自分の勉強も兼ねつつ、フライトシム初心者の方々の参考にもできるよう、フライトシムで飛行機を飛ばすための知識やコツ、裏技的な物をシリーズとして書き残してみたいと思います。
第1回目はフライトに直接かかわるものではありませんが空港施設について。
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飛行場のレイアウト

一般的な飛行場は
- 旅客ターミナル(ターミナルビル)
- 管制塔(コントロールタワー)
- 駐機場(エプロン)
- 誘導路(タクシーウェイ)
- 滑走路(ランウェイ)
- 格納庫(ハンガー)
といった施設で構成されています。
乗客として空港を利用する場合はターミナルビルを使うくらいですが、フライトシムでは逆にターミナルビルを使う事はありませんね。
もちろん、リアリティのためにターミナルビルは再現されていますが、オブジェクトとしては外観のみで内装は一切再現されていません。
これらの施設について色々解説していこうかと思いますが、今回はあくまで“フライトシムで使用することのできる施設”として、エプロン、タクシーウェイ、ランウェイについて解説していきたいと思います。
駐機場(エプロン)

駐機場はその名の通り飛行機を停めておくための施設、というか場所ですね。
乗客の乗り降りや貨物の積み下ろし、燃料の補給や簡単な整備などが行われる場所です。
基本的には関係者以外立ち入り禁止となる場所ですが、羽田空港から地方空港に飛ぶ便に乗ると、旅客ターミナルから搭乗橋(ボーディングブリッジ)で飛行機に乗り込むのではなく、バスで飛行機の真横まで移動し、階段の付いたトラック(タラップ/ステアケース)で飛行機に乗り込むことがあるので、エプロンに直接立ち入ったことがあるという人もいるのではないでしょうか?
飛行機には、姿勢を確認するためにジャイロコンパスという計測機器が搭載されていますが、ジャイロで水平を検出するためには、水平な場所で起動する必要があります。
このため、エプロンはかなり高い精度で水平で平滑になるように作られています。

一般的なエプロンはアスファルトまたはコンクリートで舗装され、水平になるように作られ、エプロン上にはいろいろ線が書かれています。
エプロンに引かれたオレンジのラインは、飛行機がエプロンとランウェイを行き来する際に通るルートを示していて、飛行機はこのラインの上を走行しなければいけません。

小規模な飛行場で、駐機位置がそれほど多くない場合は、滑走路からエプロンの駐機位置(スポット)までの誘導用のラインが引かれているだけですが、羽田空港のように多数のスポットがある場合は、それぞれのスポットを識別するために、オレンジのラインの付近にスポットの番号が表示されていることもあります。

スポット内のラインの先端部分はT字になっていて、ここで停止するということを意味しています。
飛行機を駐機するときにはTの部分に前脚(ノーズギア)を合わせるようにしますが、飛行機のサイズによっては、パイロットからノーズギアの位置が全く見えないので、地上誘導員(マーシャラー)の指示に従って飛行機を停めることになります。
小規模な空港の場合は、誘導用のラインから離れた場所に、ホワイトでT字または飛行機のシルエットを描いて駐機位置を示しているパターンもあります↓

MSFSの飛行訓練の舞台となっているセドナ空港のエプロンがこのパターン。
このタイプのエプロンの場合、着陸後に直接この駐機位置に直接飛行機で移動してくるわけではなく、あらかじめ決められた場所(スポットの近く)に飛行機を停め、エンジンを停止してから地上スタッフがT字の上に飛行機を移動させているようです。
MSFS以外のフライトシムでも、エプロンにラインが引かれていたり、スポット識別用の数字が書かれていたりしますが、タイトルによって再限度が違いますし、追加の空港データ(アドオン)のビルダーやバージョンの違いによって詳細の再限度はまちまち。
Prepar3Dなんかだと軍用飛行場のエプロンは何も表示が無かったりすることがあります…。
誘導路(タクシーウェイ)
エプロンと滑走路(ランウェイ)を結ぶ通路が誘導路(タクシーウェイ)です。
人によっては『タキシー』と呼ぶこともありますが、訛ってるかどうか位の話なので、大した違いはありません。

エプロンと同じくアスファルトまたはコンクリートで舗装されていますが、エプロンほど平滑ではないことが多いです。
これはタクシーウェイの水はけを良くして、雨の日に飛行機がスリップしないようにするため。
タクシーウェイの中央部を頂点として、なだらかなカマボコ状の断面をしています。
タクシーウェイ上書かれたオレンジのラインはエプロンにあるものと同じで、飛行機が地上滑走する時のルート。
タクシーウェイのセンターラインとなりますが、車のように左右に分けて上りと下りに車線を分けているわけではありません。
原則的に飛行機はセンターラインの真上を走行するようになっていて、地上管制官(グランドコントロール)によって進行方向が統制されているため、使用する滑走路の方向に合わせて一方通行となっています。
このため、タクシーウェイ上で飛行機がすれ違うことはありません。

