航空自衛隊のお仕事色々:工作員

自衛隊の思い出

航空自衛官=パイロットというイメージを持っている人が多いですが、実は航空自衛隊の中でもパイロットなのはほんの一握りで、実際のところはパイロット以外の仕事をする人が圧倒的に多いのが現実。

航空自衛隊のパイロット以外の仕事について『どんなことをしているのか?』『どのようにしてなるのか?』『どこで仕事をしているのか?』を紹介していきます。

今回は『工作員』について。

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工作員とは?

航空自衛隊の特技にある『工作員』というのはスパイや特殊作戦に従事する隊員のこと…。

ではなくて、機械工作や溶接なんかの作業に従事する隊員です。

工作員の仕事は大まかには

  • 溶接
  • 機械工作
  • 機体修理

の3つで、溶接は飛行機の部品や構造部材の一部の溶接修理、機械工作は工作機械を駆使して飛行機の部品や整備用工具の制作、機体修理は機体の構造部材の補修や改修となっていますが、物凄くわかりやすく説明すると『飛行機の板金屋さん』です。

もう少しイメージしやすいように具体的な仕事の話をすると、機体のパネル(外板、スキン)を作ったり、機体のフレームに入った亀裂にパッチを当てて補強したり、航空祭や部隊創設記念イベントに向けた記念塗装をしたり、他の職場に頼まれて特殊な工具を作ったり、基地内の看板を作ったり、駐輪場の輪止めを作ったり、BBQ用の鉄板を作ったりと、ホントに何でもできて作れてしまうため色々な職場から引っ張りだこ。

航空自衛隊に限らず自衛隊という組織はあらゆるものを消費するばかりで生産性が皆無な組織なんですが、工作員の所属する工作小隊という部隊は自衛隊でも数少ない生産性のある部隊だったりします。

勤務先

上にもある通り飛行機の板金屋さんといった感じの特技になるため大多数は航空機のある基地に勤務することになります。

配属先は戦闘航空団の場合だと航空団隷下にある整備補給群にある修理隊の工作小隊になりますが、工作員のスキルは航空機以外のフィールドでも活用できるので中には飛行機を扱わない部隊、例えば車両整備部門に付属する工作班に所属することも。

また、航空自衛隊唯一の生産部隊と呼ばれる『教材整備隊』という部隊への配置もありますが、この教材整備隊という部隊は教育隊や術科学校で使う教科書の印刷や、教材の作成を行う部隊。

教材の他にも展示や寄贈用のソリッドモデルの作成、変わったところだとパイロットが訓練に使うコクピットトレーナー(コクピットでの機器類の操作手順を確認するための簡易なフライトシミュレーター)の作成なんかもしています。

この他にも航空機を直接扱わないポストとしては術科学校の教官ポストがありますが、こういった飛行機を触らない部隊に配属されるのは基本的には経験豊富なベテランばかりです。

工作員になるには?

工作員は空曹士隊員の特技区分なので、工作員になるためには自衛官候補生か一般曹候補生として航空自衛隊に入隊する必要があります。

工作員になるために必要な資格は特にありませんが、旋盤やフライス盤といった工作機械を扱った経験や関連する資格を持っていると工作員になりやすいのかもしれません。

教育隊での基礎訓練課程が修了すると、浜松基地にある第1術科学校の初級または中級工作員課程に入校して工作員として働くための基礎を学び、終了後は各配属先でOJTを受けながら工作員としてのキャリアを積んでいきます。

私は工作員ではなかったので詳しくはありませんが、初級のOJTが終わったあたりから本人の希望や能力、部隊のニーズに合わせて各種の部内資格を取得することになるようです。

3曹に昇任したあたりで上級課程に入校して専門的な知識を学び、部隊で上級OJTを受けてようやく1人前の工作員となった頃に異動という感じですかね?

工作員の思い出

飛行機の板金修理がメインのような書き方をしていたため、APGとしか接点がなさそうに見えますが、意外とエンジン整備員から工作員に仕事を頼むことも多かったですね。

戦闘機用のエンジンにはアフターバーナーというものが装備されているんですが、このアフターバーナーの構成品が熱で歪んで良く割れるんですよ。

あと、アフターバーナーの後ろについている排気ノズルも可動部分が多いため、隣り合った部品と擦れて摩耗する。

こういった部品はすぐに新品と交換しそうなもんですが、実は修理して再利用することが圧倒的に多かったりします。

で、こうした部品の修理をするのが工作員の方々。

なので現役の時は工作員の方々には本当にお世話になりました。

仲のいい先輩も多く、プライベートでも一緒に遊びに行ったり飲み歩いたりしたもんです。

たまに飛行機に関係のない、スキルも資格も全く要らない作業の手伝いをさせられたこともあったなぁ。

工作員の人たちは昔ながらの職人さんみたいな感じで、怒らせると口より先に手が飛んでくるような人もいましたが、普段は温厚で気の良い人たちばかりだったという印象がありますね。

ただ、仕事に対するこだわりの強い人が多いためか周りの職場に隊員たちからはあまりよく思われていなかったり、怒鳴ることが多いからか怒られることに慣れていないゆとり教育世代の隊員たちからは怖がられ嫌われていました…。

まぁ腕一本で食ってる職人さんに近いものがありますからね。

仕事に対するこだわりはそのほとんどが“最短時間で最適な修理をする”ためですし、怒鳴るのも騒音の中で仕事をすることが多いからで仕方が無いんですが、周囲がそのあたりを一切考慮せずに仕事をぶん投げたり、そのあとのフォローを全くしなかったりすることに問題があるんじゃないかと思うんですよね…。

割と自分の職場の事しか考えていない人が多いので職場間の軋轢は大なり小なりあるんですが、そのしわ寄せが工作の職場に来ちゃう感じなんですかね?

コメント

  1. おじゃま虫 より:

    航空機整備員だったのですか?工作員としては世界最高レベルの技術を維持しないと出来ん仕事ですがな。引退しても自動車整備なら誰にも負けない技術を持っておられうらめしや。

    • yasuhiro より:

      だいぶ昔の話になりますが、元エンジン整備員でした。
      車やバイクいじるのが好きな人は多かったですよ。
      でも辞めた後に自動車整備やる人は聞いたことないですねぇ。

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