自衛官になりたい人達へのアドバイス

自衛隊の思い出

結構前に辞めてしまいましたが、私は約20年ほど航空自衛隊に勤め、飛行機の整備をしていました。

私の経験を誰かの何かに役立ててもらえればいいなということで、採用試験~自衛隊退職までの思い出だったり経験談だったりを言える範囲で思いつくままに書き残していこうと思います。

まずは採用試験のお話。

採用試験は結構頻繁にシステムが変わっているので、2020年6月現在の情報をもとに書いています。

Table of Contents

コースの選択

自衛隊に入るためのコースは2020年現在で13種類あり、それぞれ募集する人材や採用後の待遇が違います。

代表的なコースをいくつかピックアップして説明していきましょう。

自衛官候補生

一番採用数が多いのが自衛官候補生。

日本国籍を持つ18歳~33歳までの人達を対象としていて、3ヶ月の教育を終えると2等陸・海・空士の階級が与えられますが、これは自衛隊で1番下の階級。

ここから経験を積んで昇任すれば幹部(諸外国の軍隊でいう尉官や佐官といった士官)になることも可能で、2士からスタートして部内幹部候補生となって佐官(諸外国軍の少佐・中佐・大佐)にまで上り詰める人も多いです。

自衛官候補生として一旦入隊した後、業務の合間を縫って受験勉強をして防衛大学行くという人も意外といますので、当人の努力次第でトップに立つことも不可能ではないかもしれません。

自衛官候補生として入隊した隊員はいわば契約社員のような扱いなので、数年ごとに退職するか継続するかの選択ができ、このタイミングで任期満了金が支給されます。

このため『定年まで自衛隊にいる気はないけれど、一度自衛隊の仕事を経験してみたい』という人や、『やりたいことのためにお金を貯めたい』という人たちには自衛官候補生というのは良いかもしれません。

入隊後一定以上の年数が経過すると部内で昇任試験の受験資格が発生し、この試験に合格すれば三等陸・海・空曹となると自衛隊の正社員として定年まで勤めることになりますが、そうなると今度は辞めづらいんですよね…。

一般曹候補生

一般曹候補生は陸・海・空曹となる人材を養成するコースです。

対象は日本国籍を持つ18歳~33歳までの人達で、入隊すると2等陸・海・空士の階級を与えられます。

卒業後は全国の部隊に配属されて数年間の実務経験を積み、再度教育隊での教育・訓練を受けて3等陸・海・空曹に任命されます。

3等陸・海・空曹への昇任後は分隊や小隊といった規模の小さな部隊の指揮官、後輩や部下となった曹士隊員の指導、幹部自衛官の補佐、上級部隊指揮官への助言などなど、部隊のキーマンとしての働きを期待されます。

自衛官候補生と違って任期が決まっていないので簡単に辞めることはできませんが、定年までは間違いなく勤められるので安定した職業としての自衛隊を考えている人にはお勧めです。

本人の希望や部隊からの推薦で部内幹部候補生の試験を受け、合格すれば幹部自衛官にもなれますし、年齢制限に引っかからなければ防衛大学や航空学生、幹部候補生を受験してそちらへ進むことも可能です。

防衛大学校

自衛隊制服組のトップである統合幕僚長を目指すのであれば防衛大学。

こちらは高卒で21歳未満の人たちを対象とした、陸海空自衛隊の幹部を養成する教育機関です。

4年間の教育課程を修了すると、幹部候補生の陸・海・空曹長として幹部候補生学校での教育を受け、全国の部隊で部隊指揮の経験を積みながら徐々に大きな部隊の指揮官となっていきます。

パイロットを目指して防衛大学を狙う人も多いようですが、防衛大に行っても殆どの人はパイロットにはなれませんし、仮にパイロットになったところで飛ぶより部隊管理のデスクワークが多くなるみたいですね。

飛ぶことをメインの仕事としたいという人にはあまりお勧めできません。

幹部候補生

防衛大と同じく、将来の自衛隊を背負って立つ幹部を養成するのが幹部候補生。

対象は一般大卒が22~26歳、院卒が20~28歳となっています。

学歴に関しては『卒業程度』となっているので、実は高卒どころか中卒でも応募できますし、試験に合格できれば学歴に関係なく幹部候補生になれたりします。

入隊と同時に陸・海・空曹長の階級が与えられ、1年程度の教育期間が終了すると日本全国の部隊に配属されます。

部隊配属後は初級指揮官としての経験を積みながら徐々に規模の大きい部隊を指揮する能力を獲得していくのは防衛大の卒業生と同じ。

昔は防衛大を卒業していなければ将官になることが難しく、幹部候補生から制服組トップの幕僚長には絶対になれないなんて言われていましたが、Wikipediaなどで防衛省の人事を見てみると最近は方面総監や地方総監クラスでも幹部候補生出身の人たちがいるようなので、もしかするとそのうち幹部候補生出身の幕僚長が誕生するのかもしれません。

防衛大と同じくパイロットを目指して幹部候補生を受ける人もいますが、こちらも防衛大と同じ理由で『純粋にパイロットとして働きたい』という人にはお勧めは出来ませんね…。

海・空航空学生

自衛隊のパイロットを養成するのが航空学生です。

海上自衛隊と航空自衛隊でそれぞれ別々のコースなんですが、入隊試験は合同で行われます。

対象は日本国籍を持ち、高校を卒業した(または卒業見込み)人で、対象年齢は海上自衛隊が18~23歳、航空自衛隊は18~21歳となっています。

航空学生でパイロットになるための基礎教育を受け、卒業後は全国の飛行教育を担当する部隊で飛行訓練を行い、すべての飛行訓練が終了すると、幹部候補生としての教育を受けて3等海・空尉に任命され、全国の航空部隊でパイロットとして活躍します。