フライトシムのタイトルやアドオンにもよりますが、センターラインには誘導灯と呼ばれる照明器具が埋め込まれているほか↓

タクシーウェイの両端にも誘導灯が設置されているので、夜間や悪天候時など視界が悪い時でも地上滑走が出来るようになっています。
誘導灯の外側、芝生の上に設置されているのはタクシーウェイの誘導標識。
ランウェイとタクシーウェイが1本づつの小規模な空港の場合、誘導標識が設置されることは少ないですが、羽田のようにいくつものランウェイとタクシーウェイがある場合は、迷子にならないように識別標識が設置されています。
実機の運用ではこの標識だけでなく、チャートと呼ばれる飛行場の地図のような物を使ったり、カーナビのようなシステムを使ったりする他、場合によってはFOLLOW ME CARと呼ばれる先導車両を要求することもできるため、迷子になることは少ないでしょうね。
MSFSでは、シミュレーションの設定で、目的のランウェイやスポットまでのガイドを表示させることが出来るので、これを使えば迷子になることは無いでしょう。

タクシーウェイの外側に設置された看板上の標識以外にも、タクシーウェイの路面上に直接描かれる標識もあります。
赤の背景に白字で書かれているのは滑走路の方向を表す表示で、これは滑走路がいくつもある飛行場や、滑走路とタクシーウェイの交差点が複数ある場合に設定されていることが多いようです。
その奥にある黄色の実線と点線はランウェイとタクシーウェイの境目を表す表示。
実線の手前では一時停止して左右を確認し、ランウェイを滑走中の機体や車両、ランウェイにアプローチ中(着陸中)の機体が無いことを確認してからランウェイに進入します。

逆に点線の手前では管制官の指示がない限りは停止する必要はありません。
他にも色々な標識や表示がありますが、フライトシムのタイトルやアドオンの導入状況によって表示が変わってきます。
滑走路(ランウェイ)
滑走路(ランウェイ)は飛行機の離着陸に使用する長い道路のような施設。
一般的にはアスファルトまたはコンクリートで舗装されていますが、戦闘機の運用がメインの軍用飛行場のランウェイは、原則的にコンクリート舗装となっています。
これはアスファルトは熱に弱いため、戦闘機が離陸するときに使用するアフターバーナで軟化してしまい、後続する機体の離着陸に支障をきたすから。
ランウェイはタクシーウェイと同じく、断面がかまぼこ型になっていているほか、透水性のある素材で舗装されているため、雨が降っても水たまりが出来ないようになっています。
これに加えてランウェイに直交するように溝(グルーブ)が刻まれていて、水はけを良くするのと同時に、タイヤとの摩擦を増やして、ブレーキ性能を高める工夫がされていることもあるようです。
ただし、古い飛行場なんかだと離着陸のストレスで次第に滑走路が沈んて来たり、摩耗でグルーブが削れたりして、滑走路上に水たまりが出来てしまうこともあったりします。
まぁ、フライトシムではそこまで再現されることがないので、経年劣化に関しては気にする必要は無いでしょうけどね。
日本では少ないですが、世界的に見ると芝生のランウェイや土を固めただけのランウェイというのも結構あります。
フライトシムでも現実世界に合わせてそのようなランウェイを持つ飛行場が再現されていますが、このような飛行場の場合タクシーウェイやエプロンが存在しない場合も多いですね。

ランウェイには必ず番号が付けられていますが、これはランウェイの向いている方角を表す数値となっています。
ランウェイに書かれている数字は“0~360°の方位を四捨五入して10分の1で表した数値”。
上の画像のセドナ空港の場合、ランウェイには3と21という数字が書かれています。
この事から、セドナ空港のランウェイ3は“方位30°”、ランウェイ21は“方位210°”の方向を向いているということがわかります。

ランウェイ方位を示す数値の左側にある白線がたくさん引かれた部分はスレッシュホールド(スレッショルド)と呼ばれる部分で、滑走路の始まり、または終わりを表す表示。

スレッシュホールドのさらに手前、黄色の山型線の書かれた部分は、ブラストパッドと呼ばれるエリア。
ブラストパッドの部分も舗装されてはいますが、この部分は強度が無いため飛行機の進入が禁止されているエリアです。
なぜ進入禁止のエリアなのにわざわざ舗装されているかというと、離陸時のジェット排気(バックブラスト)で砂や小石を巻き上げてしまい、空港施設や周辺環境に悪影響を与える可能性があるから。
それと、ブラストパッドがあれば離陸滑走の開始位置をある程度制御することが出来ますからね。
そういう理由からブラストパッドの長さは飛行場によって違いがあり、飛行場の立地条件や離着陸できる飛行機の規模にによってまちまちです。
フライトシムにも設定されていますが、強度はランウェイと同としているタイトルが多いので、地上滑走中にブラストパッドに進入しようが、着陸時にブラストパッドに接地しようが何の問題もありません。
このほかにも滑走路上の表示は色々ありますが、ここもフライトシムのタイトルやアドオンによってまちまちですね…。
まとめ
今回は飛行場を構成する
- 駐機場(エプロン)
- 誘導路(タクシーウェイ)
- 滑走路(ランウェイ)
についてごく簡単に解説してみました。
フライトシムのタイトルやアドオンの適用状況により表示される標識や表示が異なるため、基本的にどのようなフライトシムでも必ず表示されている要素だけ取り上げています。
飛行場施設は飛行機の操縦と全く関係が無いので、これらの事を知らなかったとしても十分遊べます。
それでも、多少なりとも知っていれば、少しは実機の運用に近いプレイが出来るかと思いますし、やっているうちに興味が出てきて色々と調べだすことになるかと思います。
まずは飛行場の施設についての最低限の要素だけですが、離着陸やクロスカントリー、計器飛行などをしながらおいおい他の要素についても解説していきたいと思います。
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