元自衛官のお勧めする防災グッズの紹介ということで、1回目は避難して最初の1週間分の非常食について、2回目は2週間程度の避難生活に必要な衣類について記事にしてみました。
3回目となる今回は情報収集に必要となる情報・通信機器について考えてみたいと思います。
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災害時の情報インフラ
現代人は私も含め、普段からテレビやラジオ、パソコン、スマホなどで色々な情報を入手しているわけですが、災害発生時にはこれらの情報インフラが使えなくなることが容易に想定できます。
『スマホやノートパソコンならバッテリー駆動だからしばらくは大丈夫でしょ?』なんて思うかもしれませんが、災害発生直後から通信量が急増するので回線やサーバーがパンクすることもありますし、携帯電話回線の基地局やインターネットのサーバーは電気で動いていますので、停電してしまえばしばらくは使い物になりません。
もちろん携帯電話の基地局やサーバーといった重要な通信インフラの拠点には、非常用発電装置やUPSのような非常電源が装備されているため、災害発生直後にダウンするということはそうそうないとは思いますが、それでも長くて1~2日、最悪半日程度で非常電源も切れてダウンするでしょう。
携帯電話の基地局については電源の問題だけでなく地震や強風で倒壊するというリスクもありますが、こうなった場合は災害発生直後から長期間使用不能になる可能性もあります。
もちろん通信各社はこうならない様に回線の多重化や構築物の強化を図り、災害に強いインフラ整備を進めてはいるものの、自然災害に完全に打ち勝つのはほぼ不可能でしょうね。
そう考えるとネットワークに接続する必要のあるスマホやパソコンといった情報機器は災害発生時にはほぼ使えないと考えたほうが良さそうです。
まぁ別の理由で災害時にインターネットを使うことはお勧めできませんが、そのあたりの理由はまた後程…。
災害発生後にしばらくはスマホやパソコンが使えないとなると、その間の情報収集手段はテレビとラジオになります。
テレビ
最近のスマホやカーナビにはワンセグ対応の物があるのでテレビは問題なく見れそうですが、個人的には避難先でのテレビは情報収集にはあまり向いてないと思うんですよ。
東日本大震災の時を思い出してみると、災害発生直後のテレビに映しだされていたのは炎上している石油コンビナートの映像や人命救助のシーンばかりでしたし、1週間もすると今度は避難所の様子を写したものばかりで、ハッキリ言って避難所での生活に何の役にも立たない情報ばかり…。
そんなことよりも「公的援助の手続きをどこで受けられるか?」とか、「給水所はどこにあって何時までやっているのか?」「お風呂に入るにはどこに行けばいいのか?」「炊き出しなどの食料の支援はいつどこに来るのか?」といったもっと生活に密着した情報が欲しいところ。
まぁ全国ネットの番組ではニーズが無いのでほとんどやってませんね。
ローカル局なら独自編成でこういった情報を流せるかもしれませんが、県域放送ではカバー範囲が広すぎるので個別の地区ごとの情報は放送できないんじゃないでしょうか?
正直なところ電気と時間の無駄なのでテレビは見ないほうが良いんじゃないかと思います。
不安を煽るだけなので精神衛生上よろしくないですしね。
とはいえ情報源は多数用意しておきたいのでテレビがあって損はない…。
避難初期の電力供給の不安定さを想定すると、充電や乾電池、さらには手回し発電でも使用できる機種を用意しておくといいでしょう。
ラジオ
テレビがダメならラジオはどうかというと…。
ラジオは映像が送れない分もっと地域に密着した情報を放送してくれますが、NHKや、民放でもTBSやニッポン放送などのメジャーな放送局の全国ネットの番組ではさすがに地域ごとの細かい生活支援系の情報は放送できません。
FM局の場合はテレビやAMラジオ放送と違い、市町村レベルをカバー範囲とするコミュニティFM局という物があり災害発生時にはこうしたコミュニティーFM局が本領を発揮します。
コミュニティーFMであれば放送対象は自身の所在する市町だけとなるので、避難所の情報や救援活動の情報などをきめ細やかに放送することが出来ますからね。
しかもキー局やネット局以上にフットワークが軽いので情報を集めるスピードが速いですし、地方自治体がバックについていることもあるので情報ソースとその信ぴょう性も確かです。
東日本大震災の時は『災害コミュニティFM』という臨時のFM局も多数開設され、中には放送対象の範囲をかなり絞りこんだ町内会レベルの放送局も開設されていました。
ラジオであればカーナビにはほぼ間違いなく付いていますし、スマホでも機種によってはオフラインで聞けるので改めて準備する必要はないかもしれませんが、充電切れ等に備えてバックアップとして一家に一台くらいはあってもいいと思います。
ラジオの場合は消費電力が少ないので充電式や手回し式でなくても問題は無いでしょう。
