フライトシムで学ぶ飛行機の飛ばし方 その2 飛行機の構造

フライトシム

フライトシムで飛行機を飛ばすための知識やコツ、裏技的な物を私自身の勉強も兼ねつつ、フライトシム初心者の方が参考にできるような情報を書き残してみたいと思います。

2回目は飛行機の構造について。

機体の構成要素

人類初の動力飛行がライトフライヤーによって行われてから、色々なデザインの飛行機が開発されてきましたが、基本的にはどんなタイプの飛行機でも

  • 胴体
  • 主翼
  • 水平尾翼
  • 垂直尾翼

の4つのの要素で機体が構成されていると思います。

一部の特殊用途の飛行機はこの限りではありませんが、レアケースにフォーカスして説明していくと話が長くなるのでその辺りはまたいずれ…。

今回は基本的なデザインの飛行機を構成する、各要素について簡単に説明していきましょう。

飛行機の胴体の構造

操縦席や客席があり、飛行機の各構成をつなぎとめている重要な構造物。

上の画像のようなビジネスジェットや旅客機は空の高いところを飛ぶようになっているため、パイロットや乗客が高山病にならないように胴体内の気圧が地上付近と同じくらいになるようにしていますが、これを与圧と呼びます。

与圧はフライトシムに関係ないような気もしますが、意外と機内の与圧もシミュレーションされてたりします。

例えばPrepa3dというフライトシムでは、高高度を飛行している時にどこかのドアを開けてしまうと、コクピットに装備されている機内高度計(=機内の気圧計)が急激に上昇して急減圧されていることがわかりますし、MSFSでは高高度の飛行中にドアを開けると胴体内が急減圧されて機体が破損したり…。

とまぁ、こんな感じでプレイヤーには影響は無いものの、機体の方に影響があったりするため、与圧というのは意外と重要な要素だったりします。

少し話が逸れてしまいましたが、胴体の構造には↓

Wikipediaより
  1. トラス構造(羽布張り)
  2. トラス構造(波鋼板張り)
  3. モノコック構造
  4. セミ・モノコック構造

といった種類があり、飛行機の使用目的や要求事項によって、構造が決定されます。

歴史的な話をすると、航空機の誕生から第2次大戦初期あたりまでは、軽量でそれなりの強度を持ったトラス構造を持つ飛行機が多かったようですが、エンジン出力の上昇や飛行機に求められる要求性能の向上より強度面での問題が浮上します。

特に1の“羽布張りトラス構造”の戦闘機に多かったようですが、エンジン出力の向上によって機動性が良くなったおかげで、急激な操作によって機体を曲げる力やねじる力が働き、胴体が耐えきれなくなってちぎれてしまったりしたようです。

そりゃパイプのトラス構造に布貼り付けただけですからね…。

強度なんてたかが知れてます。

そこで、『布の代わりに波鋼板を貼り付けて、機体の外皮にも強度を持たせよう』という発想から、2の“波鋼板張りトラス構造”に発展するわけですが、これが重量がかさむ割に期待したほどの強度も出ない…。

採用された期間は第1次大戦から第2次大戦の間、いわゆる戦間期のごくわずかな期間だけだったようです。

第2次大戦の開戦直前になると、次第にモノコック構造の飛行機が登場し始めます。

モノコック構造はトラス構造の胴体よりも滑らかな機体形状に出来るため、空力的に有利に出来るため、高速性を要求される戦闘機や爆撃機、飛行距離の長くなる旅客機などに採用されますが、構造的に機体外板(スキンパネル)に応力を負担させる必要があるため、分厚いスキンパネルが必要になります。

強度を必要とする飛行機ほど重量がかさんでしまうため、モノコック構造もそれほど長くは主流には馴れなかったようですね。

モノコック構造の弱点を解決するために開発されたのが“セミ・モノコック構造”で、現代の飛行機はほぼセミ・モノコック構造で設計されています。

セミ・モノコック構造は、胴体の長手方向に伸びる縦通材(ロンジェロン、ストリンガ)と縦通材に直行するように配置された円框(えんきょう、フレーム)で骨組みを作り、この骨組みにスキンパネルが張り付けられているという構造。

これならモノコック構造でスキンパネルに負担させていた力をロンジェロン、ストリンガに担わせることが出来るので、スキンパネルを薄くて軽い素材にすることが出来ます。

ロンジェロン、ストリンガ増えた分モノコック構造よりも部品点数が多くなり、重量が嵩みそうな気もしますが、それぞれの部品の構造を工夫することで、薄い素材でも強度を高めることが出来るので、結果的にはモノコック構造よりも軽量化が可能です。

