元自衛官のお勧めする防災グッズの紹介。
4回目となる今回は衛生資材や医薬品について考えてみたいと思います。
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避難所の衛生環境
地震や台風、洪水、さらには火山の噴火などで被害が発生した、または被害発生の恐れがある場合、地方自治体は公共施設に避難所を開設してここで地域住民が寝泊まり出来るようにします。
だいたい体育館のような施設に雑魚寝のような感じで被災住民が密集してい生活している光景を過去の映像や写真なんかで見たことがありますよね?
この記事を書いている2020年は新型コロナの影響で3密(密閉された環境、密集した状態、密接した距離)を避けるように色々な所で言われてるわけですが、今までの避難所の光景を見ると3密を避けるのはかなり難しい。
みんな新型コロナの感染ばかり気にしていますが、実際のところ避難所は新型コロナに関わらず、あらゆる感染症が流行しやすい環境です。
そもそも避難してきた人たちは普段経験するようなことのない高ストレスの環境に疲労しているため普段よりも抵抗力が低い状態。
まずここで風邪やインフルエンザにかかりやすい状態になることは誰でも予想出来ると思いますが、これ以外にも感染性の皮膚炎や食中毒にかかるリスクも平時と比較すると跳ね上がります。
次に、避難所の衛生環境の問題。
紛争地の難民キャンプに比べれば日本の避難所は天国のような衛生環境ではありますが、不特定多数の人たちと施設を共有するので、細菌やウィルスが接触感染によって広まるリスクが高いです。
特に施設のドアノブや床、洋式のトイレの便座なんかは見た目は綺麗でもウィルスの温床に…。(トイレで思い出しましたが、避難所のトイレは掃除や整備が行き届かないため大変無いことになってる事が多いです。)
以前の記事で『避難所にスリッパを持って行った方がいい』と書いたのは、床面からの細菌/ウィルス感染を防ぐことが目的です。
衛生資材
マスク
まずは個人防護用に必要なアイテムとしてマスクを準備しておきましょう。
新型コロナの感染予防では『無いよりまし』という程度、むしろ“他人にうつさない”ということを目的に使用していますが、災害時には別の目的で必須となるアイテムです。
津波や洪水などの大規模災害が発生すると被災地が汚泥まみれになるのですが、この汚泥が乾くとホコリとなって風で飛散します。
この汚泥は感染性の細菌を含んでいることが多いので、この汚泥が乾燥した舞い上がったホコリを吸い込めば何らかの感染症になるリスクが高くなります。
マスクを着けることでこうしたホコリを吸い込むことを防ぐわけです。
新型コロナの感染予防のために不織布やコットンのマスクをつけるのが一般的にはなりましたが、これらのマスクの防塵性能はそれほど高くないので、防塵マスクを用意しておきましょう↓
ゴーグル
マスクと同じく防塵を目的としてゴーグルも1つ用意しておきましょう。
あまり知られていませんが被災地で結膜炎やものもらいになる人は結構多いんですよ。
生活している場所の衛生環境の悪化も原因の一つですが、上で書いている通り汚泥が乾いて舞い上がったホコリが目に入って目の病気にかかるというのが多くなります。
理想を言えばゴーグルのフレーム部分が目元に密着するタイプが好ましいです↓
が、このタイプのゴーグルは通気性が悪いので、人によってはすぐに曇ってしまうかもしれません…。
防塵性能は劣りますが保護メガネでも無いよりはマシなので、外に出て作業するときは必ず何らかの保護メガネを付けましょう↓
例え防塵性能に乏しい保護メガネでも、少なくともホコリが目に直接入るというリスクは減らせますからね。
ウェットティッシュ
いくらマスクやゴーグルをつけていても汚い手でこれらを触ればせっかくの装備が無意味になります。
なのでマスクやゴーグルをつけ外しする前には必ず手を洗いたいところですが、避難所で水が使えるとも限らないのでウェットティッシュを使って手を洗えるようにしたほうが良い。
ウェットティッシュというと大体こんな感じのボトルに入ったものを想像するんじゃないかと思いますが↓
このタイプのウェットティッシュはかさ張るので防災グッズとしては不向き…。
最終的にはこのシリーズで紹介したアイテムをすべて1つのバックパックにパッキングしたいので、なるべく邪魔にならずかさ張らない梱包方式の物を選びたいところですが、ウェットティッシュは使用頻度が高いので割と大量に持っていく必要があります。
そこでお勧めするのがポケットティッシュサイズのウェットティッシュです↓
ポケットティッシュタイプならバックパックの隙間に詰め込むことが出来るのでかさ張らず無理なく大量に収納できますし、アルコールの有無や香料の有無など用途別に色々な種類のウェットティッシュを用意することが出来ます。
ゴム手袋
水で手洗いできない環境では使い捨てのゴム手袋があると便利。
調理や配膳の時、自分や他人のケガを治療する時、赤ちゃんやお年寄りのおむつを替える時に必須のアイテムです。
これも買った時の箱のままだと嵩張るで、ジップロックのようなチャック付きのビニール袋に詰め替えて収納します。
歯磨きセット
避難所でよく見聞きするのは口腔衛生の不備から体調を崩すパターンです。
抵抗力が弱くなっているところで口の中が不衛生だと色々な病気になるリスクが高くなりますし、もし虫歯になっても治療がなかなか受けられませんから、いつも以上に歯磨きに時間をかけて口の中を清潔に保つ必要があります。
歯磨きセットはこだわりがあればいつも使っている歯ブラシと歯磨き粉をジップロックに入れて保管しておけばいいですが、特にこだわりがなければコンビニで売っているようなトラベルセットがあれば良いでしょう↓
避難先で水が自由に使えない場合も考えると歯磨きガムや↓
歯磨きシートも用意しておくと良いかもしれません↓
歯磨きガムと歯磨きシートはペット用の物もあるので買う時に間違えない様にしましょう…。
洗濯用品
水が豊富に使えるような環境であればこまめに服の洗濯もしましょう。
とは言え洗濯機は無いですし、防災グッズとして洗濯機やたらいまでは用意できません。
そこで大きなジップロックを用意してこれを洗濯用に使います。
使い方は簡単でジップロックの中に洗濯したい物と洗剤、水を入れて袋を外から揉むだけ!