最終的には幹部となりますが、防衛大や幹部候補生からパイロットになった人たちのようにデスクワークがメインのポジションに就くことは少ないので、飛ぶことをメインの仕事としたいのであれば間違いなく航空学生がお勧めです。

意外と定年まで勤める人はそれほど多はくなく、40代後半あたりからエアラインにヘッドハンティングされたり自衛隊側から紹介されてエアラインに転職するといった人もいたりします。

陸上自衛隊には海・空のような航空学生制度は無く、部隊で一定以上の経験を積んだ陸曹からの部内選抜、または防衛大卒業者や幹部候補生からの選抜となっているそうです。

その他

これ以外にも自衛官を養成するためのコースがありますが、あまりにたくさんあるのでこの辺りで勘弁してください…。

上記以外に募集されているコースはこんな感じです。

  • 高等工科学校(防衛大の高校版で、卒業後の進路は陸上自衛隊のみ※陸自ヘリパイロットの最大ソース)
  • 防衛医科大学校医学科学生(陸・海・空自衛隊の医師の養成)
  • 防衛医科大学校看護科学生(陸・海・空自衛隊の看護師の養成)
  • 技術海上・航空幹部(大学で特定分野の研究をしていた人を技術幹部として採用)
  • 技術海・空曹(情報通信関係や医療関係、航空関係の国家資格保有者を資格に応じて1~3等海・空曹として採用)
  • 賃貸学生(特定分野を研究する大学生・大学院生に対して学費を給付し、卒業後に技術幹部として採用)
  • 予備自衛官補(有事や災害時に召集される予備自衛官を養成する)

各コースの具体的な情報は防衛省のHPで確認してみてください。

受験の手続き

自衛隊に多少なりとも興味があり入隊してみたいなと思ったら、まずは地方連絡本部(地本)に連絡します。

連絡すると地本のオジサン(今は地本のお姉さんもいると思いますが、私の入隊したときは担当官は殆どがオジサンでした。)こと広報官が家までやってくるので、そこで色々質問してみましょう。

今はインターネットで色々な事を調べることが出来ますが、自衛官のキャリアパスや部隊や職種、特技(専門)別の業務内容までは多分わからないと思うので、実際に現場で働いていた経験を持つ広報官に質問しまくって疑問を解決していきましょう。

色々と聞いているうちに自衛隊で自分ができるであろうこと、やりたいことなどがぼんやりと見えてきたら、入隊するコースを広報官と相談して決定します。

受験願書も広報官が持ってきてくれると思いますので、必要事項を記入するだけでOK!

受験が決まると試験の過去問のコピーをくれたり、駐屯地や基地に連れて行ってくれたり、入隊するまでのアドバイスをしてくれたりと、色々世話を焼いてくれます。

試験の準備

コースによって若干の違いがありますが

  • 筆記試験
  • 面接
  • 適性検査
  • 身体検査

はどのコースでも必ず行われます。

筆記試験

筆記試験は広報官に頼めば過去の試験問題のコピーをもらえるとは思うのですが、もらえなかった場合は書店に行けば過去問集を購入することが出来ます。

試験のレベルはコースによって違うのですが、メジャーなところだと

  • 自衛官候補生、一般曹候補学生 → 高卒程度
  • 航空学生、防衛大学校、防衛医科大学校 → 大学入試相当
  • 幹部候補生 → 一般大卒程度

といったところでしょうか?

だいたい募集の対象年齢の人たちの学歴と試験のレベルがリンクするようになっていると思われます。

面接試験

面接試験で聞かれるのは

  • 志望動機
  • 自衛隊で何をしたいのか?
  • 希望の配属先

といったところだと思いますがべつに小難しいことを言う必要はありません。

大事なのは明るく、元気よく話すことです。

明るく元気に受け答えが出来れば変なことを言わない限り面接で落とされることはないですが、政治思想に絡めた話、例えば「某国の脅威が~」とか「〇〇党のXXが~」みたいな話は多分アウト…。

国際関係や国内問題のニュースネタなんかが質問されることもあるので、面接試験前はニュースを見てそのニュース対しての感想を簡単にでも言えるようにしておいたほうが良いでしょうね。

適性検査

適性検査は自動車学校とかで受けるアレみたいな感じで、性格や作業適正を検査するためのものです。

これは対策のしようがないです…。

そもそも正解がないので慌てず、冷静に、丁寧にやることを心掛けて落ち着いて検査に臨んでください。

身体検査

身体検査の試験対策は…とにかく健康でいること!

体力測定ではないので事前の体力作りは必要ありません。

持病があっても定期的な入院検査が必要であるとか、特殊な薬が必要であるとかでもない限りは持病が原因で落とされることはまずありません。

ただし、健康診断で持病を隠していたことが発覚すると印象が悪くなるので受験願書を提出する前に地本のオジサンに申告してください。

ちなみに合格した後に教育隊でも再度身体検査がありますので、合格したからといって油断しないように。

まとめ

自衛隊の新人=新隊員を教育するためのコースは2020年現在13種類あります。

各コースごとに卒業後のキャリアパスが異なるので、試験願書を取り寄せる前に自分が自衛隊で何をしたいのか?どういう仕事がしたいのか?などをよく考える必要があります。

そのあたりがはっきりしなければ各地にある自衛隊地方協力本部やその出張所に連絡して、地本のオジサンこと広報官に相談してみてください。

試験は基本的には筆記試験、面接試験、適性検査、身体測定の4つを受けることになります。

受験料は無料なので、気負うことなくリラックスして臨みましょう。

年齢制限に達していなければ何度でも受験できますからね。

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