現在製造されている飛行機は研究や実験目的の余程特殊な飛行機でもない限り、セミ・モノコック構造になっているようです。

MSFSに収録されている機体は、殆どがセミ・モノコック構造を採用していますが、Savage Cubとその派生機は“トラス構造に鋼板張り”の2に近い構造の飛行機となっています。

コクピット視点にするとトラス構造が分かりやすいですね。

トラス構造は強度上の問題で廃れたとは言いましたが、飛行速度が遅くエンジン出力が弱ければ全く問題は無いですし、モノコック構造やセミ・モノコック構造に比べると軽量かつ安価に製造できるため、要求される飛行特性によってはこちらの方が都合がいいという場合も。

自家用ならぬ自家製飛行機なんてものあったりしますが、そういった飛行機は今でもトラス構造が主流だったりします。

主翼の構造

飛行機の最も特徴的な構成要素がこの主翼でしょうね。

主翼は揚力を発生させて機体を浮き上がらせるために取り付けられています。

主翼の構造は“セミ・モノコック構造”または“トラス構造に鋼板張り”主流で、要求性能やコストによって決定されるようですが、現在はほとんどがセミ・モノコック構造が選択されることが多いようですね。

揚力を発生させるために独特の形状をしていて↓

真横から見ると翼上面が膨らみ、下面は上面と比べると滑らかな形状となっていることがわかると思います。

この形状のおかげで翼の上下で気圧差が発生して揚力が発生するわけですが、この辺りの話をし始めるとややこしい方程式やら用語や定理が出てくるので割愛!

分かりやすく説明すると

  1. 飛行機が前に進むと速度に応じて翼の表面に空気が流れる
  2. 翼の上面が低気圧、下面が高気圧になる
  3. 翼の上面のふくらみが大きくなる程気圧差が増える
  4. 気圧差で機体が持ち上げられる
  5. 翼の表面を流れる空気の速度と揚力は比例関係にある

要約すれば“主翼で発生する揚力は機体速度に比例する”くらいに覚えておいてもらえれば、フライトシムで飛行機を飛ばすには十分です。

補助翼

主翼にはエルロンやフラップ、スポイラーという装置が取り付けられていて、これらの装置を動かすことで機体の姿勢を制御することが出来ます。

エルロン

機体によって配置される位置が変わってくることもありますが、基本的には主翼の外側後方に取り付けられています。

上の画像の場合は左翼のエルロンが下がっていますが、この状態だと左翼の外側の揚力が増加。

このとき、反対側の右翼のエルロンは上に跳ね上がっているため右翼の揚力は減少。

こうなると左右の主翼の揚力差から機体は胴体(厳密にいうと揚力重心)を中心として右に回転(ロール)し、飛行中であれば右に旋回します。

左旋回するときはエルロンをこれとは逆に動くように操作するわけです。

基本的にはエルロンは独立して作動するようになっていますが、設計思想や制御方法によっては後述するフラップと連動したり、フラップと統合されている(フラッペロン)場合もあったりします。

作動方式は大雑把に

  • 操縦桿から伸びている操縦索(ケーブル)を介して人力で直接操作する
  • 操縦桿からの入力を油圧制御装置を介して機械力で操作する

といった感じに分けることが出来ます。

単発レシプロ機のような低速の小型機は人力、それ以外の高速で飛ぶ飛行機は油圧で作動するようになっているようです。

最近の飛行機によく採用されている“フライ・バイ・ワイヤー”は制御方式の1つなのでここでは説明を割愛しますが、あれも基本的には油圧で作動させています。

ちなみにフライトシムの場合、油圧がゼロの状態でもエルロンが動く機体データが多いですが、フライトシムのリアリティの設定状況や、アドオンのリアリティによっては、規定以上の作動油量と油圧が無いとエルロンが動かないなんて機体もあったりします。

フラップ

フラップは主翼の付け根の後方に取り付けられた主翼の可変構造で、日本語では“補助揚力装置”なんて呼ばれるています。

フラップが作動することで主翼の揚力が上昇するため、失速速度を通常の状態よりも引き下げることが出来ます。

大体3段階以上に設定できる機体が多く

  • 通常状態(巡行時)
  • 離陸時(1/2down)
  • 着陸時(Full down)

といった感じに使い分けることが多いようですね。

飛行中にフラップを作動させると大きな空気抵抗が発生するため、エアブレーキ的な使い方も出来ますが、フラップの作動には制限速度が決められているので、巡航中に減速のためにフラップを使うことはありません。

フラップを作動させるために大きな力を必要とするため、エルロンのようにケーブルを使って人力で作動させることはほぼ不可能!

