自衛隊の制服や作業服の話

自衛隊にいたころの思い出話がこれから入隊する人の参考になればいいなというこのシリーズ。

今回は衣食住の“衣”にフォーカスしてみたいと思います。

Table of Contents

制服は借り物

自衛官が勤務中に身に着ける制服や迷彩服などの衣類は、一部を除いて『自衛隊が隊員に貸し与えている物』つまり自衛隊から借りているものです。

貸与される衣服について

教育隊に入隊するとまず“被服(ひふく)受領”と言って、これから着ることになる制服や作業服などを受け取るイベントがあります。

航空自衛隊の場合はこの時に…

・制服

制帽及び帽章、冬制服上下、夏制服上下、ワイシャツ(2種夏制服/略衣となる長袖と3種夏制服と夏半袖)、制服用ベルト、ネクタイ、、白手袋(礼装用)、黒靴下(女性はストッキングも)、短靴(男性は6穴レースの紳士靴、女性はパンプス型)、雨衣(レインコート)、外套(トレンチコート)、階級章(襟章/肩章)、部隊章台座

・作業服

作業帽、作業服上下、作業服用ベルト、編上靴(黒のアンクルブーツ)/半長靴(私の頃は編上靴(へんじょうか)だけでしたが、今は半長靴も貸与されるようですね)、軍手、作業服外衣(M65風のフィールドジャケット)、階級章

を受け取ります。

これらは“個人貸与品”と呼ばれる被服で航空自衛官は基本的に全員持っています。

個人貸与品の他には部隊貸与品という物もあり

・弾帯(朝鮮戦争当時の米軍装備ようなのコットン製のピストルベルト)

・ライナー(プラスチックのヘルメット)

航空自衛隊中央音楽のTwitterより引用

・制服用部隊章

の3つに加えて職種や地域に応じた特別な服が貸与されます。

例えば航空機整備職域の場合は『整備服装』として

・整備服(長袖/半袖/ツナギを各1着)

・整備靴(ローファー風の安全靴1足)

が貸与されます。

航空祭なんかで整備員が腰に工具やライトを引っ掛けたベルト(銃は無いけど“ガンベルト”と呼んでいましたね)を着けているのを見たことがあると思いますが、あれも一応部隊貸与品。

ただ部隊毎に別々に買っているので飛行隊によって腰回りの装備が違いますし、購入時期の違いでライトや工具の形状が変わったりします。

人によっては個人で買ったベルトを着けているので統一感は無いですね。

特殊服装

整備員に貸与される整備服も特殊服装の一つですが、これ以外にもパイロットや搭乗員の着るフライトスーツやフライトジャケット、災害派遣の時に航空自衛官が来ている青いベスト、給養員(自衛隊内の調理師)の着る調理服、医官や看護師の着るスクラブ(手術着)なんかも該当します。

変わったところでは募集担当官や警務官が着ているスーツも特殊服装として規定されているそうです。

被服の寿命

服も消耗品なので定期的に交換できるようになっています。

それぞれの被服には耐用命数という交換の目安となっている年数が規定されていて、大体2年~3年で交換してもらえるということになってますが…。

耐用命数が近づいてきたころに部隊の補給担当者に申し出て交換を依頼するんですが、いくらお願いしても『新品が無いから我慢せい!』と言われて変えてもらえず…。

結局3年以内に交換してもらえた服は1つもありませんでしたね…。

交換した被服類のその後

古くなった被服は補給部隊に返納(自衛隊では返却ではなく返納と言います)され、代わりに新しい被服を貸与されます。

返納された被服の中にはまだ着られるような状態の良い物もあるため、部隊によっては予備自衛官の招集訓練や体験入隊での貸与用としてストックしていたり、草刈りやドブ浚いなどの作業用にストックしているところもあるようですが、それらのストック以外はうっかり外部に流出させて悪用されると困るので、もったいないのですがシュレッダーにかけて処分されます。

