オフィスワークのリモート化が進み、その気になれば世界中から、何なら宇宙ステーションからでも仕事が出来るようになっているわけですが、そのために絶対に必要になるのがインターネットに接続するためのネット回線。
今回はリモートワークの推進を機に田舎への移住を考えている人向けに“リアルな田舎のネット環境がどんなものなのか?”ということと、“実際にその環境で仕事が出来るのか?”という事を実体験から解説しつつ、お勧めの回線や端末について紹介したいと思います。
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筆者のネット環境について
まずは私がこのブログを作成している環境について。
端的に言うとかなり悪い環境です。
10年ほど前に隣の集落までは光ファイバーが開通していますが、そこから一向に工事が進まない、いわゆる“ラストワンマイル”と呼ばれるエリアになります。
過去に何度か光回線の申し込みをしているんですが、窓口の人に住所を伝えるたびに
『申し訳ありませんが…』
と断られる始末。
携帯に光回線を抱き合わせて強引に売りつけていた某キャリアですら、住所を口にすると
『あっ…』
と言って踵を返し、二度と声をかけてこなくなる始末。
せめてスマホは売ってくれよ!
仕方がないのでモバイルWi-Fiを利用していますが、都市部ならともかく田舎の方に行くと回線が不安定になるので実行速度は上下とも最大10Mbpsといったところ。
光回線に比べると絶望的なまでに遅くて狭い回線ではありますが、意外とこれでもYoutubeやNetflixの動画を見るのに支障は無かったりします。
ただし、1日当たりの通信可能なデータ容量に上限があるため、映画を見ている途中に急にネットワークが切断されるなんてこともありますね…。
モバイルWi-Fiでリモートワークは出来るのか?
そんな環境ではありますが一応リモートワークは可能です。
流石にデータ量の関係で8時間連続でZoomを使ったテレビ会議は無理ですが、VPNやプロキシを噛まして社内サーバーにアクセスした状態で…
・メールの送受信
・共有サーバー上でデータをやり取りする
・リモート会議
は問題なく出来ました。
共有サーバー上でのデータのやり取りに関しては、流石にファイル容量が大きいと時間がかかったり途中で失敗することも稀にあったりするものの、普通に仕事が出来ますね。
まぁデータ量に関しては業種によるところは大きいと思いますが、体感的には500MBくらいまでのサイズであればモバイルWi-Fiでも問題なくやり取りできると思います。
多少時間がかかりますけど…。
遅延が気になるリモート会議ですが、音声のみなら全く問題ありません。
テレビ会議や画面共有となるとちょっと動きが怪しい所はありますが、実用上の問題はほぼ無いと思われます。
モバイルWi-Fiのキャリア
モバイルWi-Fiは大手の携帯キャリアや、各キャリアの回線を借りて営業している仮想通信事業者(MVNO)各社で販売されていますが、2021年時点での状況を大雑把に纏めると
・docomo系
・au系
・softbank系
・楽天mobile系
・WiMAX系
の5種類に分けることが出来ると思います。
この5つは自社回線を持つ大手キャリアで、この下にMVNOがぶら下がって営業しているといった感じですかね?