ウィンチ機構や油圧、モーターなどで作動するようになっています。

微調整や急激な操作が必要な物ではないので、基本的には電動モーターで作動するようになっていますが、前述のようにエルロンとフラップを統合したフラッペロンの場合は油圧で作動するようになっているようです。

エルロンと同じくフライトシムによっては機体電源や油圧の供給が無くても作動するというのが多いですね。

スポイラー

スポイラーは主翼上面に取り付けられる装置で、名前の通り『(気流を)スポイルするもの』です。

スポイラーが立ち上がると空気抵抗が発生するので機体速度を低下させることが出来ます。

例えば着陸のために降下する場合。

そのまま降下すると機体速度が徐々に増加していき、いずれ機体構造上の制限速度を超過して機体が破損してしまうわけですが、それを防ぐためにスポイラーを作動させて機体速度を低下させる働きがあります。

また、主翼上面の空気の流れを乱すことで意図的に失速状態を作り出し、機体速度の上昇を最小限にして高度を落とすなんて使い方も出来たり。

基本的には左右の翼で同じ動きをしますが、一部では左右で独立して作動するようになっていて、スポイラーを使ってロールを行うなんて飛行機もあったりします。

特に有名なのが三菱開発・製造のMU-2というビジネス機とF-1支援戦闘機ですかね?

スポイラーは必ず装備されているというものではなく、MSFSに収録されている機体で見るとほとんどの単発レシプロ機には無く、ある程度以上の機体サイズや速度の飛行機にしか装備されていないようです。

作動方式は電動モーターや油圧、あるいはウィンチ機構を介した人力となりますが、例のごとくリアリティ設定のレベルやアドオン上の設定によっては動力源の作動状態に関係なく動作します。

水平尾翼の構造

水平尾翼は名前の通り飛行機の尾部=後部に取り付けられた翼です。

基本的な形状や構造は主翼と同じですが、水平尾翼は機体の上下の方向の動き(ピッチ)を制御する働きがあります。

水平尾翼後方には昇降舵(エレベーター)が取り付けられていて、これが上下することによって機体の重心位置を中心として機種を上下方向に傾けることが出来るわけです。

操縦桿を思いっきり引っ張るとこんな感じに↓

飛行中にこの状態になると、水平尾翼は空気の力で下に押し下げられるため

テコの原理のような感じで機首上げモーメントが発生します。

水平尾翼にはエレベーターを使ってのピッチ操作以外にも、空力によってピッチ方向の安定性を高める効果(スタビライザー)もあり、そういった水平尾翼はエレベーターとスタビライザーの兼用という事で“スタビレーター”と呼んだりしますね。

作動方法はエルロンと同じで、小型低速な機種はケーブルによる人力駆動、それ以外は油圧駆動が主流のようです。

垂直尾翼の構造

垂直尾翼も名前の通り機体後部にある垂直に立つ翼で、構造は他の翼と同じですが、他の翼が非対称な断面をしているのとは異なり、垂直尾翼だけ対称な断面形状をしています。

垂直尾翼の後端部にも舵面が取り付けられていて、この舵面(ラダー)を操作することで機種の左右方向の動き(ヨー)を操作し、水平尾翼と同じく空力的な効果でヨーの安定性を高めるという働きをしています。

これも水平尾翼と同じくテコの原理で機体を重心位置を中心として、左右方向に機首を振るようなモーメントが発生します。

その結果機体がヨー方向に動くと思ってもらえれば、フライトシムで遊ぶには十分だと思います。

垂直尾翼が他の翼と違って断面形状が対象になっているのは、機体の直進性安定性を高めるため。

もし主翼のように“片側が膨らんで、反対側が平滑”といった形状だとすると、左右で気圧差が発生して機種が振られてしまい、直進出来なくなってしまいます。

左右非対称なデザインの機体を作る目的や、プロペラの回転モーメントを打ち消す、といった目的で垂直尾翼の断面を他の翼と同じように湾曲させたり、機体の中心軸に対して少し取り付け角度を付け、初めからヨー方向のモーメントを発生させるといったこともあったりしますが、こういった飛行機はそれほど多くは無いようです。

また、垂直尾翼と水平尾翼を合体させ、機体後部に斜めの翼“ラダベーター”を取り付けた飛行機もあったりしますが、まだまだ一般的では無いですね。

作動方式はエルロンと同じく小型低速な機種はケーブルによる人力駆動、それ以外は油圧駆動が主流のようです。

まとめ

今回はかなり大雑把に飛行機を構成する要素

  • 胴体
  • 主翼
  • 水平尾翼
  • 垂直尾翼

について説明しました。

胴体以外の翼には舵面が取り付けられていて、これらを操作することによって飛行機を空中で動かすことが出来ます。

細かく説明していくと航空力学や流体力学のかなり深いところに入ってきて説明するほうも理解するほうも面倒になるうえ、フライトシムでライトに遊ぶにはそこまでの知識も必要ないので今回はこの程度で…。

とはいえいずれ必要になってくる知識ではあるのでその辺りはまたいつか。

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