シュレッダーにかけられた被服はぼろ布として業者に買い取ってもらったり、焼却処分したりするようです。

現金での返納

貸与品を交換する場合は現品の受け渡しが原則ですが靴下やパンスト、軍手、白手袋といった一部の個人貸与品は、貸与と言いながらも中古品を返納する必要が無く、定期的に新品が支給されます。

他人の履き古した靴下なんか見たくもないですし、返されても困りますからね…。

これらの貸与品にも耐用命数が決まっているのですが何らかの理由で耐用命数到達前に返納する必要がある場合、要は退職する場合なのですが、こういった場合は現品の返納はせず、現金を支払って返納したということにします。

これ以外にも耐用命数到達前に被服を紛失した場合や破損して着用不能になった場合など、貸与品の現物を返納できない場合は減価償却後の残価を現金で弁償して返納に代えるという規則になっているようです。

幸いにもそういったトラブルはなかったので、実際の運用はわかりませんが、『移動中にうっかり新品の制服セット一式無くした…。』ってなったら弁済金額がとんでもないことになりそうですね…。

私物の被服

自衛隊で生活するうえで必要な被服は下着を除いてすべて貸与されますがどう考えても数が足らない…。

例えば作業服ですが、毎日着るなら少なくとも3着は欲しいところ貸与されるのは2着だけ。

2着のうちの1着は式典や航空祭などのイベントで着るいわば『勝負服』で絶対に汚したくないですから、普段の仕事で着ることが出来るのは実質1着だけになります。

整備員なら特殊服装として整備服が貸与されているので問題ないのですが、災害派遣が発生すると派遣先で整備服は着られないんですよ…。(たまに『派遣されている隊員も整備服を着れないのだから、留守を守る隊員も整備服を着てはならぬ』という謎のお達しが来たりもします…。)

災害派遣に行けば絶対に服が汚れるので着替えを少なくとも2着は持っていきたいのですが、貸与品で実質使えるのは1着だけ…。

こういう事態に備えて私物の作業服を何着か持っていました。

航空自衛隊デジタル迷彩服上下セット  サイズ5B

新品価格
¥13,500から
(2020/8/5 12:40時点)

私が現役の頃は私物の作業服というと基地内の売店かPXサイトーで買うものでしたが、最近はAmazonでも手に入るようですね。

作業服は数が足りないので追加で私物を買うわけですが、制服を着る時に被る略帽という帽子はそもそも貸与されないために私物を買わなければいけません。

略帽というのはいわゆる“ギャリソンキャップ”と呼ばれる帽子なんですが、制服を着ている時は制帽に代えてこの略帽を被ることが出来ます。

具体的には式典や公式行事以外の場で、通勤時や制服を着ての外出、出張の時などですかね。

主に制服を着て勤務する人たち向けで、私のように年に数回しか制服を着ることがなかった人たちにはほとんど縁のないアイテムでしたが『いつか被るかもしれないから』という理由で強制的に買わされていました…。

それなら貸与してくれよ…。

被服の手入れ

基本的には自分で洗濯してアイロンもかけますし必要に応じて裁縫をして補修することもありますが、だんだん面倒になってくると基地の売店にあるクリーニング屋や洋品店に頼んじゃいますね。

教育隊では『靴を鏡にしてアイロンかけた作業服の折り目で髭を剃れるくらいに』なんて言われますが、それくらいピカピカでパリっとしたのがかっこいい自衛官。

たとえば航空祭で見かけた自衛官が薄汚れたヨレヨレの服着てたらカッコ良くも見えないし、強そうにも見えないですよね…。

まとめ

自衛隊で生活するのに必要な服は基本的にはすべて借りることが出来るため、着る物にはお金を使わない!

と思って入隊しましたけど、結構私物の作業服とか靴買うのにお金使うんですよ…。

貸与してくれる作業服や整備服があと1着づつでもあれば、そして寿命が来たらすぐに交換してもらうことが出来れば、もう一つ言わせてもらえるともっと頑丈な服や靴を採用していれば、余計な作業服を買わずに済んだんですけどね…。

私が辞めてからかなり立っているので、今はどうなってるかわかりませんけど多分大きく変わってないんだろうなぁ…。

コメント

タイトルとURLをコピーしました