その代わり予備の電池をいくつか用意しておいたほうがいいかもしれません。
インターネット
最近はLINEやFacebook、Twitterで連絡を取ることもあるのでスマホやタブレット、パソコンが使えると便利なんですが、災害発生から数日はまともにネットワークに接続できないことが考えられます。
理由は上の方にも書いてますが、安否確認の連絡で回線の使用率がひっ迫してしまうから。
自衛隊にいた頃は日本のどこかで災害が発生するとすぐに所属部隊から連絡があり『○○地方に親戚や知人はいないか?もしいたら安否確認して報告しろ!』なんて言われたもんですが、自衛隊がわざわざ回線需要を高めてどうするんだと…。
この時安否確認に使われる回線は隊員が個人で契約した一般加入回線なので、そんなことしたら現地の人たちの迷惑でしかないわけですが…。(一応自衛隊を擁護しておくと、隊員の身内を通じて現地の情報を収集することが目的です。)
とまぁ、こんな感じで災害発生直後~数日間はまともに電話も出来ない、ネットにもつながらないことが予想されます。
なので数日間はなるべくお互いに連絡することを控えたり、災害伝言ダイヤルを使うなどして回線のひっ迫を防ぐ必要がありますね。
SNSは安否確認に便利なんですが、デマの温床になりやすいという点で注意が必要です。
マスコミ各社や政治家の公式アカウントだと思って安心していると公式がデマを書き込んでいるという可能性も高いので注意しましょう!
影響力の大きいマスコミや政治家の発言は誤報があってもなかなか訂正しないので当てにしない!
逆に『大マスコミや政治家のアカウントほど程信ぴょう性が薄いものは無い!』と考えてください。(特に市民運動の母体となっているあの会社やあの政党…)
マスコミやネットの情報よりもまだ近所の噂好きのオジサンやオバサンの噂話の方が信用できますし、何よりあなたが直接目にして耳にした情報が一番正確です。
そして自分がデマの発生源とならないように気を付けてください。
災害時の電源
いくら正確な情報を得られるデバイスがあっても、これらは電源が無いと何の役にも立ちません。
最近は持ち運びできる大容量のバッテリーが手軽に手に入るようになったので防災用にいくつか用意しておきましょう。
個人的なお勧めは車やバイクに使えるジャンプスターター↓
これは車のバッテリー上がりの時に使うバッテリーなんですが、コンパクトながら大容量!
USB給電が出来るタイプでバッテリーの容量が20000mAhもあればスマホが4回はフル充電できますし、スマホ以外にも色々な機器に充電することが出来ます。
ジャンプスターターを選ぶ時は車用のシガーソケットと家庭用電源、USBから充電できるものを選びましょう。
ジャンプスターターも使っているうちに電気が無くなってしまうので、いずれ本体に充電する必要がありますからね!
そういう時に充電方法が複数あると便利です。
もう一つのお勧めはUSBアダプタとモバイルバッテリーを兼用しているタイプのモバイルバッテリー↓
これなら普段からコンセントに接続してスマホなどを充電しつつ、内蔵されたバッテリーにも充電しておくことが出来るので『いざという時にバッテリー切れを起こしていて使えない!』というシチュエーションを回避することが出来ます。
私が自衛隊にいた頃にはこのタイプのモバイルバッテリーを愛用してましたが、これなら急な出張や派遣でもコンセントから取り外すだけですぐに使えるので非常に便利です!
上の2つに加えてダメ押しでモバイルソーラーバッテリーも持っておけば完璧ですね↓
これなら避難所が長期間停電になっていたり、コンセント不足で充電ができないという時でも、日中に日の当たるところにでも置いていれば勝手に充電してくれます。
ただし、この手のバッテリーは使わないとあっという間にヘタるので定期的に使って放電と充電を繰り返すようにしましょう!
まとめ
今回は避難先での情報収集に使う情報通信機器について考えてみました。
災害の規模にもよりますが、災害発生直後から数日間はまともにスマホが使えないことを想定しておきましょう。
家族や親族の安否確認をしたい気持ちも理解できますが、なるべく電話で直接話すのは控え、災害伝言ダイヤルを使ったり、電話するにしても発生後1週間程度は待ってみるという配慮が必要です。
この機会に家族で災害時の連絡体制を考えてみるのもいいかもしれませんね。
スマホ以外での情報取集はラジオ、特にコミュニティFMが役に立つと思うので、自分の住んでいる地域にあるコミュニティFM局の周波数を調べておいていつでも聞けるようにしておきましょう。
それとデマには気を付けてください!
ネットやテレビ、ラジオで行っているからといって本当のこととは限りません。
非常時こそ色々なところから情報を集めて分析する必要があります。
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