Captainsim製B767-300のエンジンスタート手順(前編)

フライトシム

フライトシムの機体データを開発している“CaptainSim”よりPrepar3D Ver.5向けの767のアドオンが発売されたと聞きつけ、さっそく買ってみました。

導入にあたってのシステムの必要要件やフライトモデルのディテールなどはCaptainsimのHPをご確認ください。

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どこまでリアルなのか?

私はとある所で767の整備に携わっていたことがあり、プロ用のフライトシミュレーターで1フライトできるまでの知識を詰め込みましたが、それももうだいぶ昔の話…。

昔の記憶を頼りに機器類の設定方法や操作方法を思い出しつつ、どこまでリアルにシステムが再現されているのか確認してみましょう。

まずコールド&ダークの状態からエンジンを始動して、フライトまではせずシャットダウンするという流れで実機でいう所の地上試運転のようなことをして簡単にシステムの確認をしてみます。

スイッチポジションの確認

実機の場合はまずサーキットブレーカー確認し、不要な回路をすべてオープンにします。

これは電動の機器類が急に動き出して周囲の人を負傷させる可能性や、電気系統に急激な負荷がかかって過熱や発火を起こすリスクを無くするためと、不要な機器を立ち上げて故障を発生させないようにするため。

同時に必要な回路がすべてクローズになっているかを確認しますが、このフライトモデルはサーキットブレーカーまで再現されていないのでサーキットブレーカーの確認は不要ですね。

サーキットブレーカーの確認が済んだら次は機器類のスイッチポジションを確認します。

これもサーキットブレーカーの確認と同じ目的で、バッテリを電源システムつないだ時に機器類が急に動き出して機外の作業員を負傷させたり、機体にダメージを与えたりすることを防ぐのと、バッテリーに急激な負荷を与えて加熱や発火が発生するリスクを減らすためです。

すべてOFFになっていれば問題ないんですが、実際には作業効率とのバランスでバッテリー電源程度では作動しない機器や、搭載場所の関係で不意に動いても問題のないアイテムはONのままにしたりすることもあります。

エンジンとAPUからの高圧空気を空調システムに導入するためのバルブなんかが代表的ですね。

このアイテムはコクピットからのスイッチで開閉しますが、システム内に高圧空気が無いとバルブを作動できません。

バッテリーからの電流程度では動きようが無いですし、APUまたはエンジンをスタートするタイミングであればシステムの周囲に不用意に人が近づくことも無いため、整備目的以外ではこのバルブをOFFにすることは無いようです。

バッテリー電源の供給

サーキットブレーカーとスイッチポジションに問題がなければバッテリー電源を投入します。

BATスイッチをONにすると、隣にあるDISCHライトが点灯しますが、これはバッテリが放電していることを意味します。

バッテリースイッチをONにしてその隣のスタンバイパワースイッチをAUTOポジションに。

スタンバイパワースイッチがAUTOポジションの場合、外部電源または機内電源が供給されるとバッテリのリレーが自動でそれぞれの電源に切り替わりますが、これがBATポジションになっているとリレーが切り替わらないため、バッテリーが上がります。

実機がどれくらいの時間でバッテリーが上がるかは覚えていませんが、このフライトモデルの場合は30分程度のようですね。

このフライトモデルの場合はバッテリースイッチをONにするとあちこちの警報灯が点灯し始めますが、実際はバッテリー電源程度の電力では点灯しません。

たしか実機の場合は

  • APU(補助動力装置)のスタートに関わるシステム
  • APUと客室の火災警報
  • APUの消火装置

くらいにしか電源が供給されないんじゃなかったかな?