コツは
- 大量に洗濯物を入れない事
- 空気を抜いておく事
- 袋をなるべく薄く平べったい形状にしておく事
Xラージサイズ(60㎝×51㎝)のジップロックなら
- 下着:上下2セット
- 作業服:上下1セット
程度まで一度に洗えます。
これに洗濯物が浸かるくらいの水と適量の洗濯洗剤を入れたら空気を抜いてファスナーを閉め、袋を揉むだけ。
洗い終わったらファスナーを少し開けて水を抜きますが、この時に袋の中の洗濯ものをなるべく平らにしてやり、底の方から丸めるようにするとうまく水を絞ることが出来ます。
すすぎは水を入れ替えて同じように袋を揉むだけです。
洗濯用の洗剤はコンビニで売ってる旅行用の物でもいいですし、体を洗う石鹸を削って使ってもいいですよ。
ジップロックを洗濯用に準備するのも勿体ないし貴重なバックパックの容積を奪うことになるので、衣類をしまっていた袋をそのまま転用しますが、一応旅行先や避難先で使える洗濯キットなんてのもあるので↓
余裕があればこういったものを用意しておくと良いかもしれません。
生理用品
どんな形態の災害が発生しても絶対に不足するのが生理用品。
普段使っている生理用品を防災グッズとして備蓄しておいてください。
生理用のナプキンというと女性しか使わないものと考えがちですが、実は万が一大怪我をした時に包帯と併用して出血している部分を覆うことで止血帯の一部としても使えます。
痔主の人は避難所で冷えた床に座りっぱなしになって症状が悪化することもあるので、男性でも用意しておいた方がいいかもしれませんよ…。
あと以外に使い道があるのがタンポン↓
本来の生理用品としての使用法以外にも、ほぐせば脱脂綿の代わりに使えるので傷口の洗浄や保護に使えますし、燃えやすいので焚火の焚きつけに使えたりします。
医薬品
市販の胃腸薬や風邪薬をストックしておきましょう。
特に整腸剤はマストアイテム↓
避難所での生活は高ストレス環境ですし、食生活も悪くなりがちなので便秘や下痢になりやすいですからね。
薬を準備する際のポイントは普段使う薬を用意しておくこと。
いつも飲まない、使わないような薬をいつもと全く違う生活環境で使うと、思わぬ副反応やアレルギーを発症する可能性があります。
置き薬や配置薬と呼ばれるものがあれば一部を避難所にも持って行くといいですね。
持病がある方は避難用に多めにストックしておきたいという気持ちがあるかもしれませんが、使用期限があるので処方箋薬を大量にストックすることはお勧めできません。
こういった医薬品は防災グッズとして準備するのではなく、保管場所を防災グッズと一緒にしておき、いざと言う時に一緒に持って行けるようにしておくというのはいかがでしょうか?
まとめ
避難所での生活は平時とは大きく環境が異なるため抵抗力が下がって病気になりやすくなります。
高ストレス環境で抵抗力が下がるのはもうどうしようも無いので可能な限りの予防措置が必要です。
マスクやゴム手袋で防護することも大切ですが、それ以外にも可能な限り身の回りを清潔にすることも大切。
水が使えるとも限りませんし、普段使っているアルコールジェルを持っていけるとも限らないので、除菌が出来るウェットティッシュでこまめに手や体を洗うようにしましょう。
また、服も清潔に保てるように洗濯するためのアイテムも準備する必要があります。
それでも体調を崩してしまったときのために、多少の医薬品も準備しておきましょう。
持病のある方は常備薬をいつでも持ち出せるように防災グッズの近くに保管しておくのが良いかもしれません。
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