WiMAXだけデータ通信専用の回線を使っていますが、それ以外はスマホと同じ回線をモバイルWi-Fiでも使っているという感じで、実際に使ってみた感じだとWiMAXの方が利用者が少ない分回線に余裕があるため、ストレスなく使えるような気がしますね。
ただし、WiMAXのサービスエリアは他と比較すると狭いというデメリットがあります。
docomoやauは電話がメインなので、これに付帯するデータ通信のサービスエリアは人口カバー率99%となっていますが、データ通信がメインのWiMAXではそこまで需要が無いためかカバー率が若干低いようです。
お勧めのモバイルWi-Fi
過去に色々なキャリアやMVNOの端末を使ってきましたが、肝心のデータ通信の品質については大手キャリアと直接契約しようがMVNOと契約しようが、正直なところ各社大きく変わることはありません。
単純に料金だけで比較するとMVNOの方が安いですが、大手キャリアと比較すると若干回線速度が遅かったり、通信可能なデータ量が少なかったりします。
この辺りを考慮したうえでいくつかお勧めのモバイルWi-Fiを紹介しましょう。
WiMAX系
今まで使ってきたモバイルWi-Fiの端末の中で一番ストレスなく使えたのがWiMAXの端末。
私が使っていた頃はまだWiMAXがサービスを開始した当初でしたが、通信速度下りが40Mbpsは当時のモバイルWi-Fiの中でも群を抜いて早く、実行速度も15~20Mbpsだったのでかなり快適でしたね。
しかも当時は通信量の上限が無かったため、遠慮なく使い放題使えるとても便利な端末でした。
現在はWiMAX2+という規格になり通信速度は規格上の最大値が下りで440Mbps、仮に実効値が半分程度だったとしても180~220Mbpsとなるので実用上はそこまで不便に感じることは無いと思います。
以前は通信制限がありませんでしたが、現在は『連続する3日間の通信量が10GBを超過』すると制限が入るようになっています。
とはいえ通信制限を受けても1Mbpsなので、他のキャリアの制限速度の約10倍で圧倒的に使いやすいですけどね。
(他のキャリアで通信制限が入るとその月の残りの期間は128kbpsに制限される)
余程大きなデータを扱わない限りは通信制限が入ったことに気が付かないかもしれません。
また、WiMAXとauと回線と併用する“キャリアアグリゲーション”(CA)を利用すれば下りの回線速度が最大1.2Gbpsまで増加するので、大容量データのダウンロードも光回線なみの速度でサクサク出来るというのが一番のメリット!
下りの速度は速いんですが、上りが理論値で20Mbps、実効値で5~10Mbpsなので大容量のデータをサーバーにアップするには少し不向きかもしれません。
そしてCAは“当月中に7GBまで”という通信制限があり、7GBを越えるとその月の通信速度が128kbpsまで低下するというデメリットもあります。
もう一つのデメリットはサービスエリアが意外と狭いので結構使えないところが多いことですが、UQでは無料で端末をレンタルして利用可能かどうかを確認できる“Try WiMAX”という制度があります。
WiMAXは意外とサービスエリア外でも普通に使えることがあったりするので、モバイルWi-Fiの購入を検討している人は一度レンタルして確認してみましょう。
UQのインフラを利用してWiMAXの端末を販売するMVNOはいくつかありますが、正直なところ通信速度や通信制限はUQと直接契約してもMVNOと契約しても変わりません。
個人的にはこの辺り↓がお勧めですかね?
月額利用料だけ見ると平均的な価格なんですが、初月のみ利用料が1,380円と格安になっているのと、CAの追加料金が無料になっているので、長期的にモバイルWi-Fiを使うのであればベターな選択ではないでしょうか?
docomo系
docomoのモバイルWi-Fiは回線速度は下りが最高150Mbps、上りは最高50Mbpsで、実際に使った感じだとこの5~10分の1くらいの速度ですかね?
WiMAXに比べると下り速度が遅いですが、上りはWiMAXより速いので回線が遅いことによるストレスはそこまで無い。
サービスエリアが圧倒的に広いというのもメリットです。
docomoの契約プランだと月間で利用可能なデータ量が60GBしかないので『リモート会議やファイルのやり取りが多い』という人にはあまりお勧めできません。
2020年に5Gに対応したモバイルWi-Fiも登場していますが、田舎が5Gのエリアになる頃には多分日本中の家に光回線が開通していると思われるので、5Gの対応を待つよりも町役場や市役所に働きかけて光回線の敷設を推進したほうがいいでしょうね…。
とはいえ5Gのサービスエリアが広がって今よりも普及すれば、現行のVoIP回線であるXiにも余裕が出てきて通信制限が緩和される可能性もあるので、中長期的に見ればdocomoのモバイルWi-Fiも悪くはないと思います。
↑こちらは月額利用料が3,600円で固定でモバイルWi-Fiを提供しているMVNO。
『〇ヵ月までは××円!』みたいなややこしい料金プランではなく、契約の初月から解約までずっと同じ料金という潔さになんとなく好感を覚えますw
docomoと直接契約すると毎月60GB使ったところで通信速度に制限がかかりますが、このMVNOの端末は無制限で使えるようです。
恐らく法人向けの回線と端末を個人向けに卸しているんじゃないでしょうか?