もしこのタイミングで外部電源を供給する必要がある場合は、バッテリ電源の投入後に外部電源を接続します。

外部電源を接続して適切な出力の電流が流れていることを機体が検知するとEXT PWRスイッチにAVAILと表示されるので、AVAILの点灯を確認してからEXT PWEスイッチをONにします↓

火災警報システムの点検

バッテリーで必要最小限の電源が確保できたらAPUの火災報知システムと消火システムの点検をします。

スロットルレバーや無線機の操作パネルが設置されているセンターペデスタルの後ろのほうに火災報知システムのテストボタンがあり、これをクリックすることでシステムの健全性を確認することが出来ます。

確認するのは

  • APUファイアハンドルの“APUライト”の点灯
  • 計器パネル上の”FIREライト”の点灯
  • マスターワーニング/コーションスイッチの“WARNINGライト”の点灯
  • 警告ベルの作動

の4項目なんですが、このフライトモデルの場合はメインエンジンとカーゴデッキの火災報知システムも点検までできてしまうようですね。

まぁ実機の場合はエアライン別に色々なオプションが装備されているので、もしかしたらこういう設定になっている機体もあるのかもしれません。

火災報知システムの点検に問題が無ければ消火システムの点検に移りますが、残念ながら消火システムの点検までは実装されていませんでした。

APUのスタート

1970年代以降に開発された旅客機には、ほとんどの場合APU(Auxiliary Power Unit)と呼ばれる補助動力装置が搭載されていてます。

この装置は一般的には小型のガスタービンエンジンで発電機と遠心式のコンプレッサーが搭載され

  • 機内電源
  • 空調システム用の高圧空気
  • メインエンジンを始動するための高圧空気

を作り出します。

APUの始動はさして難しくもなく、オーバーヘッドパネルのAPUスイッチをSTARTポジションに捻るだけ。

スイッチをひねると同時にシステムのセルフテストが始まり、異常がなければ機体後方のAPUエアインテークがオープン、APUのスタートシーケンスが始まり、おおよそ1分くらいでAPUは最大回転数に到達します。

APUが最大回転数に到達するとAPUスイッチの隣にある“RUNライト”が点灯し、APUに取り付けられている発電機から電源が供給されて機内のすべての電装品が使えるようになります。

コクピットのディスプレイが表示されるのもこのタイミングです。

APUの運転状況は計器パネル中央にある2つのディスプレイのうち、下側のディスプレイをステータスモードに切り替えることで確認出来ます↓

このフライトモデルではAPUの排気温度(APU EGT)しか表示されていませんが、実機の場合は排気温度に加えて回転数(APU RPM)も表示されることが多いんじゃないですかね?

ステータスモードの表示内容は航空会社やリース会社が機体発注時に選択できるそうで、油圧やAPUのパラメーター以外にはメインギアのブレーキ温度やタイヤの空気圧なんかを表示させることが多いようです。

EICASメッセージの確認と消去

コクピット正面中央にあるEICASと呼ばれるディスプレイにはエンジンの運転状況と機体システムの警告/注意のメッセージが表示されます。

 

メインエンジン始動前には表示されているメッセージを確認してすべて消去します。

メッセージは緊急性や重大性のあるものほど上位に表示されるようになっているので、エンジン始動中に解決の優先度が低いトラブルが発生した場合、他のメッセージに埋もれてトラブルに気づかないということもあり得ます。

このようなミスを防ぐため、エンジン始動前にはすべてのメッセージを消去しておかなくてはいけません。

メッセージ消去する際は関連するシステムの作動状態を確かめ、警報が正しく表示されていることを確認していきます。

このメッセージは発生条件が細かく決められているため、地上試運転の部内資格を取得する際には“どういう条件でどのメッセージが表示されるか”を覚えておく必要がありました。

試験の時に教官に条件を質問されて脂汗を書きながら解答したのも今となってはいい思い出です。

コールド&ダークからの手順をいっぺんに全部書いてしまうととんでもなく長くなりそうなので今回はこの辺で…。

地上試運転なんかはほぼこのままの手順で行うわけですが、チェックリスト片手に色々確認しながらやって大体1時間くらいかかったような記憶があります。

もし気になることがあれば、私の覚えている範囲&調べられる範囲+答えられる範囲で回答しますのでコメント欄に書き込んでみてください。

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