄道会社では、検測車という車両を使って線路や架線の定期検査を行う必要があるんですけど、残念ながら3セクの天浜線では検測車を購入したり維持したりする余裕が無い…。
とはいえ『検測車持ってないんで定期検査はしません!』なんて言えないのでどうにかして検査しないといけない。
検測車が無ければ人力でどうにかするしかないけれど、それはそれで費用負担が大きい…。
それじゃあどうやって検査しているかというと↓

JR東海から検測車を借り、新所原駅から天浜線に引き込んでいるんだそうです。
JR東海は完全に電化されている一方、天浜線は完全非電化となっているため、JRからすれば新所原と掛川で東海道本線と接続するメリットはほぼ無いようですが、ほぼ天浜線側の運用上の都合で今でもポイントが残されてるみたいですね。
過去にはJR東海の企画旅行で天浜線に直接乗り入れる観光列車があったようですが、催行はしたものの殆どお客さんが集まらなかったようで、ほんの数回観光列車が走っただけのようです。
まぁ通勤時間帯以外は基本的にディーゼルカーの1両編成で、乗客も2、3人しか乗ってないというのが天浜線ですからね…。
JR東海ツアーズがどんなに頑張ってもお客さんは集まらないでしょう…。
という訳でJR東海はあまり天浜線の活用に興味が無いようですが、天浜線としては来るべき東南海地震に備え、東海道本線の迂回路として活用できるように色々準備しているとか。
ハッキリ言っちゃうと天浜線を迂回路にしたところで沿線の旅客需要はほぼ無いとは思うんですけど、緊急時には貨物列車の迂回路としては使い道があるかもしれません。
でも、天浜線には貨物を扱える駅が無かったような?
通すだけなら問題ないのか?
少しのつもりがだいぶ話がそれてしまいました…。
二俣線は不採算路線であったため、1987年の国鉄民営化で一旦廃止が決定されたようですが、沿線住民からは少ないながらも存続を希望する声が上がり、これを受けて沿線の自治体が共同出資して営業する第3セクターとして“天竜浜名湖鉄道株式会社”を設立、二俣線の路線や施設を国鉄から譲り受けて天竜浜名湖鉄道として開業。
その後はいくつかの新駅を開業して現在に至るわけですが、たまにBSの鉄道旅行の番組に取り上げられたり、ドラマや映画のロケ地になることもあるため、不定期ではあるものの利用者数が爆発的に増えることがあります。
それとここ数年は地元企業とタイアップしたラッピングトレインが話題に上がったりしますね。
最近だとスズキのKATANA販売に合わせてKATANAのラッピングトレインが登場して一部のバイク好きの間で話題になりました。

天浜線ではKATANA以外にも複数のラッピングトレインが走っていて、車両別のダイヤが公開されています↓
ラッピングトレインは旅客収入の少ない天浜線では数少ない収益源の一つなんだそうで…。
沿線の市町を拠点とする企業の広告が多いんですが、スズキのKATANA号以外にもヤマハ発動機のPAS号や