これならリモートワークでも通信量を気にせず安心して使うことが出来ます。
au、SoftBank系
ハッキリ言ってこの2つはお勧めできない。
まずauですが、回線速度はWiMAX並みに速く、サービスエリアもdocomo並みに広く、回線が安定しているものの、毎月使えるデータ量が7GBしかないのでお話になりません。
仕事どころかプライベートでも使えない。
次にSoftBank系。
回線速度や通信制限はdocomoとほぼ同じ条件なんですが、回線が国内キャリアの中で圧倒的に不安定。
回線の安定性は筆者の使用環境にも寄るとは思うんですが、モバイルWi-Fiを持って市街地に出かけても不安定だったので、環境云々ではなく端末本体に問題があったのかもしれません。
ただ、SoftBankでスマホの契約をしている友人からも似たようなことを聞くので回線自体が不安定な所は確実にありそうな感じ…。
ハイブリッド
モバイルWi-Fiはスマホと同じくdocomoやau、SoftBankといった携帯キャリア各社の回線の内、契約しているキャリアの回線1つしか使えないんですが、中には複数のキャリアの回線を適宜使い分けるというタイプのものもあります。
マニアックな話をすると今までのスマホやモバイルWi-FiにあったSIMカードをなくし、クラウドSIMというもので回線に接続するため、シムカードを差し替えることなくキャリアの移行が出来るというもの。
『ということは全部のキャリアと契約しないといけないの?』
と思うかもしれませんが、販売元はMVNOなので作成する契約書は1通だけ。
しかもネット通販のみなので自宅で手続きして端末を発送してもらい、届いたらその日のうちに使うことが出来ます。
通信速度は大手のキャリアの回線を使用しているので別段早くなるわけではありませんが、その時に一番強い電波を拾い、仮にそれが弱くなってきたとしても瞬時に別の回線に切り替えることが出来るので回線が切断しづらいというのが一番のメリット。
それとクラウドSIMになっているため、海外に持って行っても現地のキャリアの回線がすぐに使えるというのもメリットですかね?
海外で携帯とかモバイルWi-Fiの契約するのって結構面倒なんで、設定しなくても海外でそのまま使えるというのは便利です。
このように複数のキャリアの回線が使えるため料金も高くなりそうな気がしますが、これが意外とお安く、2年の縛り付きで3,000円前後、さらに端末料金は実質無料という会社が多いです。
通信制限は大体どこのMVNOも『100GB/月』で設定しているのですが
ここなんかは『200GB/月』となっているので実質無制限みたいなもの↓
私が今使っているモバイルWi-Fiがまさにこれですが、WiMAXほどの回線速度は無いため若干不便さは感じているものの、データのアップロードが早く、月々で使えるデータ量も多いため非常に重宝しています。
まとめ
どういうわけかネット環境が貧弱なところにしか住んだことがないため、光回線なんか海外のホテルか会社かネットカフェでしか使ったことがありませんが、おかげで色々なタイプのモバイルWi-Fiを試すことが出来ました。
今までの経験上一番良かったのはWiMAXです。
WiMAXを販売しているMVNOはいくつもありますが、BIGLOBEで契約するとポイントも貯まるのでお得感がありましたね。
その時はSIMフリーのスマホを使っていたのでWiMAXとスマホで2つの回線を契約していましたが、こうすると多少割引があったような記憶があります。
残念ながら今の家はWiMAXのサービスエリア外なので解約してしまいましたが、WiMAXはサービスエリア外でも使えることが結構あったりするので、もしWiMAXの契約を検討しているのであれば一度UQモバイルから無料で端末をレンタルできる“Try WiMAX”を試してみてください。
現在は“The Wi-Fi”というMVNOのクラウドSIMを使ったモバイルWi-Fiを使用していますが、これもなかなか回線速度が速く、回線も安定しているので使い勝手が良いです。
何より月々に使えるデータ量が100GBと、キャリアで直接契約した場合よりもはるかに多いというのが良いですね。
WiMAXが使えない場合はこの手のクラウドSIMを使うモバイルWi-Fiがあれば、光回線が無い環境であっても特に問題なくリモートワークが出来るのではないでしょうか?
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