ホンダカーズ号など

地元の輸送機械メーカーが広告合戦を繰り広げているとかなんとか…。
(ホンダカーズは地場のディーラーですけどね…)
この広告合戦のおかげで天浜線の経営がどうにか成り立っているなんて噂を聞いたことがあります。
転車台・鉄道歴史館見学ツアー
そんな経営の厳しい天浜線の台所事情を支える?もう一つの収益事業じゃないかと噂されるのが、今回参加した転車台と鉄道歴史館の見学ツアー。
このツアーは天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅で毎日開催されています。
見学ツアーは平日は13:50~の1日1回、土日祝日は10:50~と13:50~の1日2回開催されていて、所要時間は約40分ほど。
15名以上の団体でツアーに参加する場合は予約が必要とのことですが、それ以下であれば特に予約の必要はありません。
ツアーの料金大人が350円で、小人が100円となっていますが、天浜線を利用して天竜二俣駅に来た人は250円でツアーに参加できるようです(大人のみ)。
詳しくは天竜浜名湖鉄道のHPからご確認ください↓
ツアーに参加したのが平日だったため、参加者は私を含めて二人だけでしたが、その分ゆっくり見学で来て良かったですね。
まぁ休日に行っても10人前後くらいしか集まらないようなので、結局のところいつ行ってものんびりゆったりと見学できるみたいですけど…。
色々と写真を貼ろうかと思ったんですが、長くなるのでダイジェスト版の動画を貼っておきます↓
国鉄時代の歴史を感じる施設をほぼそのまま使っているので、昭和にタイムスリップしたような不思議な感じでしたね。
運航ダイヤに合わせてツアーの時間が設定されているため、転車台で車両の入れ替えをする様子を間近に見ることが出来るのはなかなか面白いんじゃないでしょうか?
この転車台なんですが、補修部品がもう手に入らないそうで維持管理になかなか苦労しているそうで…。
ツアーガイドの方から涙ぐましい経営努力のお話しなんかを聞くことも出来ますが、これは実際にツアーに参加して聞いてみてください。
アクセス
車・バイクで
新東名の浜松浜北インターで降りて天竜方面に進み、ここから国道152号で約5分。
東名浜松インターで降りる場合は、静岡県道65号(浜松環状線)を経由して国道152号を北上し、約30分。
浜松市の中心市街地からも国道152号線を通って40分程度といったところですかね?
公共交通機関で
浜松駅で下車して遠州鉄道新浜松駅で遠鉄鉄道線(赤電車)に乗り、終点の西鹿島駅まで、西鹿島で天浜線の掛川方面行に乗り換えた2駅先が天竜二俣駅となっています。
西鹿島から二俣・山東(やまひがし)行きのバスに乗り換えて天竜二俣駅前のバス停で下車というルートもありますね。
赤電車は10分間隔で走っているのでいいんですが、そこから先が天浜線、遠鉄バス共に1時間に1本しか運行していないので、西鹿島からタクシーに乗って行ったほうがいいかもしれません…。
天浜線の雰囲気を満喫したいという方は、掛川駅か新所原駅がJRの駅と隣接しているので、ここで乗り換えると良いかもしれませんよ。
天浜線の沿線はいかにも“田舎のローカル線”といったのどかな雰囲気なので、旅行気分を味わうには良いと思います。
天竜地区を観光するなら
移動手段
天浜線に揺られて暢気な旅をするのも悪くはありませんが、天竜二俣駅は鉄道駅のクセに公共交通機関でのアクセス性が悪い!
時間がある人には天浜線各駅停車の旅をお勧めしますが、そうでない人は浜松駅辺りでレンタカーを借りて自力で行きましょう!
もしレンタカーを借りるならこちらがお勧め↓
浜松駅周辺のレンタカー店を検索するだけでなく、車種別や利用料金、レビュー評価順などの条件を付けて車両単位で検索することが出来ます。
気に入った車種や条件の車があればそのまま予約できるので、あちこちのサイトに飛ばされることなく快適に車を借りることが出来ますよ。
車があれば転車台・鉄道歴史館見学ツアーののついでに周辺の観光地にも行くことが出来ますしね。
宿泊先
天竜二俣駅、というか天竜地区には宿泊施設が数えるほどしかありません!
地元だからあえて言いますが、秘境です…。
まさにサイレントヒル!
ネットで検索してヒットする宿泊施設のいくつかはキャンプ場だったりするので、まともな宿に泊まろうと思う方は事前に浜松駅か浜名湖周辺のホテルでも予約しておきましょう↓
個人的には浜名湖周辺にある舘山寺温泉や弁天島にあるリゾートホテルがお勧め。
温泉はあるし観光地に近いし、周辺には新鮮で美味い海産物を出してくれる飲食店が沢山ありますからね。
ホテルや旅館の料理ももちろんおいしいですが、どこに行っても浜松餃子とウナギ押しなので地元民が普段食べているもっと美味い物が出てこない…。
浜松観光を満喫するなら、宿泊は素泊まりで、食事は舞阪や新居あたりで…というのが良いですよ。
お勧めの料理はたくさんありますが、書き出すと長くなるのでぐるなび辺りで検索してみてください。
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